
〜平成21年分の路線価が発表されました〜
7月1日、平成21年分の路線価が発表されました。
当日は、各メディアでも報道されました。全国的に前年よりも下落したという内容が目につきました。
中身を見ると、確かに、昨年よりも下落しているところばかりでした。毎年路線価を見比べていますが、今年ほど面白くない年は無かったように
感じます。いつもなら、下落したところ上昇したところ、さまざまな街角の情景が浮かび、納得したり疑問に感じたりして楽しめたのですが、下
落一色では・・・。
報道の中で、しばしば「都道府県庁所在都市の最高路線価」という資料が引用されていました。この資料は、全国47都道府県の県庁所在地の
市内での最高額地点とその金額を前年対比とともに国税庁がまとめた一覧表です。都道府県の中には山口県や三重県のように県庁所在地が県内最
大の都市ではない例もあるため、サンプルとして多少の不揃い感はありますが、全国的な趨勢を一覧できる資料です。これは、国税庁のホームペ
ージで閲覧できます(http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2009/rosenka/03.htm)。
この資料でも、前年よりも価格が上昇した都市がありませんでした。昨年までは、上昇した都市もあったのです。今年は上昇した都市はなく、
すべてが横ばいか下落となっています。金融危機による影響に関していろいろ耳にしてはいましたが、ある種の不気味さを感じます。
この資料で福岡県に注目してみると、県内最高価格地点は今年も天神ソラリアステージビル前の渡辺通りです。場所は変化ありません。ところ
が、価格は前年6,290千円であったものが5,480千円に下落しています。下落率は12、9%です。報道の見出しにも使われていたようですが、この
下落率は47都道府県中ワースト1位です。前年の同じ資料を見ると、22、9%の上昇でした。何と急激で大きな変化なのかとの印象を受けます。
福岡市都心部の地価上昇の一因は、投資マネーの流入であると報じられてきました。その撤退が今回の下落の背景にあることも報じられていま
した。64年前の夏、特定業種の株価の動きから終戦を確信した人がいたと聞いたことがありますが、投資家の耳と足はいつの世も素早いというこ
とでしょうか。商業地域においては、その土地から得られるであろう収益性が土地の価値を決める大きな要因であると思います。天神地区の百貨
店の苦戦もしばしば耳にしていましたから、これが本来の水準であって、今まではちょっとしたバブルだったのかもしれません。
天神といえば、筆者自身は本屋さん巡りを楽しみにしています。数年前に紀伊国屋書店さんが天神から撤退してからというもの、楽しみがかな
り減ってしまいました。書店の売上高減少は、景気だけでなく活字離れなど他の原因もあるでしょう。けれども今のご時世、これ以上書店が撤退
しないか、売場を縮小しないか心配です。せいぜい、これまで以上に本を買って応援しようと思っています。
今年の路線価は、全面的に下落傾向で塗りつぶされていました。実際の取引価格も当然、同じ傾向のはずです。このことは、マクロ的な視野に
おいては明るい話では決してありません。しかしながら、土地あるいは自社株式(土地を保有している会社が前提です。以下同様。)を次世代に
贈与することを検討する際には、あるいは福音かもしれません。路線価が下落すると、それに連動して土地や自社株の評価額が下落し、結果とし
て贈与税の負担が減るからです。来年の路線価がさらに下落するかそれとも上昇するかは判りません。今年が最低価格であるとは限りませんが、
検討する価値はあるかもしれません。
【付記】
福岡市内主要個所の路線価(左が平成21年、右は平成20年の価格をそれぞれ表す)
中央区天神 ソラリアステージビル前 5,480千円 6,290千円
博多区博多駅前 福岡センタービル前 2,360千円 2,780千円
早良区西新 西新商店街城南線側 510千円 550 千円
南区大橋駅前 460千円 480 千円
東区香椎駅前通り 275千円 295 千円
文責 大木一也
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