『チャップリン自伝』に、こんな手紙が紹介されている。
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……数週間前のことですが、とてもうれしいことがございました。やっと『ライムライト』を拝見いたす機会がございました。ごくプライベートな映写会ですが、ミス・ランサーからお招きをいただきました。出席者は20名ばかりでしたが、私の存じ上げている方では、シドニイ・チャップリンご夫妻にミス・ランサーとロリイだけでございました。
わたくしは離れて後ろの方に坐り、いろいろと独りで感慨にふけっていました。本当にそうしてよかったと思います。おそらく、一番大きな声で笑ったのも、一番多く涙を流したのも、このわたしだったろうと思います。あんな結構な映画は見たことがございません。ロサンゼルスでは一度も上映されておりません。
ラジオでは『ライムライト』の音楽がレコードで流されています。美しい音楽でございます。聴くたびに胸がじーんといたします。しかし、作曲者であるチャップリン様のお名前は放送されません。……
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チャップリンがアメリカを追放同然で去る前に、ハリウッドで執事をつとめていたヘンリイがスイスにいるチャップリンに宛てた手紙である。
この曲は、1950年代のヒットチャート上位にあがった映画音楽のひとつで、万感胸に迫るメロディーは、物語の美しさとあいまって、聴くものを魅了する。それにしても、作曲者たるチャップリンの名前が放送されない、とは赤狩り時代のアメリカの寒々しさに唖然とする。
“ライムライト”、“スマイル・テリーのテーマ”など、いろいろな曲名で呼ばれているこの曲、まさにチャップリン映画音楽の最高傑作、ひいては映画音楽史に輝く名曲である。
“I've been lovin' you, eternally ...”という出だしではじまる歌詞をつけて、“エターナリー(永遠に)”というタイトルもある。森山良子さんが、“いーつまでもー
あなたを〜”という訳詞で、無伴奏で手回しオルゴールを回しながら歌うのを聴いたときは、感動した。
メランコリーと形容すればよいのか、哀愁を帯びた旋律に優しく包まれる気持ちになる。曲想は、次第に高まったかと思うと下がり、の繰り返しで実に美しく展開する。
映画の中では、タイトルバックからそのメロディーが流れ、青年ピアニスト・ネヴィルの奏でるピアノや、後半のバレエで繰り返し演奏される。特にバレエ場面の編曲は見事で、クレア・ブルームやエグレフスキイほかが曲にあわせて舞う美しさは圧巻である。
私にとって、このテーマ曲こそは映画音楽のベスト中のベストである。
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