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西暦2030年。人間が創り出したコンピューターが、人類の生きる道を変えた。一人のハッカーが米国の国防省のコンピューターに侵入、ロシアからのミサイル発射を誤認させ、対抗処置として米国ミサイルの発射を指示したのだ。
それは地獄を見るようだった。国防省、ホワイトハウスともに、その事実を全く把握出来なかったのだ。
ロシア側は米国のミサイル発射を感知、即座に報復処置をとった。ミサイルの誤発射に気がついた両国のホットラインによる連絡により米国側からの発射数は5基、ロシア側が8基だったのがせもてもの救いだった。米国側からの発射ミサイル5基は太平洋上で、自爆システムを作動させたためロシア側に着弾することはなかった。
しかし、ロシア側が発射した8基のうち、自爆させることが出来たのは、5基だけで残り3基は、ワシントン、シカゴ、ロサンゼルスへと”順調な飛行”を継続したのだった。ロシア側の自爆システムの信頼度が低かったのだ。
米国から、最新鋭の迎撃ミサイルが発射された。装備されている全ての迎撃ミサイルだった。結論から述べることにしよう。ロシアから距離のあったワシントンとシカゴは米大陸横断中に撃墜、破壊することができたが、3都市のうち、ロシアに最も近い、カリフォルニア州ロサンゼルス郊外のサンタモニカ上空、1500メートルで、かつて人類が使用した広島型原爆の10倍に威力を持つ、原爆が炸裂したのだ。
死者1000万人。米国西海岸最大都市が一瞬にして、無人の大地に戻った瞬間である。正確極まりない、迎撃ミサイルの軌跡をコントロールするコンピューターが停電により一時誤作動したことも不運だった。悲劇は事故が重なることによって増幅する。かつての歴史がまた繰り返されたのだ。
米連邦捜査局とCIAの共同捜査でそのハッカーが逮捕された。なんとインド系の米国人だったのだ。天才的なコンピューター学者であった彼は、祖国の人口増加により毎日数千人も餓死者が出ている惨状を嘆き、地球上の富を独占している、米国とロシアを壊滅させれば地球上の人口が劇的に変化、食糧危機も改善されると信じたのだった。
米ソ両国の大統領と議会はその責任をとって辞任に追い込まれ、世界経済は混乱、折からの世界的な食糧危機もあって世界各地で大規模な戦争が勃発、まさに地球は悲劇のるつぼと化した。そして、約10年間にわたる地球規模の動乱の結果、世界人口会議が召集され、人間自身による人類のための人口制限が実施されることになったのだ。地球レベルでの人口調整を担当する警察、すなわち人口警察の誕生である。 |
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