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名誉毀損罪限定:おしゃれ事件は、公共の利害に該当するケースとして、罪がない
「おしゃれ事件」はなぜ報道されないのか?

放送などへの批判、意見などがある場合は、どうしたらいいだろうか。このことについて、NHKに電話で再確認しました。その場合は、手紙などで書いて送っていただければ良いということだそうです。匿名であってもかまわないということでした。
つまり、私の場合もなんら問題はないはずだ。内容が性的関係となっているのは、事実テレビで放送しているのは、それ以外ないわけで、問題がない。
この認識において、私が思うことは、なぜ問題が起きたときに、日本テレビは報道しなかったかということだ。もちろん、それには日本テレビは責任を問われるだろう。少なくとも楠田はニュースも報道してもいる。それを考えれば、大変重大な事件だと思う。
日本テレビ「午後は○○おもいっきりテレビ」において、久能靖アナウンサーは、事件の解説に「愛犬が飼い主を咬んでもニュースにはなりませんが、飼い主が飼い犬に咬みつけばニュースになると、よく言います」と言われている。
そのことを考えれば、「おしゃれ事件」は、正に飼い主が飼い犬に咬みついたに違わないニュースとなります。テレビの本番を悪用して、一緒に司会をしている女性に肉体関係を強要し、相手が拒絶しているにもかかわらず、関係をもったのですから。それも放送をしているからやったもの。
しかし、「おしゃれ事件」とは別に、最近になっても、日本テレビはセクハラをしたアナウンサー、盗撮をしたアナウンサーの事実関係を報道していません。最近になっても、これらの情報を隠蔽するわけですから、’80年代では犯罪の隠蔽は当たり前と考えられるかもしれません。「おしゃれ事件」は放送を悪用したものです。被害者と考えられる楠田枝里子も加害者です。被害を訴えなければ、それで良いというわけにはいきません。
一般の企業や会社が問題を起こせば、カメラとマイクを向け説明責任がある謝罪しろと暴言まで吐くが、自分たち民放テレビ局の犯罪は隠蔽する。
逸見政孝や田丸美寿々、フジテレビの報道は、「おしゃれ事件」の抗議の文書を受け取っているのに、なぜ報道しないのか。そこに書かれていることは、すでに確認されていることだ。またタレントなども知っていることだ。証人は沢山いる。報道が報道であることを、明確に否定したことにもなる。
首都圏の視聴者なら知っていることに、民放テレビ局のニュースは、「どの局のニュースを見ても、同じニュースを同じように報道する」ということだ。同じ時間帯なら、同じ映像を同じような解説が、何局でも見れる。これは事実上の、言論統制としか考えられない。自由にものが言えるような国と錯覚させられる。第四権力のテレビというメディアが、視聴者をコントロールするように、家畜化・奴隷化するものだ。権力主義的管理・監視・統制社会だ。
逸見や田丸は、「おしゃれ事件」を報道しようとはしなかった。私を利用して、私を久米宏に当てたのだ。彼らは報道することではなく、私に抗議文を再投させた。しかし、これでは「おしゃれ事件」の問題解決にはならない。
楠田の放送の悪用。その放送を悪用して性的関係を強要する久米宏。そして、またその放送を悪用して抗議文を送らせる逸見と田丸。ここにきて放送は視聴者への呼びかけと、「分かってしまう」というキーワードになる。
逸見と田丸も、私が批判した放送の悪用を、輪をかけてしたのだ。
この放送の悪用を警察は問題とした。ところがこの放送の悪用を私がしたことになっていたのだ。どうやってそんなことができるのだろう。そしてテレビをほとんど見なかった私にとって、テレビは普通の放送ではなくなった。
逸見や田丸のニュースと「おしゃれ」は、私が見ているという表現をとり始めた。それによって、私はノイローゼになった。見るテレビではなく、見られているテレビは苦痛以外の何ものでもなかった。抗議文の再投は苦痛であり、私には何の利益もなかった。ただ、公共の利害に該当するということだけで…。
ノイローゼと民放のでっち上げ

私はフジテレビ、逸見と田丸の投書を送れによって、「ニュース6:30」と日本テレビ「おしゃれ」を見なければならなかった。見たくもないものを見た。「おしゃれ」でスーパーでもでれば、抗議文を送るのを止めようと思っていた。しかし、全くできなかった。なにも。しかし、これでテレビを見ていることが、私には大変な苦痛になった。
なぜなら、テレビの放送は見るものであって、テレビに見られるものではないということだ。それがこの2つを見ると、普通のテレビではないのだ。これが私がノイローゼになる原因になった。他の番組がどうなっているのか知らなかった。少なくとも、私は逸見や田丸の指示で抗議文を送っていたのだ。彼らが何に使うかも知らずに…。
私は右手に障害があり、抗議文が書けなくなり、コピーをした。それでも逸見らは「抗議文を送れ」、日本テレビの「おしゃれ」を見ると、久米宏も楠田も何の謝罪もなく、ただ私を意識した放送を続けていた。それで私は続けられなくなり、久米宏に「連続強姦魔ですか?」と聞いたのだ。それで、これ以上抗議文を送るのが無理だと思い、止めた。
抗議文を書くのを止めて、少し時間に余裕が出てきた。警察が出てきたことも知った。このときに私は、大変重要なことを見た。いままでTBSや日本テレビのニュースなどを見ていなかった。それで父親がチャンネルを合わせるのに、一緒に見た。
すると私を意識した「見られるテレビ」をやってはいなかった。普通だったのだ。ところがその翌日、奇妙な感じがしたので同じようにしてニュースを見た。するとそれらのテレビがいっせいに「見られるテレビ」になった。TBSも日本テレビもこれらの指示をしたのは、逸見や田丸のフジだろう。逸見らがやっていたように、他のニュースでもやり始めた。このでっち上げを、私は葉書で指摘した。すると警察が、このらのことで私を問題にし始めた。

警察は私の自宅に向けて、刑事に車の中から、窓辺に立っている私の写真を撮った。これで私の顔は捜査員やテレビ側が知ることとなった。この「見られるテレビ」によって、どの番組でも分かるようだった。それを考えたのか、あるいは芳村真理らが楠田とつるんでいるという事か、「夜のヒットスタジオ」で番組の冒頭、意図的に刑事らが、スチール製の椅子をガシャンガシャンガシャンとやった。芳村真理と井上順の顔は硬直していた。生放送を使って私を、脅迫してきたわけだ。
しかし、なぜ警察が捜査の状況を、放送を使って教えてくるのか、私には分からなかった。
でっち上げられ、私は犯人になっていた

私はテレビから離れていた。また普段の生活に戻っていた。私は○○駅北口前で、晴れた空を仰ぎながら、自販機でジュースを買い飲んでいた。すると左手の方から、中年の人物が現れ、私の顔を見るとニヤッと笑った。おやっと思っているうちに、その人物は私のすぐ側に3台並んでいる公衆電話のひとつで、電話をかけた。
「課長、犯人が○○駅にいます」。これを聞いて、私は驚いた。私は犯人になっていたのだ。そう、公共の利害に該当することを告発すると、犯人になるのだ。では、楠田はなぜテレビの本番を利用して、呼びかけているのだ。その呼びかけに気がついた人間は、犯人になり、逮捕される。不条理の世界というわけか。
普通、捜査段階では、犯罪を起こしたと見られる人物を、被疑者といいます。それを犯人と呼ばれたらどんな気がしますか。まるでテレビドラマの悪者みたいに言われたら…どうですか。私が久米、楠田、日テレ、資生堂を許さないという怒りをご理解していただけるでしょうか。
その刑事は駅の改札口に入る前に、いちばん右にある券売機で右手で操作して切符を買い、駅に消えて行った。残された私は、不思議でならなかった。なぜその刑事は、わざわざ私のすぐ側の公衆電話で、報告をしたのだろう。もっと離れたところには、ボックスの公衆電話がある。ことの成り行きから考えると、刑事は私に聞こえるように、わざとやったのだ。「ヒットスタジオ」の延長線ということだ。
この時点で、警察やテレビ側が考えたことは、こういうことだろう。
| スタジオやテレビ局でしていることが、全てバレバレに、私に伝わっている。全て私は知っている。「おしゃれ事件」も捜査もなにもかも。テレビ局につながりのある人物なのか? |
そして私がテレビから離れ、少し落ち着いてきたとき、私を激怒させたことが起きた。例によって、普通の「見るテレビ」から「見られるテレビ」にして、テレビ側は意図的に私に呼びかけてきた。
父が「じゃ、日テレのニュースでも見るか」などと言いながら、チャンネルを合わせた。昭和56年3月10日(火)、6時30分からの「ジャストニュース」です。ここでアナウンサーの小池裕美子が、ニュースを放送しながら、カメラに向かって一瞬、睨んだのです。これに私はカッとなりました。
私は、やれやれこれで終わりだと少しホッとしていたのです。そこをやるのですから、私が怒ったのも理解してもらえるでしょう。これは様々なことを意味しています。怒った理由はいくつかあります。
- 小池裕美子は、日本テレビの楠田枝里子の同僚です。「おしゃれ事件」のことも、当然知っているわけで、それで彼女は何をしたのでしょう。見て見ぬ振りをしていたのでしょう。そういう人から、私は抗議文に対して、どうこう言われる謂れはないです。
- それと同じく日本テレビのニュースで、それ以外のアナウンサーらが、なぜ「見られるニュース」を放送して、私に警察や何かについて気づかせようとしたのでしょう。私から見れば、大きなお世話です。フジの逸見や田丸の方から、いっせいに放送を使ってやるように言われたのでしょう。迷惑です。あなた方のやるべきことは、「おしゃれ事件」の報道です。
小池裕美子は、「カメラに向かって睨む」という表現を、どうして知ったのでしょう。つまり、テレビは不特定多数の視聴者に放送しているのです。視聴者を睨むのですか。違うでしょう。この表現をすると、私が理解するということを、フジの逸見らを通じて知っていたのでしょう。
私は爆発しました。

日本テレビの報道は私を騙した

小池裕美子のニュースが終わった頃、私は公衆電話にとんでいき、日本テレビに電話しました。抗議をしたのです。いったい何の権利があって、おかしな放送を延々とできるのか。小池を電話に出すように迫りました。普通だったら、アナが出ます。ところが小池は逃げたようで、電話は局内をたらい回しにされました。そして交換手は、報道に電話をつなぎました。
報道部の男性は、私の説明に、最後に「それだったら、オフィース・ワンに電話をしてください」と言いました。私はその番号を控え、ダイヤルしました。
そこでの会話はこうです。
「手紙の日付は?」と聞いてきました。つまり、抗議文の文書の日付です。私は適当に答えました。なぜなら、自分が消印を押しているわけでもなく、この頃の私は、郵便についての知識が不足していました。
そして私はこう訊きました。「罪をきせられてしまうのですか」と私。「そういうことになりますね」と相手は自信たっぷりに言いました。ガチャ。
ここで私は少し混乱しました。「おしゃれ」の制作会社のオフィス・トゥ・ワンとオフィース・ワン。加えて、大学の英語の授業で「法廷」という意味もあるというのを、思い出したからです。辞書を引くと、場所では役所、官庁。職では官職、公職。無理やり警察というニュアンスを与えても、捜査1課は殺人などを扱う部署。数日後に再度、オフィース・ワンの電話番号を日テレの交換手に訊くと、そんなところはないと答えた。
これらの会話の内容から、相手が警察であることが、後に分かりました。罪というのは警察です。ところが、小池裕美子のニュースのテレビ表現を、なぜ警察が知っているのですか。小池裕美子は警察に言われて、ニュースでやったのですか。日本テレビはニュースの細かい表現を、警察に説明させるのですか。おかしいですよね。
つまり、日本テレビの報道が私を騙して、警察に当てたのです。
また、この捜査課長との電話のなかで、こうも言っていました。「直接会って話さないと」と。それで私は、電話の内容を具体的に書き手紙に書きました。
直接会って話してもかまわなかったが、私は体調が悪く、自宅の近くで会える所はないか探したが、なかった。しかし、それ以上に、会って話す必要もないと思っていた。「おしゃれ」事件を報道などしないのだろうし、テレビで見ただけだし、他に何もない。まして視聴者に、なぜおんぶにだっこなんだか分からなかった。
私は警察が逮捕にくるのだろうと、自宅で待ちました。この日以来、家族は何も知りませんでしたが、家を留守にしないように、私を人が訪ねてきたら、必ずとどめ置くように家族に言いました。裁判の準備を始めましたが、警察は来ませんでした。
そしてよくよく冷静になって考えてみると、家に来た人物と電話に出た人物と、同一人物であることに気がつきました。
逸見政孝と電話で話すと

私は逸見政孝と電話で話しています。こんな内容です。
「抗議文はどうですか」と私。
「問題ないですよ。でも電話してきちゃ困るんです」と逸見政孝。
これらの会話で私は不思議に思いました。直接話をしてはいけない。そのくせテレビの放送を利用して、あれこれやってくる。これはテレビの放送だなと、これがひとつのポイントになっていると思いました。つまり、
放送を使ってやる。放送で分かってしまうということです。これがキーワードです。
名誉毀損罪限定とは

’81年(昭和56年)4月16日、名誉毀損罪限定。「おしゃれ」でしたように、テレビの放送を悪用したような行為は、公共の利害に該当する。そう最高裁で団藤裁判長が判断をした。これらのことは、私を起訴するために、警察から検察庁、そこから地裁、高裁、最高裁と移送されたもの。同じ名誉毀損罪で、これにより「月刊ペン事件」は、高裁に差し戻しされた。
「おしゃれ事件」への私の抗議文によって、名誉毀損罪は限定された。このように具体例がないと、最高裁といえども判断ができない。たとえば、自衛隊が違憲かどうかというのも、例がなければ判断ができない。
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| ’81年(昭和56年)4月16日読売新聞夕刊 |
’81年(昭和56年)4月16日朝日新聞夕刊 |
当時の新聞を読んでみよう。朝日新聞では、
創価学会の池田大作名誉会長(当時は会長)の女性関係を雑誌「月刊ペン」に掲載し、名誉毀損罪に問われた同誌の元編集局長、隈部大蔵被告(61)の上告審で、最高裁第一小法廷(団藤重光裁判長)は16日午前、1,2審の有罪判決(懲役10月、執行猶予1年)を破棄し、東京地裁に審理のやり直しを命じる判決を言い渡した。判決理由は「私人の私生活上の行状であっても、社会的活動の性質及び社会に及ぼす影響力の程度などによっては、その社会活動に対する批判ないし評価の一資料として同罪の免責条項(刑法230条ノ二第一項)にいう『公共の利害に関する事実』にあたる場合がある」と、この免責条項について初めての判断を示した。この判決は、実質的に名誉毀損罪適用の範囲を限定し、言論の自由の尊重を一歩進めた、と言える。
続いて毎日新聞では、
この日の判決はまず「公共性」に対する一般論として「私人の私生活上の行状であっても、社会的活動の性質や社会に及ぼす影響力の程度などによっては、社会的活動に対する批判または評価の資料として公共の利害に関する事実にあたる場合がある」との判断を示した。その上で本件について「問題の記事は……」と認定、免責条項の「公共性」に該当するとした。
また同判決は「公共性」が存在するか否かの判断基準として「公表された事実自体の内容、性質に照らし客観的に判断すべき。公表する際の表現方法や事実調査の程度などは免責条件の公益目的の有無認定に関し考慮すべき事柄だ」との考えを明らかにしている。
これによって「月刊ペン事件」は地裁に差し戻されました。
これについて山崎尚見・創価学会副会長の話は、
判決は名誉毀損罪における「公共性」の基準を法律解釈上明らかにしたものにすぎないと理解している。隈部被告の記事は、公益を図る目的で書かれたものではなく、意図的な捏造、根拠のない非難、中傷であり、東京地裁での有罪を疑ってはいない。
これらのところで「一般論として」あるいは「あたる場合がある」というのは、私の抗議文を指しているものです。これらは私の抗議文の事後処理で書かれたものの要旨です。

「月刊ペン」差し戻し審:罰金に減刑

ではその後の月刊ペン事件は58年6月10日に、地裁での差し戻し審で、男女関係に関する部分が侮辱的・嘲笑的であり、全体として調査不十分として発表されたもの、として有罪になっています。朝日新聞を引用すると以下になる。
公益性は認めるが、真実の証明なし
創価学会の池田大作名誉会長をめぐる女性スキャンダルを雑誌「月刊ペン」に執筆、掲載し、名誉毀損罪に問われた同誌元編集局長、隈部大蔵被告(63)に対する差し戻し審の判決公判が、十日午後一時から、東京地裁刑事十五部で開かれ、秋川規雄裁判長は、差し戻し前の一審と同じく有罪と認定、改めて罰金二十万円(求刑懲役十月、執行猶予一年)の判決を言い渡した。 |
読売新聞社説:やはり重い報道機関の責任

昭和56年(1981年)4月18日(土)の読売新聞社説を読んでみよう。読売新聞
「月刊ペン」の名誉毀損事件で、十六日に最高裁第一小法廷(団藤重光裁判長)が言い渡した上告審判決は、報道に携わる者の責任の重さを改めて強く認識させた。国民の「知る権利」に積極的にこたえる義務と、ペンの暴力化を排除する自覚との再認識が迫られているといってよい。
創価学会批判特集記事のうち、池田大作・同学会名誉会長の女性問題にかかわる部分が名誉毀損罪に問われたのが、「月刊ペン」事件の裁判だった。
一、二審判決は、記事の内容、表現方法、うわさや伝聞に頼った調査方法などの諸点を考慮して、記事が「公共の利害に関する事実(事柄)」にあたらないと判断して、被告人(筆者である「月刊ペン」元編集局長)を有罪とした。
記事などで公にした事柄が名誉毀損罪に当たらないためには、その内容が、@公共性A公益性B真実性、という三つの要件を具備していなければならないとされている。一、二審判決は、その第一の関門で、月刊ペンの記事を有罪とした。記事の目的や内容に踏み込まない、いわば、門前払いの有罪認定だったといってよい。
しかし、最高裁は、「私人の私生活上の行状でも、その携わる社会的活動の性質およびこれを通じて社会に及ぼす影響力の程度などのいかんによっては、その社会的活動に対する批判ないし評価の一資料として、゛公共の利害に関する事実゛にあたる場合がある」と解釈した。
そして、池田会長(五十一年当時)の信仰上の位置、直接・間接の政治的活動による社会的影響、醜聞の相手とされた二女性が元国会議員だったことなどから、池田会長の行状には、「公共性」があると認めた。
池田会長や元国会議員が、この記事を告訴し、名誉の回復を図ろうとしたのは、まさに、会長らの社会的な地位や影響力をも考慮したからだろう。そうであれば、このように、記事の対象の公共性が広く解釈され、池田会長にも適用されたのは、訴訟当事者すべてにとって好ましい成り行きだったと受け止めたい。
問題は、こうした記事の「公共性」と「真実性」の立証に移るわけである。それは、言い換えれば、記事の価値が全面的に評価し直されることを意味する。記事の是非、被告人の罪の有無は、今後、より厳しく審査されるわけである。
そうしたことを考えると、最高裁の判決を、「報道、表現の自由」という拡大という面だけでとらえるのは早計といえよう。公共性の関門を通過しても、「公益性」「真実性」という第二、第三の関門が立ちはだかっている。しかも、それらの立証の責任は記事を書いた方にある。
さらに、忘れてならないのは、報道の節度である。例えば、民事、刑事ともに、名誉毀損の免責理由に、「犯罪行為に関する事柄」がある。しかし、良識ある報道は、そうした報道でも自制の姿勢を失わない。あるいは、芸能人やプロスポーツ関係者だからといって、プライバシーの侵害は許されない。
報道機関が、国民の信頼にこたえる公平で品位ある報道をするためには、報道陣は、細心の取材と客観的な表現に努め、興味本位の報道を避ける心構えを持たねばならないのは、いうまでもない。 |
私の「おしゃれ事件」への抗議文は、「公共性」「公益性」「真実性」において、全く問題ないとされました。
毎日新聞社説:「表現の自由」と報道の責務

昭和56年(1981年)4月20日の毎日新聞社説を読んでみよう。
最高裁第一小法廷(団藤重光裁判長)は、池田大作創価学会会長(現名誉会長)の女性関係を掲載して名誉毀損罪に問われている「月刊ペン事件」の上告審判決で、「社会的影響力のある私人の私生活の報道には公共性がある」という新判断を下した。これは、表現の自由のワクを事実上広げる方向につながるものとして注目される判決である。
表現の自由は憲法二十一条で保障されているが、一方で刑法二百三十条の「名誉毀損罪」がそれを制限する刑事罰として存在し、両者の調整をはかるものとして刑法二百三十条二項のいわゆる「免責三条件」がある。
つまり、表現の内容が@公共の利害に関するものであり、A表現目的が公益のためであり、B事実が真実かまたは真実と信じたことに手落ちがなかったこと--の三条件が証明されれば「名誉毀損罪」に当たらないというものである。
過去の裁判では、主として報道された内容が「真実であるか否か」が争われ、その争点に至る前提である「公共性」や「公益性」に関しては裁判例も少なく、判例のつみ重ねがなかった。
この点、今回の最高裁判例は「公共性」に明確な判断を示した。創価学会という組織の頂点にある池田氏の私生活には公共性があるとし、個人の女性関係などスキャンダルに関する報道にも、対象人物いかんでは公共性があるという新判断だ。
私人の私生活報道について、裁判所が広い解釈を与えたことで、報道関係にとっては取材・報道の自由が広がったと歓迎されている。それだけに個人のプライバシー保護という観点から、従来以上に取材方法や報道内容についての、厳しい自戒が求められることはいうまでもない。
いわゆる特ダネ競争や、売らんかなの部数競争が過熱しがちだ。そのため社会の常識をはみ出したり、読者からもひんしゅくを買ったりするケースが、ときに散見されなくもない。表現の自由は国民の基本的権利としてもっとも大事なものだけに、報道関係が自らの手でそれを汚すことがあってはならない。 |
いったい何の為に、絶望の中で、私は倒れた

’81年(昭和56年)4月16日(木曜日)、名誉毀損罪が限定された日、テレビやラジオは、沸騰していた。
この当時、超音波盗聴の始まる前は、テレビ・ラジオに出演するその多くの人が、私を応援していたのです。しかし、その後テレビ側らが超音波盗聴をし、私との対立が明確になりました。そのことをテレビ側らは超音波盗聴機で盗聴して知っています。それで私と民放テレビ・ラジオ局との対立は決定的になったのです。
また、私と民放テレビ・ラジオ局との対立は、警察が最も望むことです。そう仕向けることで事件化することができます。彼らは、テレビの本番を悪用した「おしゃれ事件」は、有名人が沢山出ますから、私を犯罪者にでっち上げ、これらの事件をそれこそ生涯の手柄にすることができます。後の事件の伏線がここにあります。
最高裁の団藤裁判長が「この人には罪はない」としたのだ。私は、しばらく考えがまとまらなかった。私が罪にならないといっても、それに何の意味があるのだ。それでは何も変わらないのではないか。いったい何の為に苦労して、抗議文を書いたのだ。視聴者利益がない。私にも何の利益もない。これでは抗議文を書いた意味が全くない。書かなかったのと同じだ。
それどころか私は警察の捜査対象となっている。虚偽告訴されでっち上げられ、弾圧され。日本という国は、民主主義の国でもなく、ジャーナリズムもなく、いったいなんという不条理な国だろう。絶望の国、日本。
絶望の中で、私は倒れた。
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