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Hear Me Talkin' to Ya

  • この雑記帳の標題は、「Hear Me Talkin' to Ya」としました。ジャズは、アフリカ系米国人(Afro-American)が発展させた音楽であり、それらの人の語学力は以前は低かったこともあって、特有の米俗語が使われます。「talkin'」は「talk」の進行形ですが、口語的には最後の子音が省略されるので、表記もこうなります。「ya」も、「you」のぞんざいな発音から来たもので、二人称を指す俗語です。これらは比較的推量し易いのですが、例えば二重否定が、強調否定になるとか、三人称単数現在の動詞変化が誤用されるとか、幾つかの「らしい」使い方があります。ガーシュイン(白人)作のジャズオペラ「ポーギーとベス」では、黒人社会の雰囲気を出すためにこの種の米俗語が多用されており、例えば「Bess, You Is My Woman」、「It Ain't necessarily so」、「I Loves You, Porgy」といった曲名や、その歌詞の理解には、こうした表現に慣れていることが必要です。
  • ところで、「Hear Me Talkin' to Ya」とは、Adderley兄弟がSavoyに入れた「BOHEMIA AFTER DARK」の中の好演曲の標題で、学生時代になじんだ曲です。正式には、リーダーはドラムのケニークラークです。
  • 兄貴の方も良いんだけれども、この弟のコルネットがまた良くて、この「Hear Me Talkin' to Ya」という曲などでは、しゃくったような例の音を旨く使って、ゆっくり目のテンポにふさわしいアドリブです。上昇と下降の簡単な曲だけに、くつろいで聞けてしまうところがあります。ピアノは、既に大成済みのHorace Silverで、彼はこの手のテンポでは、まさにfunkyな良いソロをするんですねぇ。
  • Nelsonの持っている盤は、東芝エンジェルのエバー・クリーン盤(帯電防止剤入りで、真紅の盤)です。その頃の国内盤の例にもれず、薄手のジャケットで、手持のアナログは右掲のCDと違って、美女をあしらったジャケットでした。これには背に竹ひごが入って、折れるのを防いでいると言う気配り盤です。確かにパチパチとは言わないし、埃を吸いつける様子もありません。しかし、この道の好事家には、音が悪いとけなす向きがありました。学生のNelsonには、未だ入り込めない玄妙な世界の話でした。
  • Nelsonは、この盤には好きな曲が多く、絶えずplayerに乗せていた記憶があります。世の中がブラウン・ローチにうつつを抜かし、Jazztet等が華やかなりし頃のことです。
  • この曲名「Hear Me Talkin' to Ya」については、確か、評論家のナットヘントフが同名の書をものしており、色んなジャズメンのインタビューからジャズの実像に迫ろうとしたもの、との記憶があります。Yahooで調べるとLPの録音が55年であり、本の発行は66年なので、前後関係が良く分りません。いずれにしても、「僕の言うことを聞いてくれ」というこのセリフは結構良く使うものです。

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