身投げを考えた。銃で死ぬことも。


『ブロードウェイのバークレー夫妻』 (1949年) より
主 演   フレッド・アステア   ジンジャー・ロジャース

(ネタバレありです…)

 だましたつもりがバレていた。そんなとき、アステアは怒るのである!
二人の中は最悪の状態になっていた。妻 ダイナ(G・ロジャース)はミュージカル女優から転身し、悲劇女優として新たな一歩を踏み出す。彼女と長年ミュージカルの舞台に立ってきた夫・ジョシュ(F・アステア)は、妻との離婚に同意する。
 そのとき、妻は夫が影で自分を支えていたのを知ってたことを明かす……傷つく夫のプライド。

ジョシュ 「身投げを考えた。銃で死ぬことも。飛び降りもだ!」
ダイナ  「ダメよ。危ないわ」
ジョシュ 「知ってるさ」
ダイナ  「……」
ジョシュ 「……」
ダイナ  「愛してるわ!」
ジョシュ 「もう離さないゾ!」

 そして、二人はミュージカルを作ろうっ!ってことになり、いきなり応接間で “Manhattan Downbeat”を 唄い、踊り出す……
応接間のダンスの映像は そのままブロードウェイの舞台に重なり、絢爛(けんらん)たるショウのフィナーレになだれ込む。



このやりとりは私のお気に入りのひとつ。ピストル自殺したら、“危ない”前に死んじゃうよ〜
それにしても、なんと素晴らしき展開だろう!
アステア&ロジャースの前では、この台詞を深く考えることも味わうことも許されない。
なんせ、すぐさま思考を奪い去る見事なナンバーが展開し、エンドマークが待っているのである。
我々は とにもかくにも二人が仲直りして笑顔でラストを締めくくってもらえば それでいいのだ。

オメデタイ、オメデタイ ミュージカルの定番ストーリー。
映画最後の2分で、かくもゴキゲンなハッピーエンドに突入する楽しさ。
意地を張りつつも、誤解が解けたり、あるいは「私が愛しているのは君なんだ」と気づいたりして、結局仲直りして、最後は嬉しく愉しい大団円に勢いよくもっていく。
前作 『イースター・パレード』(1948年)でも同様だったし、アステア&ロジャースコンビの一連の作品も大同小異だ。
このテの 展開を演じさせたら、二人に並ぶコンビは そういないだろう。

もっとも、二人の間の名台詞は、何にもまして あの軽快なタップの音であり、あの心地よい歌声であることは いうまでもない。

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