「泣きの、、、」というのですから、You Don't Know What Love Is/ Sonny Rollins、I'm A Fool To Want You/ Art Farmer、You And The Night And The Music/ Hampton Hawes等の薫り高い名演とは異なります。優れた芸術表現と言うよりは、直截な感情表現で、時に「そこまでやるのぉ」という過激で、興奮気味のアドリブを伴うものです。人によっては「下品だ」と顔を背けるかもしれませんが、気持ちが通じる人にとっては「そうなんだよ、アンタの言うとおりなんだ」と共感を生みます。
別の言い方をすると、普通の名演だと「感興俄に湧き起こり、次から次へと聞き狂う」となります。ところが、「泣きの、、、」を掛けてしまうと、次のレコードをかけかえに立つ気力が萎えてしまう場合があります。この手のものの別格官幣大社として、Love Supreme/ John Coltraneがありますが、これは人生をも踏み誤らせる、というか、別の人生に目覚める劇薬と言うこともありえるので、ちょっと敬遠しました(^^;)。
The Inflated Tears/ Roland Kirk (ATLANTIC 90045)におけるThe Inflated Tears (Rahsan Roland Kirk)
筆頭は、やはりこれですかねぇ。何を言っても軽薄にしか聞こえないのだけど、、、兎に角、この重さは凄くて、長い歴史を引きずったすべてのアフロ・アメリカンの情念の総体が圧倒的に、聞くものにのしかかってきます。
Left Alone/ Mal Waldron (BETHLEHEM MP2150)におけるThe Cat Walk (Mal Waldron)
標題曲が話題になることが多いですが、Nelsonは未だこの盤を所有していなかった頃から、このThe Cat Walkがジャズ喫茶でかかるたびに、この深い感情表現は何なんだろうか、と深く心に刻みこみました。
People Time/ Stan Getz (GITANES JAZZ 314510823)におけるFirst Song (Stan Getz, Kenny Barron)
確かCharlie Hadenが愛妻のために作った曲を、Stan Getzが死の直前にライヴで演奏したもの。この頃のGetzは身体的にボロボロだったにもかかわらず、ファンのために重い体に鞭打って最高の演奏を聞かせようと、この曲を取り上げ、正に「絶唱」を聞かせた。