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“THE VOICE” フランク・シナトラ
(カラーで “ALL BLUE EYES” を描けず残念。)
ジーン・ケリーとフランク・シナトラのミュージカル 『錨を上げて』(1945)は、二人の陽気な共演作品の一作目。
ケリーのダンスと、シナトラの美声が満喫できる楽しい楽しい作品です。
ここに掲げた台詞は、『錨を上げて』に登場する音楽家、ホセ・イトゥルビとシナトラのやりとりの一節。
〜 ホセが映画スタジオで、独り ピアノを調律しながら弾いている所へ、彼が著名な音楽家とも知らずに シナトラ演じる水兵さんが登場 〜
シナトラ 「その歌 知ってるよ……
♪今宵 愛しあおう 月光に輝く夢の国で 星にふれれば 愛は二人のもの…… 名曲だなあ」
ホセ 「チャイコフスキーさ」
シナトラ 「誰?」
ホセ 「この曲を作った人だよ」
シナトラ 「フレディ・マーティンだよ。ラジオで聴いたんだ」
ホセ 「…………。作曲家は盗みあうものさ」
シナトラ 「(ピアノを聴きながらデタラメに歌う)
♪盗む気はなかったけど、ダダダララ〜 あとは忘れた〜。
うん、良かった。僕が君なら調律士をやめるヨ。ピアニストになれる腕だ!」
ホセ 「ありがとう。頑張るよ。君の歌も良かった。」
シナトラ 「ありがとう」
シナトラがケリーと共演する映画の中では、彼は常に内気な役柄で、ダンスも足元に視線がいってしまっていて頼りない感じなんですが、歌を唄わせると 見事な美声を響かせます。
この場面は、音楽を愛する二人の奇妙ながらも暖かい挿話になっていて、とってもいい感じ。
ホセ・イトゥルビは、シナトラの誤りを正すことをせず、むしろ話をあわせる という機転を利かせるわけですが、この映画は こうしたホセの粋な応対が物語に活きていくように作られています。
ここで演奏される曲は、チャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23」。
第1楽章の「アレグロ・ノン・トロッポ・エ・モルト・マエストーソ」です。
たしかヒッチコック監督の『逃走迷路』で、車中でテロリストたちが不気味に口ずさむ場面で使われていましたね……