「彼は悪い男ですよね」 「ええ」 「ひどい友人ですよね」 「ええ」・・・・


『狂乱のモンテカルロ』 (1931年・ドイツ) Romben auf Montecarlo


 もう、とんでもない映画です。展開がスゴイ。キレたドイツ人ってこんな風になるの?
 ウーファ製作の音楽あり、ロマンスありのコメディー。ドイツ的な武骨で真面目なユーモアが面白い。男の気をひこうとする女王が手にするは、男性と交際するためのハウ・ツゥー本。本の表紙のイラストを真似て、大きなつけボクロをつける姿のお下品さ。そういえば、「ドイツ人は活字から全てを学ぶのダー」と、教科書片手に飛行機に挑戦するドイツ軍人が『素晴らしきヒコーキ野郎』に登場してましたね。
 アンナ・ステン、ハンス・アルバース主演。ピーター・ローレも登場します。戦前の日本でも『会議は踊る』公開前の封切で主題歌とともに大ヒットしました。
 余談ですが、我が少年時代に、NHKで「二つの祖国」という大河ドラマがありました。
そこでモダンな喫茶店を経営するマスターが好んで蓄音機にかけていたのが、この映画の主題歌「マドロス(水夫)の恋」。
ドラマの中で特高が喫茶店にのりこみ、洋楽レコードを「敵性音楽だ」として叩き割ろうとするシーンがありましたが、その時マスターの知人が居合わせて「水夫の恋は、わが国の同盟国・ドイツの音楽だ」といってとめたのでした・・・
 さて、『狂乱のモンテカルロ』は、財政難で給料がもらえない某国の戦艦から描写が始まります(私の観たところ、戦艦の描写は『戦艦ポチョムキン』を真似ているようですね)。艦長は女王の命にそむいてモンテカルロへ。狂乱の一夜を過ごすには“軍資金”が必要。
艦長は、領事館にのりこんでピストルをバンバン撃つし、そこで得た金をカジノですったら、その返還を求めてカジノ砲撃を命じます。
結末をここで紹介してもいいくらいのお話ですが、そんな破天荒な艦長を評してラストで語る会話がこれ。


船員 「彼は悪い男ですよね」
女王 「ええ」
船員 「ひどい友人ですよね」
女王 「ええ」
船員 「不実な男ですよね」
女王 「ええ。でも・・・・」
船員 「でも、世界一いい男なんだ」


BSなどで再放送の機会があったら、是非 その「いい男」っぷりを、ご覧あれ。
以下に掲げるは、『狂乱のモンテカルロ』の主題歌“水夫の恋”の楽しい楽しい歌詞です。


地球はいつも回っている
俺たちも 何かを回したい
恋人がいるなら 手紙を書け
愛する人よ さようなら
ボクは 地球をぐるりと回り
チチカカ湖まで 行かねばならぬ
これぞ 船乗りの恋
我が恋人は 停泊地に
あらゆる港に バラは咲く
つかの間の 甘き眠り
別れは すぐに訪れる
これが 船乗りの恋
船員も船長も みな同じ

メロディーにのせて唄いたい方には、僕の記憶の邦訳歌詞を。

これぞマドロスの恋
光は照らすよ波の上
めぐる港・港に
花は咲く バラは咲く
甘き夢の一夜
明けりゃおさらばよ
これぞマドロスの恋


戦前、戦争の足音が近づき世相が暗くなってきていた頃、この楽しいメロディーは日本の若者の心をとらえ、連れだってよく合唱されたということです。 (「映画音楽アルバム」に載せた方がよかったかな・・・・?)


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