小学校の時分は俺はサーカスに入りたくってな、忘れもしねえよ。
中学の頃にゃ、テキ屋に憧れて、四谷、赤坂、麹町、チャラチャラ流れるお茶の水、イキなねえちゃん立ちションベン――
まあ、俺なりに貧しい小さな夢を抱いていたんだが、
結局 今はこうやって……あれ、俺やっぱりそれやってんのか。
そうだな、ビールの一本でももらうか。――それとも昼間から働いている労働者諸君に悪いか。
ま、いいや。勘弁してもらおうか。 一本持ってきてくれ。
生きている間は夢だというのは、確かセックスピアの言葉でしたな。
一寸の虫にも五分の魂というくらいだ、ましてや相手は四ツ足だ、
人間の気持ちが通じねえ訳がねえだろう
……競馬場にて
満 男 人間は何のために生きているのかな?
寅次郎 何て言うかな、ほら、 あー 生まれてきてよかったなって思うことが何べんかあるだろう、
そのために 人間生きてんじゃねえのか
お前、遠山の金四郎を知らないの?
ほう、驚いた、裁判官になるっていう男が あんな偉い男を。
……法律家志望の青年(平田満)に
若 菜 秀才よ、法律の勉強してるの
寅次郎 へーえ、悪いことでもしようっていうのか?
……若菜(樋口可南子)の隣室に住む法律家志望の青年(平田満)について
アメリカ人だからって金持ちばかりじゃないんだね
自分の醜さに苦しむ人間は、もう醜くはありません
寅次郎 バカヤロ、あのお嬢さんがラーメンなんか作るかい、手前の考えは貧しいからいけねえよ
源 公 そいじゃ、何作るんだよ
寅次郎 きまってるじゃねえか、スパゲッチーよ
寅次郎 おばちゃん、今夜のおかずは何だい?
つ ね お前の好きなお芋の煮っころがし
寅次郎 貧しいねぇ うちのメニューは。もうちょっと何かこう 心の糧になるおかずはないかい、例えば厚揚げとか筍とかよ
今日も一日暮れていくかぁ・・・・・・
参考文献 ; 『寅さんの人生語録』 山田洋次・朝間義隆 1993