話をする上で、他分野との用語のすりあわせが必要なのかな、と、こさえた自習メモ。
門外漢にはいろいろ耳慣れぬ表現のオンパレードではあれど、よく見ればなじみの概念が頻出する本、日本放送出版協会『幸福論 〈共生〉の不可能と不可避について』(2007/03) をベースに。
黒字はウェブや他の書籍から。茶色は雨崎。
幸福論remix:
『0,a,ア行』
『カ行』
『サ行』
『タ行』
『ハ行』
『ナ・マ・ヤ行』
『ラ・ワ行』
■カ行■
【がいぜんせい 蓋然性】
- **が起こる確実性や、**が真実として認められる確実性の度合い。
- 蓋然性を数量化すると「確率」になる。
【かえる】 帰る場所(ハイマート)
- →感情ゲーム →不安のポピュリズム
- 本来帰るべき、本音のコミュニケーションができるはずのところ
- 「感情ゲーム」は「帰る場所」をよりどころとする。
「帰る場所」を意識する(HOMEを別に持つ)からこそ、「いつか帰るぞ」と戦地に赴き、「自分を待つ人がいる」と頑張れる。
【かくさ】 格差
- →権利の行使
- 学校教育は、教育以外の場で生じる地域や家庭などから来る格差を緩和すべし。
- 「生まれ」の格差は、「教育」の場で中和され平等なスタートに近づくことができる、と見えるように設計する。
- 偏差値と、家庭の年収が、はっきりと相関し始めている今、格差の是正は学校だけでは難しい。
- 「格差」はゆるすぎる言葉だ。「不平等」を見よ。 〜東大・佐藤俊樹
【かじょうりゅうどうせい 過剰流動性】
- 文化人類学のほうでは「フロー化」と呼ばれているのかな。
- 時代、文化、価値観の変遷が激しすぎる、心の安寧しどころがない。
つちかったスキルも、たくわえた経験も、時代が変化しすぎるおかげでどんどん「ツカエナイ」ものになっていく、熟練してもワザが時代遅れになっていく。リストラされたら立ち直れない、手に職を持っていても尊敬されるどころか、ワーキングプアになるのがオチ。
流動性がここまでひどくなければ、ふつうに年功序列や師匠・弟子関係で安定して行けたのに。
-
影響され、影響し、なだれ、なびき、それぞれの多様性がどんどん失われ…
- 収益価値を重視していくと、多様性が失われ、流動性が過剰になる
- 計画を立てても状況が変わる過剰流動性は、ソーシャル・デザインを困難にさせる。
- 帰る場所の喪失は、人びとの感情的安全を脅かす →不安
- 今後の変化を事前に予測するには、多大なコストがかかる。
予測対処の素養を身につけたロールモデルもいない。
- 流動性が亢進する結果、温もりや共同体を求めるのではなく、流動性に身をさらせるように自分の身体を改造する方向性が生じてくる。
染髪、ピアス、刺青、サイボーグ、ワイアド…
浜崎あゆみ
「サイボーグになればラクに生きられるのだな」
【カルト】
【かんしてき 監視的記録化】かんしてき 監視的記録化
【かんじょう 感情ゲーム】
- →公民 →契約ゲーム →バックボーン →祭り →天皇制
- 論理ではなく、扁桃核の反応を利用して誘導する
- 「帰る場所」という「感情ゲーム」〈わたくし〉をよりどころにしながら、〈公〉たる「契約ゲーム」や〈疑似公〉たる「より大きな感情ゲーム」に取り込まれる。
- 時間軸と空間軸上の二重性が存在しない限り、資本制や民主制は成り立たず、政治も国家も成り立たない。
- 田吾作平等主義者は〈わたくし〉の領域まで民主的であるべきだと思いがち。
- 〈わたくし〉の領域は、内実はどうあれ「帰る場所」として意識できるか否かだけが大切。
- 感情ゲームは使いよう。
- 感情ゲームを非感情的に設計できるエリート
- 感情ゲームの非感情的な(契約ゲーム)設計を見抜ける少数者
- 「真理の言葉」に「機能の言葉」を用いて対処できる少数者
- 見抜いたうえでそのゲームにあえて乗る者
- 見抜いたがゆえに告発する者
- 見抜いた者たちによる次なるゲーム
【かんじょう 感情的安全】
【かんじょう 感情的動員】 感情のポリティクス
- 冷静な判断での納得ではなく、おびえや反感、好悪、あこがれ・うらみ・鼓舞などといった、気分の操作でヒト行動を操る。
- →不安
- 感情的動員はバカ大統領やバカ首相がしゃべるという特定人称性があっても機能する。
- 感情操作だけでは制御不能な暴走(理念軽視/バックラッシュ/祭り)に堕しかねない
- 感情的動員は依存的人間を育てる。
ミメーシスは自立的人間を育てる。
- 「感情のポリティクス」に負けやすい輩は、最終的に国家や宗教にたかりがち。
【かんじょう 感情プログラム】
- 出口汪:論理ならざる”論理”
- 「まともな感情プログラム」をインストールする:オタオタせずに前に進める人間を育てる →教育設計
【かんよう 涵養】
【きしゅるりたん 貴種流離譚】
【ぎしんあんき 疑心暗鬼】
【きせき 帰責問題】
【きぞく 貴族的ゲーム】
【ギデンズ】
【きのう 機能の言葉】
- →真理の言葉 →全体性 →密教
- 目的を達するためのディスカッションの戦略の一つを「機能の言葉」と呼ぶ
- 「機能の言葉」は、たんに「真理の言葉」に並列的に対抗するわけではなく、「真理の機能を問題にする言葉」としてメタレベルに立つ。
- 機能的視座の輻輳からなる全体性を拒絶する運動家たち。
コミット(関与)するゲームが部分化(相対化)されることを好まないのか。
- 社会運動の意欲が相対化で挫かれるような(意志する力の弱い)人は、「機能の言葉」にむやみに晒すとまずい結果になったりするので慎重に。
- ショック療法で「機能の言葉」を使いこなせるエリート(意思する人)を養成する
- 「機能の言葉」は、機能的前提や波及効果に自己言及し自己自身を増殖することによって、全体性に接近する。
- システム存続を含め、「機能の言葉」は、きわめて偶発的な端的な意思から始まる。
- 「機能の言葉」は if-then 文であり、ifに「観察された」社会的文脈が代入される。
観察が誤っていれば、逆機能をもたらす。
いきおい、観察の視座が競われねばならない。
【きぶん 気分】
【きめいてき 記名的コミュニケーション】
- 「善意と自発性」がべース
- →「役割とマニュアル」がべースの匿名
【きょういく 教育設計】
- →エリート養成 →資格授与 →格差
- 現代の学校教育における二重の齟齬
- 「教育プログラムを作る側/現場で走らせる側=教員」の間の齟齬
- コミュニケーションをめぐる「教師/生徒」間の齟齬
- 教育論議は統御論。パターナリズムを逃れられない。
- 人的統御に負担をかけない教育アーキテクチャー設計をするには、デザイナーに高度な能力が要求される。かつ分権化的試行錯誤も必要。
- いまや学校の「聖性」という象徴的資源には頼れない。
- 各学校をキャラ立てる →バウチャー
- 成熟社会の「適応力」増進プログラムに必要な3要点
- 競争動機(勝つ喜び)
- 理解動機(分かる喜び)
- 感染動機(「凄い奴」にミメーシスする喜び)
- 教師はミメーシスを引き起こすほど「凄い奴」たれ。
「そう見える」だけでいい。
「そう見える」人材は公教育の現場ではなく予備校の現場にいる、ミメーシスのコネもそこにある。
- ゲストティーチャーを活用し、個々の学校自体を「多様性のハブ」にする。
- 動員ファシズムに対して距離を取れる人間を生み出すすべに腐心しなければ、設計主義は「やった者勝ち」に堕してしまう。
民主制国家での公教育は、どのみち動員ファシズムであり、民主制下では、受け入れ可能な動員ファシズムとそうでない動員ファシズムがつねにすでに線引きされている。
設計の恣意性への居直りを防遏するには、居直りが何をもたらすかを徹底分析した教育ソーシャル・デザインしかない。(他の教育を若干犠牲してでも)
【きょういく 教育的コミュニケーション】
- →ルーマン →梯子 →田吾作平等主義
-
「教育」は、「これから**に対して、##を教育するぞ」という意図があからさまな人称性コミュニケーション。その人称性に教育固有の問題がある。
- 重点を「教育」より「社会化」へシフト。
- 文部(科学)省の一枚岩的な政策によって決定される日本の「教育」。
- 神話的メカニズムで奪人称できない限り、教育改革の正統性(社会的承認可能性)に社会的期待は抱けない。
- 現代の学校教育は生徒の「感情」(感情操作)への配慮が欠けている。
- いまや自分の部屋のほうがハイグレード、学校のほうが「底辺」。
高い空間を目指して通学するのではなく、下級に降りる感覚で通学する事態になってしまっている。
【きょういく 教育のなかの社会化】
- →社会化
- 友人どうしの規範に、非人称的に従うこと
- 教師の言うことを鵜呑みにするのではなく、感情を媒介とした生徒どうしの親密なコミュニケーションを通じて、自らの妥当性や正統性を疑うことを学ぶ
【きょうせいしゅぎ 共生主義】
- →ルール主義
- 歴史実績による信頼醸成を重視する。新参者には冷たい。
- 移民政策では「同化主義」。
【きょうだい 京大系】
- →東大系 では慶應は何?
- いわゆる「京大系(ポストモダン系)」の教育学者たちは、万人向けの公的学校教育ではないものを模索している
- 一枚岩的な従来型日本教育ではない、「各自の共同性や連帯」に分かれる方向
【きょうどう 共同性】
【きょこう 虚構の現実化】
- 「現実の虚構化」:
「現実」と「虚構」が食い違っている場合、「現実」のなかで少しでも「虚構」を実現しようとふるまう。
- 「虚構の現実化」 :
「虚構」の側に居直ったまま「現実」が「虚構」のようでないといって嘆く。
「オタク的」感覚。
【ギリシア】
【ぐうはつせい 偶発性】
【クオリフィケーション】
【クリシェ】
- 紋切り型の解釈。
- サブカル・バラエティーに「目から鱗」がないのは、それらがクリシェの組み合わせに堕したから。
【ゲートキーパー法】 英国
【けいやく 契約ゲーム】
- →感情ゲーム →天皇制 →公民
- 近代社会は「私:感情ゲーム」が〈公:契約ゲーム〉で随時 囲繞される。
- 若い世代で有能な人たちは「公的な契約を結ぶに足る対象がいないので、公的にふるまえない」とみなしている気配。
- 契約ゲームには感情的な契機を「忘れない」ことが重要。
「悲劇の共有」を忘れてしまえば契約ゲームを続ける理由も消える。
しかも当事者はたいがい健忘症に陥りがち。
【けんえき】けんえき 権益
- 国家権力を草刈り場とする、内外入り乱れての政官財の権益争奪戦。
それを知らずにいる各省庁の役人たち。
- 一九九九年の盗聴法反対運動の当時、アメリカのケツを舐めることを前提とした利権をあさる官僚たちが、経済権益から情報権益への成熟社会的な移行をふまえて行動するという流れに必然的にいたることを読めているやつがいなかった。
- トタリテート(全体性)を見渡す存在が知識人を含めていない。
「大ボス」不在。
- →フィールグッド化
【けんきょう 顕教】
【げんご 言語ゲーム】
- →多重帰属 →視座の複数性 →エリート養成
- どんな言語ゲームにも内的視座があり、内的視座の素朴さを問題にする外的視座がありえる。
- 外的視座はなんら超越的でなく、観察というもう一つの言語ゲームに属する営みに過ぎないゆえ、それを批判する外的視座が成り立ちえる。
- コミュニケーションのゲーム(動員ゲーム)で優位に立つには、視座の輻輳を理解すべし。
- 視座の輻輳を観察するメタな視座を取れない者、免疫を備えない者は、有能なソーシャル・デザイナーと渡り合うことはできない。
- 価値の争いなら、政治哲学が模索するリベラルな制度で調停できる:「何が人間_的_か」
- 全言語ゲームの前提たる根源的自明性を揺るがす争いは回避すべき:「何が人間か」
【げんじつ 現実の虚構化】
【けんぽう 憲法】
- 9条という「真理の言葉」は「機能の言葉」であり、まさに「純」機能的であった
- 憲法の本質は、正しいか否かでなく、国民が何を意思するか。
憲法が国民意思の実現手段だとなれば、意思の実現に役立つ条文になっているか否かだけが問題になるはず。
- 「真理の言葉」でなく「機能の言葉」で論じるべきとする視座からの憲法改正論議がないまま、経緯してしまっている。
- 感情ではなく意思があれば、感情に流されず、清濁あわせ呑まねばならないとふまえうる。
意思がない状態では、感情的な放言の垂れ流しに終始してしまう。
憲法意思ならざる憲法感情状態。
【けんり 権利の行使】
- 欧州の階級社会:
結果の平等どころか機会の平等さえ厳格に追求されない。
でもイザとなったら労働者や学生がデモ・スト・暴動を通じて政治参加をする。
- 権利をもつことと行使することの差異
- いちいちのゲームプレイを原理主義的価値に照らすのでなく、イザとなれば最高価値に抵触するプラットフォームを転覆可能にするためのリソースに集中させる。
- 格差がいけないという昨今の日本的神経症はありえない。
労働者には労働者の幸せ。
ボトムラインが低すぎなければOK。
面倒なことはエリートに任せ。
でも、イザとなったらデモ・スト・暴動で政府転覆。
- ゲームすることと、ゲームのプラットフォームを護持することとの差異。
【こうふく 幸福】
【こうみん 公民】
- →契約ゲーム →衆愚政治
- ギリシアでは、生産労働に関わらない者だけが公民たりうるとされた
- 自己陶冶を遂げた自立した者だけが、集合体全体を拘束する決定に関われる:全体性を志向できる
- 天皇をめぐる「感情ゲーム」が消えた後、公民がいなくなっている可能性。
【こじんせい 個人性】
- 過剰流動性による入れ替え可能化
- 個人性が双対性によって守られることなく、じかに社会性に接触
- その結果、個人性は社会性によってたえず脅かされ、社会の外側に個人があるという想定ができなくなった
【こっかろん 国家論】
- 国家論の2種
- 啓蒙思想の流れ:市民間の暴力資源の多寡を中和する
- マキャベリの流れ:市民社会を護持すべく市民社会の枠を逸脱する政治エリートを要請する
【コノリー,ウィリアム】
- 〜ウィキ
- 「どうしてそこに立てるか」「どうしてそこに立つのがお前なのか」
- 「悪をなしたのはお前なのか」→「どうして悪をなす場所に立つのがお前なのか」→「悪をなす場所を存在せしめたのは誰なのか」
- アゴーン(討議=闘技)に参加する人間だけを包摂する。
参加しない人間は包摂できないし、無理に参加させることは民主主義的にも機能的にも無理。
【こんごう 金剛密教】
-
「生きても死んでも別にいいや」という「脱社会化」の系列に対処するすべ:金剛密教
- 「生きていても死んでいても違いはないよね/無意味」という感覚がそもそも生じないためには、どういう社会を作ればいいか
- →密教
【コンスタティビティ】
【コントローラビリティの低下】
- 1990年代に入って、ネタ化があって初めてマーケットが動くようになった変化。
- 「みなが知ってるものを引用する」、ネタ的に盛りあがれるコミュニケーション基準。
- マスコミ的コントローラビリティ(ツリー状)が失われた。
メディア上のトレンド・リーダーを通じてのコントロールができなくなった。
- カラオケボックス・ブーム以降の流行歌謡の享受にこの傾向。
クチコミでリゾーム状に拡がる流れ。
いきおい「そこかしこに散在する〈芽〉を見つけて投資する」方向への戦略転向。
【コンピタンス】
幸福論remix:
『0,a,ア行』
『カ行』
『サ行』
『タ行』
『ハ行』
『ナ・マ・ヤ行』
『ラ・ワ行』
『幸福論 〈共生〉の不可能と不可避について』
宮台 真司, 鈴木 弘輝, 堀内 進之介 (著)
日本放送出版協会 (2007/03)
『波状言論S改 社会学・メタゲーム・自由』
東浩紀,北田暁大,宮台真司,大澤真幸,鈴木謙介
青土社 (2005/11)