Cheek to Cheek

『トップ・ハット』 (1935)

 『カイロの紫のバラ』をご覧になったことはありますか?
“Cheek to Cheek”(チーク・トゥ・チーク)が効果的に引用されています。僕にとっても、多くの人にとっても 映画ってこんな存在なんだよね、ってうなづける素敵なシーンでした。高尚な映画論も結構ですが、つまりは映画は光と影。みる人の気持ちで楽しむ娯楽であり、芸術です。
 失恋の痛手で涙にむせぶ主人公が入った映画館で『トップ・ハット』が上映されている。何となく銀幕を見るともなく眺めていた彼女は、いつのまにか、アステアたちが“Cheek to cheek”を踊るのを一心に見つめている・・・・
 さて、ここに登場する Cheek to cheek は、アーヴィング・バーリンの作曲で、とてもロマンティックな一曲。
バーリンは「ホワイトクリスマス」などで有名な、アメリカが誇る作曲家。
♪“When we are together dancing cheek to cheek”・・・・と、この名曲にのって華麗なステップを、アステア&ロジャースが披露してくれます。アステアの指の動き、ロジャースの恍惚としたムード、どれをとってもお洒落で、この場面を観るときは、映画が好きでよかったと思える至福のひとときです。

チーク・トゥ・チーク  天国にいるようだ 胸が高鳴って 口もきけない
  これぞ幸せ 君と一緒に 頬寄せ踊る
  天国にいる気分だ こころの悩みなんか
  一瞬に消える 君と一緒に 頬寄せ踊る

  高い山を制覇するのもいいけど
  この気持ちに比べれば 味気ない
  小川の釣りも楽しいけど
  この気分に比べれば つまらない

  君を抱いて踊れば 僕は夢心地
  天国にいるようだ 胸が高鳴って 口もきけない
  これぞ幸せ 君と一緒に 頬寄せ踊る・・・・・

 以前、NHKでアメリカのショー番組を放送したことがあります。その中でミュージカル映画のハイライトが次々とショーの会場に映し出されて、観客が拍手を送る演出がありました。いろんなエンターテイナーが登場しましたが、アメリカのショービジネスの厳しさか、拍手の大きさはハッキリし過ぎるくらいダンサー、シンガーによって違ってました。
 ひときわ拍手が大きかったのが『イースターパレード』のラストシーンでジュディ・ガーランドが歌う場面と、この『トップ・ハット』の“Cheek to Cheek”でしたヨ。


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