サロンマジック虎の巻


山本晃弘の「BGMの考え方」


山本晃弘さんについて(文・田代 茂)

  学生マジックに詳しい方から、「手品が上手な学生マジシャン」のビデオを見せて頂いたのが1999年の秋であった。そのとき、一番よいと思ったのが山本さんである。メンバー紹介にもあるように、その才能は広く認められている。関東大学奇術連盟の発表会にも何度か参加され好評であった。特に1998年春のシガレットの演技は高く評価され、またリングの演技では1999年テンヨーフェスティバルにも招待されている。

  個人的にお付き合いをさせて頂いても、大変明るく感じのいい方である。つまらない質問にもいやな顔をされることなく懇切丁寧に教えて下さる。2000年2月にIBM大阪の例会にて演技をされた際も、すばらしいマジックもさることながら、その素敵な人柄にメンバーの皆さんも好感をもって頂けた。今後も様々な場面で活躍が期待される若手マジシャンである。

  当面、「サロンマジック虎の巻」は山本さんに何本か書いて頂く予定でいます。御期待下さい。



はじめに
  ステージマジックというものは、なかなかやる機会が無いものです。音響機材や照明、会場、スタッフなどの手間がかかり過ぎる上、練習に付き合いながら適切な批評をしてくれる人が要るということもあり、コンテストに参加する方は苦労しているのではないでしょうか?ここではステージについて私の経験から得たことをつれづれなるままに記そうと思います。コンテスタントの方や、所属しているサークルでステージをやっている方など、参考にして頂けたら幸いです。

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  ステージマジックがクロースアップマジックと異なる点として、(多くの場合)言葉を使わないということが挙げられます。この大きな表現の欠落から、より高度なショーマンシップが要求されることは明らかでしょう。表情や身体の動きを洗練させることはもちろんですが、特に使用する曲と演技をピッタリ合わせることにスポットをあてて考えてみることにします。

  曲をただBGMとして用いるよりも、ピッタリ演技を合わせてみせる方がスゴく見えるということに異論は無いと思います。それでは、選曲について、みなさんはどのように決めているでしょうか?一般に、ノンヴォーカルで、雰囲気やテンポが適当なものを選んでいることが多いと思いますが、ここでもう一歩突っ込んで選曲をしてみましょう。

  まず、やりたい演技のつかみ、見せ場、トリネタ、それから演技時間をある程度決めてしまいます。それから、各演技が合う箇所があり、かつ雰囲気とテンポ、時間が適当な曲を探します。曲からインスピレーションを得る場合もありますので、あまり細々と決めすぎるのも考えものですが…。探す作業は手当たり次第にレンタルするより、他演者が使っている曲や気に入った曲のアーティストをまとめ借りすると効率が良いです。参考までに近年の学生がよく使用しているものを少し挙げると、クライズラーカンパニー、シルクドソレイユ、ヴァネッサ・メイ、ダルファー、スカパラ、矩形波倶楽部などがあります。

  最近では曲は容易に編集できますが、私はこれがあまり好きではありません。作曲者が曲を構成する作業は、我々が手順を構成するのと同じですから、良く練られている構成をなるべく生かしたいというのがその理由です。また、曲をアマチュアに依頼する際も、演技に合う曲は作れてもしっかりした構成の曲が作れるかどうかが心配です。この場合あれこれ注文しすぎない方が良いかもしれないですね。

  さて、良い曲が見つかったら、とにかく聴きます。寝起きや食事、通勤・通学など、いつも聴くことでイメージを固め、どのタイミングでアピールを取るか、といったことを徐々に決めていきます。そして、実際に道具を使ってやってみて、無理が無いかを確認します。この時に大事なことは、現在の腕前でなく、完成型を想定することです。大抵の場合、うまくなって曲が少し余るようになってしまうからです。

  完全に手順が決まり、動きが安定するまでは時間がかかると思いますが、その過程でも曲と合うように練習することを勧めます。というのは、本番で失敗したときに、きちんと合わせられるようにフォローが出来るようになるからです。加えて精神的な余裕もでてきますし、集中しないでも曲が耳に入ってくるようになるというメリットも得られます。