(訳者注)現在進行中で執筆中のNigel Horne氏のサイトを許可の下で翻訳しております。翻訳の精度には問題があり、正確でないところも多く含まれていると思われます。もしそのような部分を発見されましたら、翻訳者までご連絡ください。原典にも記載がありますがコンテンツには著作権がありますので内容を利用したい場合は著作権者に必ず許可を得てください。
音楽理論、様々なバンドでの経験、個人的な意見に基づき、この文書が執筆される。
執筆が完了するまでの各段階では、包括的でなく、誤りが含まれないわけでもない。
どうして執筆が完了しないうちから公開するのか? それは次のようなフィードバックが得られるからである。
最初のふたつの章は楽器そのものとパートについて言及し、草稿としてひとまず完成している。
ここで記述しても最終的には当初想定と違うということがわかるだろう。まだ書き終えていないので、私の想定読者が読むべき人だと言うしかない。
私は基本的な音楽理論、和声法、対位法を習得した人を読者として想定している。バッハのフーガを書いたりする専門家である必要はないが、四声の和声と単純な音楽様式については知っている必要がある。
また、ブラスバンドやその類似編成で演奏している奏者も想定している。読者はユーフォニアム、コルネットバリトンといった楽器を識別できると期待しているが、編成の人数やそれぞれのパートの呼称に精通している必要はない。つまり、「ブラスバンドの編成はどんな編成ですか?」といったような疑問があり、その答えについてここで言及する。
知りたいと思う様々な提案があればご連絡いただきたい。後で作例として追加したい。
標準が何であるか、どこを本拠にするかに関係なくすべてのブラスバンドは同じ編成を採用する。このジャンルのために書く初心者が驚く最初の1つだ。オーケストラの作曲家は音楽に最も適切であるオーケストラ編成も使用するということのに慣れている。しかしながら、打楽器部を除いて、ブラスバンドの作編曲家は、定められた編成を守る必要がある。
実際には救世軍編成とコンテスト編成には少しばかり差があり、その差を現在無視して話している。あとでこの部分に戻ろう。
ブラスバンドの特性の多くの理由はこの文章では扱わない範囲にある歴史にある。関心がある人はこの歴史を記録する多くの本に求めているかもしれない。より詳細な参考書は後で現れるだろう。
現在コンテストが多くのバンドにとって非常に重要であるので、バンドの編成がすぐに変化するのはなさそうである。サッカーチームは11人で一人がゴールキーパーであると決まっているように、コンテストのバンドは定められた編成であることを要求する。多分より革新的な編成はコンサートプログラムで将来現れるだろう。しかしながら、この作曲者は生じる圧力を見ない。多くの作編曲家はより新しい打楽器の導入によって、この制限を迂回させようとしてきた。より寛容な態度で受け入れられる。パーカッションについては、私は作編曲家がほとんどのバンドで所有しているであろう楽器だけを扱うつもりだ。
ヘ音記号で記譜されるバストロンボーンやパーカッションは例外として、すべてのパートは移調したト音譜表にて記譜される。前述の例外を除き、この文章では実音よりも記譜音で音符を表現する。これはバンド内でふつうそれで呼ばれるからだ。金管楽器はE♭(変ホ)またはB♭(変ロ)の調整を持ち、第三間のドと記された音を奏者はド(C)と読み、ドとして演奏する。楽器はB♭またはE♭の音が鳴る。そのためすべての音は記譜音とは違って聞こえる。(訳者補足:シのことを示す音名はドイツ式の「ハー(H)」とは言わず、当然のことながらイギリスではイギリス式で「ビー(B)」と呼ぶ。)
理論的にはそれぞれの金管楽器はト音譜表における下第三線ファ#(low F#)から上第二線ド(top C)まで音域があるが、音程とスタミナの問題によりすべての音域を使用することは通常ない。
多くの読者はブラスバンドとは無関係な音楽教育を受けていると考えるので、ブラスバンド用語ではなく一般的な用語を使用したい。たとえば、多くの音楽家にとって「真ん中のド(middle C)」は(真ん中というのはピアノの鍵盤の真ん中である)ト音譜表下第一線のドを指す。しかしながら多くのブラスバンド奏者はその音のことを「下のド(low C)」と呼び、「真ん中のド」は(演奏可能音域の真ん中である)ト音譜表第三間のドを指す。この文書で「真ん中のド」は正式な方、下第一線のドのことである。
ブラスバンドの基本編成は25〜26名の金管奏者と、2〜3名の打楽器奏者からなる。
集合名詞としてリピアノ、2nd、3rdコルネットのパートを「バック・ロー・コルネット(back-row cornets、後列コルネット)」と呼ぶ。対照的にソロコルネットの並びのことを「フロント・ロー・コルネット(front-row cornets、前列コルネット)」と呼ぶ。
| 人数 | パート名 | 内訳 |
|---|---|---|
| 1 | Soprano Cornet | |
| 10 | Cornet | Solo 4〜5、Repiano 1、2nd 2、3rd 1〜2 |
| 1 | Flugelhorn | |
| 3 | Tenor horn | Solo、1st、2nd |
| 2 | Baritone | 1st、2nd |
| 2 | Tenor Trombone | 1st、2nd |
| 1 | Bass Trombone | |
| 2 | Euphonium | |
| 2 | E♭ Bass | |
| 2 | B♭ Bass | |
| 2〜3 | Percussion |
現代ブラスバンドにおける各楽器の概要と演奏可能な音域について記述する。より詳細な議論は後述する。
Cornetの調性はB♭で、記譜音より長2度低い音がする。
記譜音でのCornetの音域は真ん中のドの下のファ#から上第2線のドである。
真ん中のドの下のシ♭より低い音の記譜は避けるべきである、というのも、チューニングに問題があるからだ。また第1間のミより高い音は初心者はチューニングが難しい。上第2線のドより上の音は上級者であれば演奏可能であるが、現代のラージボアの楽器では難易度が上がっている。ソロイストにはしばしばハイE♭、ハイEの演奏が求められるが、演奏者が明らかにその音域が演奏可能である場合を除き避けるべきである。コルネットの楽譜を書く場合には音域は下第2間のシから13度上のソまでを守るべきである。
Soprano Cornetの調性はE♭で、記譜音より短3度高い音がする。
記譜音でのソプラノの音域は真ん中のドの下のファ#から、上第2線のドまでである。しかしながら、第2線のソよりも低い音はチューニングの問題があり控えるべきである。また、真ん中のドよりも低い音はどんな犠牲を払ってでも回避すべきである。上第1間のソより高い音の長時間演奏(Long Stretch)は奏者に肉体的緊張を強いるため避けるべきである。ソプラノのために曲を書く場合、第2線のソからオクターブ上のソまでを守るべきである。
FlugelはCornetと同じB♭の調性であるが、より太い管径によりよりダークに、より柔らかい音色になり、演奏可能音域が低くなる。下第2線のラより低い音、上第1間のソよりも高い音の記譜は避けるべきである。Flugelの楽譜を書くときは下第2間のシ♭から第4線のレまでを守るべきである。楽器によっては第4バルブを備えるものもあるが、作曲家はこれが利用可能であることを期待すべきではない。
Tenor Hornの調性はSoprano Cornetのオクターブ下のE♭で、記譜音より長6度低い音がする。
現代の太い管径の楽器はTenor Horn奏者にとっては良くも悪くもある。上級者にとってはより吹きやすくバランスの問題も比較的解決しているというのは疑うべくもない。しかしながらこの改良により楽器は高価なものになってしまった。記譜音は真ん中のドの下のファ#から上第2線のドまでで、上級者はひょっとしたらより高い音も吹ける。真ん中のドより低い音は避けるべきで、下第2間のシ♭より低い音は演奏困難で上ずるので避けるべきである。上第1間のソより高い音はめったに書かれることはないが、筆者の意見ではSolo Hornパートで上第2間のシ♭までは熟慮の上、受け入れられる余地がある。Tenor Hornの楽譜を書くときは真ん中のドから第5線のファまでを守るべきである。
ちなみにアメリカではこの楽器はAlto Hornと呼ばれる。(訳者注:日本においても教育現場を中心にアルトホルンと呼ばれることが多い。)
Baritoneの調性はCornetのオクターブ下のB♭で、記譜音より長9度低い音がする。
記譜上の音域は下は下第3線のファ#から上第2線のドである。下第1線のドより下を記譜する控え目にするべきです。また、その下のシ♭より下の音符は回避すべきです。上の音域は貧弱な奏者を除き上第2線のドまでは演奏可能である。Baritoneの譜面を書くときには下第1線のドから上第1間のソの間を保つように心がけるべきだ。
アメリカではこの楽器をテナーホーンと呼ぶ。(訳者注:原著ではそのように書いているが、訳者の感覚ではアメリカでもバリトンと呼んでいることが多いように思う。ただし、ユーフォニアムと区別されていないことが多い。)
Tenor Tromboneはバリトンと同じB♭である。通常、この楽器をTenor部分を省略して単にTromboneと呼ぶ。
記譜上の音域は下第2線のファ#から上第2線のドまでであるが、上級者はもっと高い音も出すことができる。
いくつかのオーケストラ向け作品のように、古い楽曲ではTromboneはハ音記号を用いたテナー譜表に実音で書かれていることがある。しかしながらブラスバンドではこれは廃止されTenor Tromboneパートはト音譜表の移調譜が用いられるようになった。
TromboneにはF管のトリガーが装備されているものもあり、音域を1オクターブ下へ拡張できる。しかしながら、作曲家はこのような楽器を使用する奏者を仮定すべきではない。基音(ペダルトーンとして知られるヘ音譜表下第3間の実音B♭)を演奏できる奏者もいる。
Tromboneの譜面を書くときには下第1線のドから上第1間のソの間を保つように心がけるべきだ。
バルブの楽器を演奏したり、スライドのポジションに対する理解の薄い作曲家は下にある表を用いて勉強すべきだ。もしトリガーのないTromboneの演奏上困難なこととは何かが不確かなら、1番ポジションと5〜7番ポジションを行き来する複雑で速いパッセージを廃止するという簡単なルールを覚えておこう。これは下第1線のドと下第1間のレの間で引き起こされることが多い。
Tenor Tromboneの譜面を書く場合は、作曲家は可能であればパートのどちらか、あるいは両方をトリガーのないTromboneで演奏できるようにする必要がある。
この表はBass Tromboneにも適用可能である。
| バルブ | スライド |
|---|---|
| 開放 | 1番ポジション |
| 2 | 2番ポジション |
| 1 | 3番ポジション |
| 1+2または3 | 4番ポジション |
| 2+3 | 5番ポジション |
| 1+3または4 | 6番ポジション、または、トリガー+1番ポジション |
| 1+2+3または2+4 | 7番ポジション、または、トリガー+2番ポジション |
この表はスラーにおける最適な組み合わせを書くのに便利である。フレーズの中からスライドポジションの交差を廃止するのが最良のルールであるが、ルールよりもガイドラインが必要であると考える。スライドでの演奏が可能であるかを考えるとき、忘れてはいけないのはバルブ楽器奏者の替え指に比べ、Trombone奏者は替えポジションに親しんでいる傾向があるということだ。例えば、第3間のドは5番ポジションで演奏可能だ。それにより第2間のラ♭へのスラーの演奏が可能だ。
このパートが技術的困難によるパートの制約はバルブの欠如のためである。特に低音域では顕著である。トリルは名人的奏者が高音域でリップトリルで演奏できるだけだ。学習時には新人作曲家は早いパッセージは排除すべきで、第2線のソよりも低い場合は特にそうである。真ん中の線(訳者注:第3線)のシ♭より高いすべての音符は最初の3つのポジションで演奏される(訳者注:最初の4つとするほうが正確だと思う。)が、奏者によって速いパッセージの中では演奏可能な場合も1番ポジションを使用しない。より経験をつめば、より容易に"alternate shifts(替えポジション)"を意識して書くことができるだろう。例えばソからラでは1番ポジション→5番ポジションではなく6番ポジション→5番ポジションで演奏する。
Tenor TromboneとBass Tromboneは「四分音("quarter-tone")」の演奏能力がある唯一の楽器であるが、エチュードの最後にあるようなものはブラスバンド楽曲においては稀な例である。
バス・トロンボーンは常にヘ音譜表の実音表記である。音域は下第2間のレ♭から上第3間のファまでである。
伝統的にバス・トロンボーンは遠いポジションに操作する場合にはハンドルを操作して到達する必要のあったG管の楽器であった。しかしながら、この楽器はほぼ消え去り、F管としばしばE♭またはD管のトリガーととても太い管径を持つテナー・トロンボーンに置き換わった。現代ではG管あるいはG/D管で演奏されることはないとみなしてよい。
ペダルノートはほとんどの奏者が演奏できる。
上級者は音域を拡大できる。極端なケースとしては下第4線のファまで、場合によるとより高音へ音域を広げることもできる。従って音域の広さについてはユーフォニアムに続き二番目に広い。
バス・トロンボーンの曲を書く場合、音域は下第1線のミ♭から上第1間のシ♭までを保つべきだ。
ユーフォニアムはB♭管であり、バリトンやテナー・トロンボーンと同じである。アメリカでは(訳註:バリトンと混同されており、)どちらもバリトンとかユーフォニアムと呼ばれたりする。
記譜音での音域は真ん中のドの下のファ#から上第二線のドまでであるが、上級者はもっと高音も吹ける。初心者の楽器に至るまでユーフォニアムのほとんどには4番バルブが付いていると思って良く、音域はさらに下へ拡大され、下第4線のレまで広がる。ペダルノートも演奏可能であるが実際に記譜されることは少ない。上級者であれば上のド(top C、上第2線のド)からさらに長三度音域が広がる。(訳註:現実には5度上のソあたりまで演奏可能な奏者は上級者には結構多く、下の音域もペダルノートよりさらに下のレ♭も演奏可能な上級者がいる。)
ユーフォニアムの曲を書くときには音域は真ん中のドの下のシ♭から一番上の線のファを守るべきである。
オーケストラのスコアではこの楽器はテナーチューバと呼ばれるが、ワグナーチューバのようなほかの楽器もそう呼ばれます。そのためスコアにテナーチューバと書いてあるからと言って必ずユーファニアムであるとは言い切れません。
E♭ベースはテナーホーンの1オクターブ下です。
記譜音での音域は真ん中のドの下のファ#から上第二線のドまでである。ほぼすべてのE♭ベースには4番バルブが装備されており初心者でもペダルノートまで拡大できるが、しばしばファの下の音は使用できない。(訳註:実音Fの下のEが非コンペンセイティング方式の楽器で使用不能であることを言っているのではないかと思われる。) 第4間のミより上の音は音程に問題があり、使用しないのがよい。(訳註:オーケストラのチューバはこれより高い音域を演奏しているが、これはフロントアクションの楽器を使用し抜き差し管等を調整して音程を補正しているため問題にならない。音程の問題さえなければかなり広い音域を演奏可能である。)
E♭ベースの曲を書く時、真ん中のドの下のシ♭から第3間のドを守るべきだ。
ブラスバンドにおいて楽器はロータリー・バルブよりもピストン・バルブのものを好んで使用する。これは大きな楽器では長いバルブ・アクションを生み出し器用な演奏を阻害するからである。
オーケストラのスコアではこの楽器はチューバと呼ばれているが、F管、E♭管、時々C管を使用する。どれを使うかはオリジナルの国や奏者の好みによって決定される。
B♭ベースはユーフォニアムの1オクターブ下の調です。
記譜音での音域は真ん中のドの下のファ#から上第2線のドまでです。多くのB♭ベースには4番バルブが装備されていて、初心者でも音域を下へ拡大することができるが、初心者をどのようにあてにするかを考慮して曲を書くべきでない。作曲家はオーケストラにおける4弦のコントラバスに似た役割を要求する。3番バルブまでしかない楽器を使用するバンドは、4番バルブ使用前提の曲を演奏する場合、オクターブ上げて演奏する。この詳細については後で議論したい。ペダルノートはある程度習得した奏者だけが演奏できる。第4間のミより上の音はチューニングの問題から使用しない方がよい。バンドの金管楽器の中でB♭ベースはもっとも音域が狭い。(訳註:これはベッソンのB♭ベースを念頭に置いているものと思われる。ベッソンのB♭ベースは重厚な音色と引き替えに高音域を犠牲にしているような感があり、低音域はどこまでも許容するような性格がある。)
B♭ベースの曲を書く場合には真ん中のドの下のシ♭、ないしは場合によってはラから、第3間のドまでを守るべきだ。
ピストンバルブを好む理由はE♭ベースと同様である。
パーカッションのセクションは曲ごとに編成が異なる唯一のセクションである。ブラスバンドの活動の中でもっとも変化が激しいセクションです。
現代のブラスバンドでは2〜3人存在することを期待して良い。しばしば音程のある楽器とない楽器に分割されるが、多くの場合、一人の奏者がドラムセットに割り当てられる。初心者を除き、すべての奏者はセクション内のすべての楽器を演奏可能であると期待して良い。とはいえ、それぞれの得意な楽器を担当することになるであろうが。
作編曲家は次の楽器がバンドに存在すると期待して良い。2台のティンパニ、グロッケンシュピール、スネアドラム、トライアングル、ライドまたはクラッシュ・シンバルとドラムセットである。より強いバンドにはタムタムやクラッシュ・シンバル、ベースドラム、3台目のティンパニがある。ほかにも共通の楽器としてシロフォン、ウィンド・チャイムとその他音程有無に関係なく様々な楽器を使用する。
パーカッションの曲を書く場合は、作曲家は2台のティンパニ(GからF)だけを持ち、ライド・シンバル、クラッシュ・シンバルと二つのタムタムを使用する。