スポーツも学習材に

 

 今から7,8年前、日本でもNIEが少しずつ行われるようになったころ、先生の中に、「最近の子どもたちは、スポーツ面とテレビ欄しか読まない」という方が結構いました。私なんかは、それだけでも読めばすごいと思っていました。子どもが関心あることから始めればNIEはきっと楽しいものになると、今でも確信しています。

 92年5月、ロサンゼルス郊外、私立パインクレスト小学校の4、5年生30人のNIE授業を見ました。ランダウ、アーバックふたりの女の先生が教えるティーム・ティーチングでした。子どもたちは、その日の「デーリーニューズ」の朝刊をふたりに1部と、学習シートを持っていました。学習シートには、その日学習する内容の具体的な発問とその答えを書く欄がありました。
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ドジャースの学習書で新聞の読み方を学ぶ子どもたち=パインクレスト小学校で

 今では、野茂選手で、日本でもかなり知られるようになった大リーグ、ロサンゼルス・ドジャースを通しての米国地理の学習が始まりました。黒板には、米国の地図がかかっています。その日のゲームは、ドジャース対ニューヨーク・メッツでした。「今晩のドジャースの対戦相手のチーム名、所在地、州の名前は?」「日曜日の対戦相手のチーム名、所在地、州の名前は?」との発問に、子どもたちは、黒板にかかっている米国の地図で場所を示しながら、答えていました。

 そして、新聞のスポーツ面の「スコアボード」のページを使って、「ニューヨーク・メッツより西にあるナショナルリーグの2つのチームは?」「ニューヨーク・メッツより北にあるアメリカンリーグ東地区のチームは?」などと発間が続き、ひとりの先生が個別に指導しながら、子どもたちは楽しそうに答えていました。

 さらに、昨日の試合の記録から、ナショナルリーグ西地区の6つのチーム(当時)のヒット数の合計を計算させたりしていました。ドジャースの学習書は、この学校と一緒にNIEを進めている新聞社、デーリーニューズ社が作成したものです。

 今年の3月31日の「朝日新聞」のスポーツ面に、「大リーグ30球団の本拠地」という地図が載っていました。92年とは、大リーグの数も、地区もずいぶん変わっています。米国の子どもたちは、こんな地図を活用してNIEをしていくのでしよう。また、日本の子どもたちも、この地図を使って米国のことを学べることでしよう。

 92年8月、シドニーの公立マンリーベイル小学校、5、6年生の台同の教室には、バルセロナオリンピックの金・銀・銅メダルごとに、オーストラリアの入賞者の新聞写真がはってありました。子どもたちは、新聞のレイアウトを参考にして、自分たちの考えを表現していました。

 93年度、5年生で「Jリーグから社会を探ろう」という私の実践があります。93年5月に開幕したJリーグは、国際的なスポーツ、外国人選手の多民族化、地域に根ざしたチーム、キャラクター商品の爆発的な売り上げ、コマーシャルの変化、テレビ視聴率への影響、子ども・若者からの絶対的な人気など、社会を見る視点を提供してくれました。子どもたちと共に、「Jリーグの取材、紙面を通して新聞の読み方を考える」「グループでJリーグの研究テーマを設定し、調べる」という2つの課題に取り組みました。

 ここ数年Jリーグもやや人気がありませんでしたが、日本のワールドカップ・フランス大会への参加も決まり、活気づいてくるでしよう。そして、そのワールドカップ・フランス大会も、新聞各社がこれから特集ページを出していくでしようし、試合経過も報道されていくでしよう。国際理解教育の一つとして、私も4年生の子どもたちと一緒にNIEの学習としてワールドカップ・フランス大会を追っていく予定です。

 

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