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超絶録音盤との邂逅

  • 「ヘェーッ、そんなこともあるんだ」という猟盤関係での拾い物のお話です。
    ある日、神保町で、、、
  • 以前に触れた駿河台の中古屋さんで、「犬も歩けば棒に当たる」のたぐいの猟盤話に、先日、出くわしました。その日は柏で仕事があり、その後ウニオンをチェックして、更に千代田線で神保町になだれ込んで、ひとしきり店回りをしました。「そろそろ引き上げるかな」とは思ったものの、「そうか、ここまで足を伸ばしたから寄ってみるか」と階段を上がって入店。ここは名盤しか置かない店で、駄盤は見当たりません。家賃の高いところで営業するには、スペース効率も大事なんでしょう。「相変わらず、濃い品揃えだなぁ」とチェックして行きました。Nelsonは、歳を食ってしまったのでメガネが要りますが、現品には触らずに棚を眺めつつ、チェックする流儀です。「でも、殆ど、手持ちだなぁ」と棚を舐めていって、女性ヴォーカルまできた所で、視線がピタッと止まりました。
    「Chris in Person」
  • 「オットぉ」と、「Chris in Person/ Chris Connor」がColectiveの復刻で出ているのを発見しました。「Halelujah, I Love Him so」なんかが好きで、よく聴く盤です。「これはなかなかCDにならないなぁ」と先日も思っていたばかりのことなんで、早速ゲット。「Sings George Gershwin」との「2 in 1」です。レジで代金2千なにがしを払おうとして、ふと常連さんの取り置きモノの山に目が行きました。どの山もテッペンに赤ジャケ盤があり、なにやら「Kodaly」と読めます。
    「Kodaly」、、、
  • 駄盤での商売は嫌って、名盤しか置かない店ですから、当然何らかの名盤で、しかも注文が重なったという風に見えました。しかし、それが「Kodaly」です。直ぐに頭の中で連想ゲームが始まり、「コダーイ」、「ヤーノシュ・シュタルケル」、「あの名盤」とNelsonが連想したのは、音楽に眼が無い者の哀しいサガです。「ウーンッ」と唸って、店主さんに「これって、ひょっとしてアノ無伴奏チェロ・ソナタの、、、」と聞いてみました。おじさんは破顔一笑、「良くぞ聞いてくれた」という感じで、立て板に水を流す如く言葉が吹き出てきます。「そうなんですョ。シュタルケルの盤、御存知でしょ、アナログ録音の最高峰と言われた盤。あれをデジタル化したPhillipsのCDは、期待が大きかっただけに散々の悪評だったんです。でも、有名な松脂の飛び散る音を是非出そうと、アメリカの好事家が板起こし(アナログ盤をカートリッジで再生して、それをデジタル化するので針音が入る)で制作したらしいんですよ。、、、」
    敵の思う壺
  • 「、、、この頃、この業界ではこれが出回ってましてね、皆が聞き付けて、結構注文が多いんです。ここのは全部お客さんの予約分で、取り寄せたモノを発送するところなんです。こっちの人なんか、このシリーズ全部という熱い注文で、ケンペや何かの復刻まで全部取り寄せました、、、」と話が止まらない勢いでした。Nelsonも、「フーン、そういうことなんですねぇ。友人の家で、大昔に、一度聞いたことはあるんです。演奏も良いし、楽器が古今東西の名器だとか、録音技師が神様だったとか、色々と噂は聞いてます。」と釣られてしまい、「在庫あるんですか。」等と、敵の思う壺にはまってしまう始末でした。
    「クッ、下さい」
  • 「えェ、一枚だけありますヨ」という返事に、「クッ、下さい」と口走りました。店主の仕掛けたエサに、マンマと引っかかってしまう「ダボハゼ」なNelsonでした。「ヒョットして、実は、店の裏にゴマンと在庫があったりするのかも、、、」と気付いた時は、時既に遅く、もう代金を払ってしまっていました。いや、決して店主さんにだまされたとは思っていませんが、コレクションの世界ではそういうことも無くは無かろうということです。かの「レコスケくん」の世界なんて、そんなことばっかじゃないですか。
    、、、ということで
  • 帰宅して、早速聴いてみましたが、昔の記憶がよみがえります。言ってみれば、ジャズのソロ演奏と同じですから違和感は全くありませんが、確かに迫力に満ちた演奏でありながら、充分に歌ってもいます。「激しい演奏」と言われてきたわけですが、それは「クラシックの器楽曲として聴けば」ということで、ジャズではこれくらいの演奏を「激しい」とは形容しません。聞くところでは、この盤の録音は、あのバルトークの息子さんが技師だったそうです。我が偏屈システムでも、その演奏及び録音の素晴らしさは、十分に伝わりました。心配した針音も、あることはありますが、選りすぐりのミント盤を使った板起こしなんでしょうか、殆ど気になりません。
    マニタス・デ・プラタ
  • これに匹敵する超絶録音盤は、Nelsonの手持ちでは例えば、米コニサー協会の「フラメンコの名手、マニタス・デ・プラタ盤」です。これも知る人ぞ知る名録音な上に、演奏が空前絶後の素晴らしさです。おそらく、こういう盤は、仕組んでも必ず出来るものではないのでしょう。名演奏家、名録音技師、周囲の努力、そしてなによりも「偶然」を一掴み投げ入れないと、こうは行かなかった筈です、
    さらに、、、
  • さて、盤をよく見てみましょう。いわゆる番号表記ですが、原盤は「Kodaly: Sonata for Unaccompanied Cello, Opus 8 / Janos Starker, Cello (Period Records SPLP510)」とあり、ネットでの情報と一致します。復刻関係の表記は「Narrow Range Lab, USA NR5002 (2002)」とあります。昔の録音の復刻なんで「Narrow Range Lab」なのでしょうが、思わずニヤリとしたくなるレーベル名です。会社の住所等、身元のバレる情報は、一切記載してありません。このやり方には法的な問題でもあるんでしょうか。そして原盤の方はロゴからしても間違いなくPeriod盤で、例えばAl Haigや、Sonny Rollins盤などでお馴染みのロゴに相違ありません。あのPeriodレーベルがこの名盤も出していたとは、浅学非才にして、今まで知りませんでした。ウーン、勉強になった一日でしたねぇ。純粋なジャズ話では無くって、失礼しました。

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