「バカかおまえは!? なんで俺がおまえの看病なんかしなくちゃいけないんだ? 女を呼べ、女を!」
怒声とともに回線が切られた。
39℃の熱がでた日。どうしようもなくて助けをもとめた相手は、ふざけるなと言わんばかりにこちらの願いを無視した。
女を呼ぶなんて、できていたらとっくにしている。
連絡ひとつで来てくれる女なんかたくさん知っている。親身になって介抱してくれる女も多いだろう。
でも、彼女たちではだめなのだ。
どうしても心が落ち着かない。彼女たちが、いや、ほかの誰がいてもそうなのだ。深く眠ることができない。
たった一人の例外があいつだったけれど、断られたんでは仕方がない。
だるい身体をひきずってベッドにもぐりこむ。
寒さに肌がふるえた。
自分をひとりにしておく相棒を恨めしく思いながら目をつぶった。そのうち眠りが訪れた。
喉の乾きに目がさめた。幾分熱は下がったように感じたが、まだ身体がだるい。
水をとろうと寝返りをうったとき、サイドテーブルの照明をしぼったランプに照らされた淡い金色の髪がみえた。
ベットの足元ちかく、もたれるようにしてあいつは眠っていた。
なんだよ、ちゃんと来てくれたんじゃないか。
自然と笑みがもれるなか、ふと初めて出会ったころのことが思いだされた。
十年もまえ、まだ十五歳だったころ。
ひどいケガをして病院のベッドにしばりつけられていたとき、やはりこんなふうにそばにいた。
(なんでいるんだよ?)
友達ともまだ言えないような相手がそばにいることが不思議でそう訊いたら、あいつはもっと不思議そうな顔をして答えたのだった。
(ケガしてるヤツのそばにいるのなんて、あたりまえだろう?)
あのときの、くすぐったいような感覚は今もまだ覚えている。
そして今、同じような気持ちになりながら目を閉じる。
きっと夢もみないほど深い眠りが訪れると信じられたから。
SHINE2 終