話をする上で、他分野との用語のすりあわせが必要なのかな、と、こさえた自習メモ。
門外漢にはいろいろ耳慣れぬ表現のオンパレードではあれど、よく見ればなじみの概念が頻出する本、日本放送出版協会 『幸福論 〈共生〉の不可能と不可避について』(2007/03) をベースに。
黒字はウェブや他の書籍から。茶色は雨崎。
幸福論remix:
『0,a,ア行』
『カ行』
『サ行』
『タ行』
『ハ行』
『ナ・マ・ヤ行』
『ラ・ワ行』
■ア行■
【9.11】 対テロ戦争
- 米国憲法学会の主流が、推定無罪から推定有罪に軸足を移した。
司法抜きの長期拘禁も是認してしまう
- 9・11以降は、明らかにノージック的な原理が強くなっている。価値観の共存を認めつつも、リスク管理やセキュリティの名のもとに、多様性そのものを支えるインフラへの攻撃に対してはきわめて厳しい社会が生まれつつある。
- われわれの社会は、インフラに反対しないかぎり自由で寛容な社会に向かうはずが、実際には別の脅威が出てきて不寛容に向かう。
価値観が許せないという場合は、相手の価値観を聞いて、対話し、両立できないと思ったらやっつけるということになる。そこに寛容が生じる余地が残っている。
ところが、インフラを侵す「かもしれない」というのは、価値観の問題ではないわけだから、その種の緩衝的なゾーンがない。逆にどんな人でも潜在的な脅威になりうる。脅威に対する許容の水準を下げていけば、リスクはいくらでも発見できる。現在のテロリストヘの恐怖などは、まさにそのように煽られている。〜大澤
- →アスボ イギリス
- →ゲートキーパー法 などの米国憲法学会の推定有罪シフト
- →ネオコン
- 9・11(世界貿易センターテロ)以降、動員ファシズムが先鋭化。
密教の顕教化(設計の恣意性の上への居直り)が起きる。
- →過剰流動性 のもとでの幸福
【if】if-then文
- 自分の立場主張はさておき、諸条件の中で「〜〜の場合であるならば、**するのはどうか」と機能からくる必然を考察していく。
- 自分が頻用していた提示の仕方は「〜〜ならば、**したほうがいい」。
そして、自分はそのリーグの外に足を置く。 →調停
- →「機能の言葉」
【アーキテクチャー】(環境の仕組み)
- 人々が生き他者と関わる社会環境の構造
- アーキテクチャラル(社会構築的)な権力は常にすでに作動している。
アーキテクチャーを設計するソーシャル・デザイン(社会設計)も常にすでに実行されている。 →デプス
- アーキテクチャーによるコントロールであれば、自由意思を損なうことなく、人びとの行動を方向づけられる
- [ 宮台は ] 最近は作戦をかえて、アーキテクチャをエリート的に作り替えれこと[ママ]をめざしているようです。
〜まなざしの快楽 20070706
- アフォーダンスでヒト行動を自然操作するようなもんだ。
交通道路の設計しかり、誘導路のデザインしかり、家畜管理しかり。
説得不要、その環境条件に置かれれば自然に特定の反応を起こす。
自然の性向を利用して企図どおり行動するよう、環境をデザインする。
操作されている側は、自分の意志で選択・行動しているように感じる。
- 機能が共有できる意味を失った状態になってしまうことを「アーキテクチャー化」と表現している者[まなざしの快楽] もいる。この表現はなんか違うと思うけどな。「モジュール還元」とか言うほうが近いかもしれない。
ex.セックスがアーキテクチャー化してしまうと、セックスにまつわる夢が共有できない状態になってしまい、援交やバーチャルセックスが横行する
- →オープン・アーキテクチャー
【アクセスプタンス】
【アグリゲーター】
【アゴーン】(闘技) 討議=闘技
【アジール】(外)
- 特殊なエリア 「聖域」「自由領域」「避難所」など
統治権力が及ばない地域
- 家や地域や結社は、民主制や資本制ゲームのアジール(外)だとみなしうる
【アスボ】(反社会的行動令)
- イギリスの、反社会的行為取り締まり令: Anti Social Behavior Order
- コンビニ前にたむろう若者や不法居住ホームレスが移動命令に従わない場合、直ちに逮捕できる
【アノミー anomie】
- 人々の行動を規制していた社会的規範が失われて、混乱が支配的となって
いる社会の状態。デュルケームが概念化した用語。〜はてな
- 無規制状態。
- 社会秩序が乱れ、
混乱した状態にあることを指すアノモス(anomos)が語源。
- →泥沼
【アメリカ】
【アレゴリー】
【アレント】 ハンナ・アーレント
- 「富」の相対性(入れ替え可能なリソース)を否定
「財」の絶対性(入れ替え不能なリソース)を肯定
- 人は、入れ替え不能なリソースに支えられてはじめて自立できる、とする。
富の如き入れ替え可能なリソースでは、人は流動性ゆえに不安になり、依存的になってしまう。
- 富ならぬ財が支える自立こそが、政治参加のクオリフィケーション(資格授与)となる、とする。
【いし 意志】
- 感情に流されない
- もともとの目的を持たない人間は、「機能の言葉」に熟達しても、目的を持つ者たちに奉仕する「便利屋」になるしかない。
- 踏み抜いた上で、敢えてなんらかの選択をし、自らそれに耐えること。
【いにょう 囲繞】
【イニシャル・エンドウメンツ】
【いみ 意味】
- 物語の中における位置関係。
- 明らかに若い人たちの「意味」の読解力は落ちているし、作り手の側の意識も落ちている。
- ルーマンに言わせると、意味とは、刺激が反応へと短絡するのを保留し、そのかわりに、多様な反応可能性を選択肢としてプールして、選びなおすことを可能にしてくれる装置。
意味が失われると、選びなおしの機会も差異も失われてしまう。
- 意味への感受性の低下は、すなわち多様性や共生への感受性の低下。
- →アノミー →エンジョイアビリティ
【インクリメンタル】
- インクリメンタル検索:
入力のたびごとに リアルタイムに候補を表示させる。
逐語検索、逐次検索。
【インフラ】 インフラストラクチャー
- 社会は、インフラとコミュニティを分けたある種の二重性を特徴とする新しい管理体制に移りつつある。
- インフラにコミットすることと、価値観にコミットすることは、また別。
- シャンタル・ムフの『政治的なるものの再興』で志向されているのは、メタユートピアというOSのうえでの、アプリケーションの不断=永遠の闘争。
- インフラ部分が多様なコミュニティをたがいに切り離すほうにいく(ノージック)のか、それとも、トラブルを抱えながらも部分的に再縫合しようと試みていく(ローティ)のか
- 価値観のレベルとインフラのレベルで別の政治的原理が働いていると整理したほうがわかりやすいんじゃないか
【ウェーバー】
- 政治倫理の結果責任性。
「市民は法を守るべき義務を負うが、政治家は法を守ることが意味を持つ社会を維持するべく、時に応じて脱法すべき義務を負う」
市民倫理とは区別される。
- →シュミット →国家論
- ウェーバーの正統性の三類型(カリスマ/伝統/合法)は、現・日本社会のリソース分布のなかではうまく機能しない。
【ウォルツァー】
- →リベラリスト
- ウォルツァーの議論は、ウェーバーによる政治責任の結果倫理性の議論や、シュミットによる憲法制定権力の暴力性の議論の焼き直し。
討議にまつわる暴力を、「情念」や「意思」だと表現しているだけ。
- 密教性が崩れてきた今日、ウォルツァーはあえて「結果オーライの何でもあり世界」「暴力」を顕教化させ、相対化しようとする。
【うまく うまく生きること】
- 世の中をうまく渡ることはあくまで手段。
目に見える現実に適応するのは、騙されることと同義。
真の対象は、目に見えない未来や深層メカニズム。
- →デプス →フィールグッド化
【ウロボロスの蛇】
- 相互呑み込み構造
- 科学論と社会学における「ウロボロスの蛇」
- 社会学は、社会的全体のなかでの科学的営みの位置を論じる
- 科学論は、科学的営為として見た場合の社会学の位置づけを論じる
- 前提を供給し合う循環:
「疑いつつ適応せよ」(適応力主義)と「疑うにも適応基盤が必要」(適応主義)
- 三七年前のハーバーマス・ルーマン論争
- →神学と社会学
【エクスパティーズ】
【SF】
【エリート/民衆の二分法】
【エリートの育成】 エリート養成
- →資格授与 →教育設計 →ショック療法 →エリート/民衆の二分法
- 泥沼に耐える全人・教養人を量産せよ。
- 民衆の全てを「エリート/見抜く者」に育てる必要はない。
- 大半の子どもたちには「真理の言葉」を用いたコミュニケーションでじゅうぶん。
エリート予備軍には「真理の言葉」が果たす機能を教え、機能を教えることの機能を教える。
- 臨教審答申
(ゆとり教育の正体?)
- 庶民的パンピー用教育:微積分より、分数ができる雑魚水準の確保でじゅうぶん。
余った時間を「幸福な消費生活を謳歌して満足する能力」の訓練に回す。
- 選民的エリート用教育:最短時間で微積分ラインに到達させる。
余った時間で「イノベーション能力」エリート資質の上昇に勤しませる。
-
感情的動員であることを見抜き、かつ社会操作の必然性や必要性を判断できる特定個人の能力、その上昇こそが必要。
感情的な動員に対して、感情に耐性がありメタなポジションを取れる人材が増える方向での教育プログラムをデザインせねばならない。
- 自分のするゲームが、他のゲームとどんな前提・被前提関係にあり、その関係がどうシフトしてきたか、を理解するのがエリート教育の目的。
- 一流は自由な校風。リベラルであっていいのは真のエリートだけ。
他の田吾作は、似非インテリを含めて同調圧力にきっちり屈するよう育てる。
-
小泉を輩出した横高は、すこぶるなんでもありだった。
教師でさえ「好きなことだけ」教えている状態。
それでいて、教えていないこと、教科書にも載っていないことを平気で試験に出すし。
生徒はヨソで勝手に学んできていた。
ヨソで学ぶすべを持たない庶民の子は、横高に入れても大きなハンディキャップを背負ったまま。
- 貴族的ゲームの支持につながるような試験制度で、社会的上昇の仕組みをパンクチュエイトする。
【エリーティズム】 エリート主義者
【エンジョイアビリティ】 エンジョイアブル
- 視点や物語の差異が織りなす「濃密さ」のあやを楽しめること。
- 「意味」的アクシデントによって「目から鱗」的な体験がもたらされる愉しみ。
- 意味(物語)が失われると、差異が失われ、差異が織りなす「濃密さ」も失われる。
受け手側から見て、作り手側の主体がわからない、状況がわからない。誰がどういう履歴と意図で発したメッセージなのか伝わらず、
エンジョイアビリティがなくなる。
-
受け手に「大衆」というイメージが共有されていた1960年代までの話。
【オープン・アーキテクチャーの構想】
- 「全員参加は無理、参加しようと思えばできるようにしておけばいい」というルーマン=レッシグ的なオープン・アーキテクチャー構想。
- アーキテクチャーをめぐる情報格差は消せない。
できるのは情報アクセス可能性を開くことだけ。
だが開かれた機会が利用される保証はない。
- 克服不可能な恣意性の存在を「知りたければ知れる」ように開いて特定人称性を中和し、かろうじて民主制を名乗る。
- 全員参加のデモクラティズムは、手間がかかるだけじゃなく、「政治からの自由」の原則に抵触するので無理。ならば、モチベーションをもつ連中がアクセスできるように、アーキテクチャーを「開いて」おく。
【オタク】
- →世代 →虚構の現実化 →新人類世代
- 社会性がなくても開き直っていられるアイテムに囲まれ、島宇宙に居続けることによって、「差異をめぐる他者との対決」などせずにすむ生き方。
- オタクの変遷
- 「全てを受け入れてくれる少女」概念が前に出てくるのは、他者理解のスキルが低く、他者受容以前のひたすら自分を承認してもらうことにばかりかまけるがゆえ。
- オタクという言葉の侮蔑的なニュアンスが薄れると(社会性がなくても開き直っていられるようになると)、「全てを受け入れてくれる少女」というロリコン的形象が大手をふるようになる。
- 「ダメの焼き畑農業」:
先行世代から見ると、後続世代は「俺たちネタだったのにお前らベタじゃん」。
後続世代は「ぼくはダメ」と受け入れ、その流れがさらなる後続世代に繰り返される。
- 〈総オタク化〉〈島宇宙化〉:
先行世代の「なーんちゃって」的諧謔(かいぎゃく)が、後続世代で「どうせオイラは」的韜晦(とうかい)に変じた。
- オタクという懐柔策/フィールグッド・プログラム
としてのカテゴリー
- 社会性がない→人格破綻 の路線を、「オタク:無害な脱社会的存在」というカテゴライズによって層を形成させ「オタクとしての在り方」に収斂させる。
逸脱を抑止し飼い慣らす。
- オタクたちに、そのありようが「泥沼の再帰性」の回避装置(斎藤環)であることを敢えて知らしめる必要はない。
【オルタレーション】
幸福論remix:
『0,a,ア行』
『カ行』
『サ行』
『タ行』
『ハ行』
『ナ・マ・ヤ行』
『ラ・ワ行』
『幸福論 〈共生〉の不可能と不可避について』
宮台 真司, 鈴木 弘輝, 堀内 進之介 (著)
日本放送出版協会 (2007/03)
『波状言論S改 社会学・メタゲーム・自由』
東浩紀,北田暁大,宮台真司,大澤真幸,鈴木謙介
青土社 (2005/11)