取材日記(第2回)

7月20日(木)晴れ
 昨夜は午後6時40分に出発、館山着は午後9時半。
 午前9時に沖の島へ。北西海岸へ早速足を運ぶ。まず、陸上の海浜植物を撮影、その後、潮間帯の海洋生物を撮る。午後12時に帰宅、母の作ってくれた冷麺を食べて、自転車で三瓶さん宅へ向かう。付近で尋ねると、「あぁ珊瑚のある家ですね」と教えてくれる。
 本宅の隣に小さな家があり周りに珊瑚やら化石やらがところ狭しと置いてあるのですぐに判明する。電話で午後1時に伺う約束をしていたので、三瓶氏が待っていてくれた。
 沖ノ島の話から、海流の話、海底に眠る縄文時代の遺跡、そして珊瑚と、話はつきない。
 会社の名刺と自作の「ナチュラリスト」穂田正人の名刺を渡して、「沖ノ島のサンゴを見守る会」に入会させていただく。年会費1000円。
 同氏が、沖ノ島で採取した珍品をレストランで展示しているというので、案内してもらう。「花のすみれ」という軽喫茶で、土器や曲玉などを撮影。展示品の説明を受ける。十数年にわたって沖ノ島の自然観察をしてきた三瓶氏のその膨大な情報量にはただただ恐れ入る。
 館山市の行政が、首都圏の神奈川などと比べて、かなり立ち後れていることが氏の話しを通じて理解できた。沖ノ島ではキャンプもたき火も禁止されているのに、不心得者は後が絶たない現実も目の当たりに見てきたので、心が痛む。
 つい数年前はの多くの生物が棲んでいる、あの砂州に四輪駆動が走り回っていたという。
不覚にも知らなかった。その証拠写真には我が車と同じパジェロも写っているではないか。アウトドアブームのせいだろうが、今では砂州に入れないようにコンクリート壁が出来ている理由が判明した。
 なんやらかんやら話をしていると時の経つのも忘れ、気がつくと午後5時になっていた。珊瑚館に戻って、三瓶さんが長年にわたって撮影したキクメイシなどのサンゴの写真を貸していただいた。家に戻ってから、持参したエプソンのスキャナーで代表種を9枚ほどパソコンに取り込んだ。
 午後7時半から館山桟橋で「海ほたる」の採集があるというのでいそいそと出かける。
メンバー6人が空き瓶で作った捕獲期器で採取。かなりの数、というより生まれて初めてみる海ほたるの美しさに驚嘆する。手に掬うと本が読めるくらいの明るさになり、青白い光はまさに海の芸術品だ。カメラにその発光の模様を収める。シャッタースピードは1〜2秒。結構いい写真が撮れた。海ホタルは今週末に「アクアラインの海ほたる」で発光観察会を行うためのもの。観察会のあとは、また館山湾に戻すのでご心配なく。なお、鏡ヶ浦こと館山湾は関東地方で数少ない海ホタルの棲息地であり、この海ホタルは非常に貴重な生物である。採取方法はここでは秘密としておこう。
7月21日(金)快晴
 午前9時には沖ノ島へ。前回来たときには咲いていなかったネコノシタやラセイタソウの花をカメラに収める。そして前回は知らなかったため撮影できなかったワレカラを探す。
 北岸の砂浜に打ち上げられていたホンダワラを慎重にほぐすと、いるいる、体長8ミリほどのワレカラがダンスを踊っているではないか。
 NIKON COOLPIX990にマクロレンズを装着、砂浜に腹這いになって撮影をする。付近にいた数組のカップルが怪訝そうな顔をしている。中年のおじさんが這いつくばって海藻を覗いているのだから無理もないだろう。
 午後12頃、いよいよ初の本格的スクーバダイビング。オリンパスのカメラを片手に、ウェットスーツに着替えて北西岸に恐る恐る入る。水温は思ったより冷たい。水深1メートル程度の岩礁帯、専門用語で漸深帯をウロウロする。折しも、台風5号が小笠原付近まで来ていたため、波が結構あって、撮影がなかなかうまくいかない。ここだと思ってカメラを構えると、波で体が運ばれてしまう。おまけに透明度もイマイチなので、悪戦苦闘の連続。小一時間ほど挑戦していたが、気分が悪くなってしまった。
 船酔いならぬ、波酔いをしてしまったようだ。なにか、体の力が抜け、頭も少し痛い。風邪気味のせいもあるかもしれない。これから、というときに残念だったが、明日に期待をして初日は無理をしないことにした。車に戻って、おにぎりを食べたが2個しか食べられず、そうそうに引き上げることにした。
 帰宅後、撮影した120枚の写真のうち使えそうなのは、ほんの2〜3枚で、ちとガックリであった。

7月22日(金)快晴  

今日は土曜日ということもあって、海水浴客が多い。砂州の近くの道路はすぐに満杯になってしまうが、午前9時とあって一番近いところに車を置くことができた。
 分布図用の植物で写真がイマイチなのをもう一度撮り直す。昼食を少し早めの食べて、今度は波の静かな南岸と東岸を潜る。南岸は波も弱く動きやすい。イソギンボやカゴカキダイの幼魚などが、まぐれで撮影できる。近くで子供がスノーケリングをしていたが、体の動きがなめらかで実にうまい。この南岸の潮間帯に浅瀬のサンゴの世界的北限であるキクメイシモドキを棲息しているので一生懸命探すがついに発見出来ず。 今日は、昨日よりは少しまともな写真が撮れたようだ。しかし、水中写真は難しい。
南岸のあとは東岸へ。ここは下が岩ではなく砂浜である。アマモの群落があって、その合間を縫ってカシパンを探すがこれも遭遇できず。たまたま見つけたイモガイの宙返りの撮影などをする。

7月23日(日)快晴
 朝食後、昨日捕獲してきたヤドカリを貝殻から出して撮影、貝殻にもどるところを撮影しようとしたが、ちと目を離したすきに入ってしまい失敗。何回もやると弱るので次回にすることにした。午前10時出発、ヤドカリを海に帰して、東京へ。午後1時に到着。
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