シーンを再現してみましょう・・・ 寅が柴又に帰ってきます。とらやに入りづらそうな寅さんをやさしく迎えようと、おいちゃんたち一同は、努めて明るく再会の喜びを演出しますが、演技過剰で(特にタコ社長がオーバーアクションすぎる〜)、寅はかえって機嫌が悪くなってしまいます。
「結構だヨ!結構毛だらけ猫灰だらけ、お尻のまわりは糞だらけだい。」
「おにいちゃん!」
「うっせーな。なんでえ、たまに帰ってくりゃ どいつもこいつも 膨れっ面ばっかりしやがって。つぶれた工場行ってな、テメエの亭主の顔見てくるよ!……おいちゃん、これはおいちゃんに買ってきた孫の手だ。ホラ。……ったく」
「ハアァ〜〜〜 いやだやだ。俺は横になるよ。オイまくら、さくらとってくれ!いや、違うな。さくら、枕とってくれ。
アアアアァ〜〜〜………」
僕の記憶では、おいちゃんの「まくら」と「さくら」の取り違えは、脚本にはなくアドリブだったとか。
上のように文字にすると、映画の呼吸がうまく伝わりませんが、絶妙の間合いでこれらの会話が飛び交う楽しさが『男はつらいよ』にはあります。