抹茶の色した誰かの胸で・・・・・・・




うわー、なんじゃこりゃあああああっ!!

わたしを「愛死に」させる気ですか 営団は!!!
これは、すごい・・・・・・駅員の駅員たるすべてが「無」に濃縮されています。

    営団地下鉄が東京メトロになるのを、あなたは気づいてくれますか?

という旨のポスターですが、制服の変化にも、そんなに気づいて欲しいのでしょうか・・・・。

それにしても、この制服はただの制服でありながら
微妙にふくらみをもっているところ、それでいて透明なところがもう、ぐぐぐっときてしまいます。

この制服は、ただ着るための服ではない。

クビとかソデが、円形にふくらんでいるんですよね。だから、これはもはや
生命体としか言いようがないのです。

駅員さんは、みんな透明だと思うのです。ほら、スリーナインの車掌さんと、おなじです。
そしてそんな透明な駅員さんが、ドクンドクンとあたたかい粘液を持っていて
わたしのことを抱きしめてくれるのです。
その抱きしめ方は、投網がぱあっとひろがるように、完膚無きまでに、抱きしめてくれる
のです。駅員さんは、どんな些末なことでも、大切に拾い上げて、手袋の手のひらで
そっところがして、ふーふーして、くれるのです。
いつだって駅にいれば、わたしはそんな愛情につつまれています。
わたしが恋をするのは いつだって透明なひと。恋ってなんて素晴らしいのでしょう。
駅員の暖かさについコックリしていると
「お客さん お客さん」って顔のない駅員が
眠りを覚ましてくれました


お客さん お客さん、ミヤさん。

秘密ですけど わたくしは もう

3がつでいなくなるのです

しっていましたかお客さん
この制服は ただ着るための服ではない
って
よくぞ言ってくれました
お客さん ミヤさん
わたくしはもう 少しずつ死んでいるのです
わたくしはもう 少しずつ薄まっているのです
肉体をもった誰かが わたくしをそっと脱ぎ捨ててゆきます
脱ぎ捨てられて しおれた風船
いくつもの わたくしが 空に浮かんでつながってゆきます
手をつないでバイバイだね
東京のはるかな空のうえ
ああ、わたくしが思い出すのは8年前 地下鉄でたいへん悲しい事件がありました
あのとき わたくしは 東京を 守りきれなかった
それだけがとても 悔やんでおります
お客さん お客さん ミヤさん ミヤさん
「抹茶の色した駅員さん」は もうおしまいになるのです
ほら、だんだんと光にとけてゆく わたくしが見えますか
お客さん ミヤさん、 さぞかしわたくしを笑ったことでしょうね
駅員としては珍しい緑系統の色に 
チョコンとしたドゴール帽子 だから 
お客さん
さぞかしわたくしに似合わないと思ったことでしょうね
こんなわたくしを
思い出してくれなくても いいのですよ
わたくしは 死ぬわけではありません
ただあなたにはみえない どこか遠くの峠に行くだけなのです
風船の末路なんて 気づかなくても いいのです
わたくしは またわたくしが呼ばれるまで東京を見守ってゆきますよ
そして わたくしのいた地下茎の休み場所には ほら、
ミヤさんもきっと好きになるでしょう、もっとスマートなネイビーブルーの駅員の精が
東京の静脈を流れてゆくのですよ
いままでどうもご乗車ありがとうございました
いままでどうもご乗車ありがとうございました
こんなにヘンテコな制服の駅員で
ほんとうに申し訳ございませんでした