鳥獣保護活動症例 報告(2008)
保護鳥獣
![]()
2008年の保護鳥獣は鳥類34種(99件)、哺乳類2種(7件)でした。
搬入後の転帰は、鳥類では死亡61%、放鳥18%、飼養継続(ボランティア、もしくは搬入者による一時的なものも含む)21%、哺乳類では死亡43%、放獣43%、飼養継続14%でした。
巣立ち後何らかのトラブルにあった小鳥の雛が持ち込まれています。
病院に搬入される雛の多くが、巣立ちの失敗や、ネコに捕まったり、原因不明で怪我をしたりしたものです。
左) メジロ巣立ち雛:ネコが連れてきました。残念ながら翌日に死亡しました。
右) スズメ巣立ち雛:ベランダに迷い込み、様子を見るも親が現れる気配がなく、保護。元気に育ち、無事放鳥しました。
一方、成長した鳥だと建造物や電線、車との衝突によると思われる外傷を負い搬入される例が目立ちました。中には、キジの親が草刈機に巻き込まれ怪我を負う例もありました。
ハクビシン 2008年9月7日搬入(千葉県千葉市)
学校の校庭で、親とはぐれてしまっていたのを保護されました。
まだ授乳が必要な赤ちゃんです。
10月17日更新
少し大きくなってきました。離乳の時期も近づいてきました。
11月11日更新
体はぐんぐん大きくなっています。顔つきはまだまだ幼いですが、毛の模様や色合いはかなりはっきりしてきました。
H.21年2月10日
ずっと元気で食欲もあったのですが、2月10日の朝、突然亡くなってしまいました。検査の結果、心臓の疾患が疑われました。野生動物の子供を育てあげることの難しさを改めて感じるとともに、このハクビシンの人工保育をきっかけに外来種と日本の生態系、有害鳥獣と農業についても何度も考えさせられました。
キビタキ 2008年10月10日搬入(千葉県千葉市)
街中のお店の前に落ちているのを発見されました。
渡りの途中か、体力の消耗が激しく、残念ながら死亡しました。
キジ 2008年5月5日搬入(千葉県茂原市)
親鳥が抱卵中のところを草刈機に巻き込まれ、親鳥と一緒に運び込まれました。
卵です。
親鳥は損傷が激しく、翌日に死亡してしまいました。
残された卵を、人工的に(病院には孵卵器がないので、乾熱滅菌器を利用しました)温めたところ、
7日後に4羽の雛が孵りました。
生まれたばかりの雛 初めはよろよろしてましたが、その日のうちに歩けるようになります。
キジの仲間は、生まれてすぐに自力採食できると本には書いてありますが、
なかなかその気配はなく、孵化後2、3日は強制的に給餌しました。
そのうち、少しずつ細かい餌をついばむようになりました。
孵化した4羽のうち3羽は途中で死亡してしまいましたが、残った1羽は現在順調に成長中です。
約2ヵ月後。
生後約4ヶ月弱。
雛の頃はわかりませんでしたが、立派な雄だったようです。
最近ではにわとりのように「コッコッコ」という声を出しています。
9月30日撮影
はじめて見る外の風景に少々戸惑っている様子でしたが、藪の近くにて放鳥する事ができました。無事に生き延びられますように。
チョウゲンボウ 2008年9月9日搬入(千葉県千葉市)
右の翼が骨折していました。原因はわかりませんが、衝突(車、建物、電線)が多いようです。
骨折整復の手術を施し、現在も入院中。
H.21年5月15日
右の翼を動かすことができず飛行が不可能だったため、県の自然保護課に委託しました。
オオミズナギドリ 2008年9月2日搬入(千葉県 、中里海岸)
砂浜の上で動けなくなっていたのを保護されました。衰弱がひどく、死亡しました。
また海に返してやりたい、と思ってもすべて助かるわけではなく、残念な思いをする事もしばしばです。
スズメ 2008年5月18日、24日搬入(いずれも千葉県千葉市)
巣立ちの失敗により人家およびショッピングモールに迷い込んでしまったスズメの雛です。
2羽ともすくすく育って、
保護からそれぞれ71、77日目の9月1日、無事に元気良く空へと羽ばたいていきました。
あとは応援しか出来ません。
タヌキ 2008年7月4日搬入(千葉県市原市)
団地の敷地内で動けなくなっているところを発見されました。
まだ子供です。衰弱していましたが、走り回れるほど元気になりました。正常より少し視力が弱いようです。
7月11日には同じく子ダヌキが、交通事故に遭ったと思われる状態で保護(千葉市緑区)されました。折れた顎の骨を整復し、元気になりました。
ともに成長するにしたがって、人間を寄せ付けず野生本来の姿を見せることが多くなりました。
保護からそれぞれ62、69日目に放獣。
アオバズク 2008年5月21日保護、搬入(千葉県市原市)
早朝、市役所の敷地内で、地面に落ちてカラスに襲われているところを保護されました。
脚には防鳥ネットが絡まり、左の翼を痛めていました。
搬入時。左の翼は下垂し、飛ぶことができません。
フクロウ同様、嘴をカチカチ鳴らして威嚇しますが、身体が小さいので音もかわいいです。
脚に絡まっていたネット。防鳥ネットに猛禽が引っかかることはよくあります。
幸い、骨折はなかったので、痛めた翼を8の字包帯法およびボディーラップ法で固定し、消炎剤の投与を行いました。
10日目くらいから綺麗に羽ばたけるようになり、入院12日目に無事放すことができました。
左)包帯をした状態。1週間後に外し、様子をみます。
右)放鳥時の様子。ふわりと羽ばたき、静かに暗闇に消えていきました。
今回の個体は、人工餌にはなかなか餌付いてくれず、強制給餌を毎日続けていましたが、
ある日冷凍マウスなどの生餌を与えると、ペロっと平らげてしまいました。
入院中、ホゥ、ホゥ、と鳴くこともありました。
ハシボソミズナギドリ 2008年5月20日保護、搬入(千葉市中央区)
朝、市役所敷地内に落ちているところを保護されました。
ハシボソミズナギドリは渡り鳥で、毎年5〜6月に日本近海(太平洋側)を北上してきます。
この時期、悪天候のあとには、各地で衰弱した個体が保護されたり、
死んでしまった鳥が沿岸に打ち上げられているのが発見されたりします。
今回保護された個体は、衰弱し、高度に削痩していましたが、幸い骨折などはなく、
強制給餌などを続けた結果、体重もぐんぐん増え、1週間後に九十九里浜で放鳥することができました。
放鳥時の様子
入院時、人が近くを通ると、嘴を振って餌をねだるまでに馴れてしまいましたが、
海を見ると迷うことなく駆け出し、沖へ羽ばたいていきました。
病院スタッフにとって、一番嬉しい瞬間です。その後も無事でありますように。
キジバト 2008年5月6日搬入(千葉県船橋市)
保護時の様子 矢印:そのう内の球状物(手術前のため羽毛を抜いてあります)
路上でよろよろしていたところを保護されました。
重度に削痩し、ふらついて歩行もままならず、軽く押しただけで倒れてしまうほどでした。
そのう内に指先ほどの大きさの堅い球状物が触診され、
糞便検査ではコクシジウムの重度の感染が認められました。
摘出された種子(?)。右は割面。そのう内も、種子内も非常に酸っぱく臭いにおいがしました。
球状物が人工物の可能性もあったので、そのう切開にて摘出しました。
何かの植物の種子かと思われますが、非常に堅く、さらには、そのう内発酵を起こしていました。
状態はすぐには改善せず、コクシジウムの駆除剤を投与するとともに、強制給餌や皮下補液を続け、
2週間ほどでやっと自力採食するようになりました。
その後だんだんと飛べるようにもなり、3週間後に近くの公園にて放すことが出来ました。
放鳥時。
ヒヨドリ 2008年4月26日搬入(千葉県成田市)
保護当時の羽の様子
ネコが捕まえて連れてきたそうです。
両翼の風切と、尾羽が見事に抜けていて、まったく飛ぶことが出来ませんでしたが、
幸いなことに身体への傷はありませんでした。
約1ヵ月後
小松菜汁たっぷりマイナーフード(九官鳥フード)や果物をよく食べ、風切も生え揃ってきたので、
25日後に無事放鳥できました。
トビ 2008年4月17日搬入(千葉県成田市)
こちらも田んぼの中を1週間ほど、飛べずにうろついていたそうです。
右の翼の先が、千切れてなくなっていました。
電線か何かに衝突したのでしょうか??
今後飛べるようになる見込みがないので、放鳥は不可能と思われます。
本人が元気なだけに、残念です。
現在、別の保護施設で過ごしています。
トビ得意の『死んだふり』です。じっとこちらを見ています。 ポーチの上でも死んだふり。餌はもりもり食べます。
セグロカモメ 2008年4月15日搬入(千葉県大網白里町)
1週間ほど田んぼの中をウロウロしているけれども飛べないようだ、とのことで連れてこられました。
左の翼が明らかに下垂していますが、レントゲン検査では骨に異常がみられません。
どうやら腱あるいは神経の損傷が疑われます。
歩くたびに垂れ下がった翼をテープで正常な位置に固定し、消炎剤を投与した結果、羽ばたくまでに回復しました。
1ヵ月後に放鳥。
ハクセキレイ 2008年3月25日保護、搬入(千葉市若葉区)
工場の敷地内で保護されました。
飛ぼうとするけれども、クルクル回って飛べないとのことです。
削痩、脱水し、脚に糸が絡まり1本の趾は壊死していました。
糸を除去しましたが、やはり旋回運動が見られ、前庭障害が疑われました。
補液などの治療を行いましたが、翌日死亡しました。
カンムリカイツブリ 2008年1月25日保護、搬入(千葉市中央区)
千葉市の繁華街にあるデパート前に落ちていたそうです。
左脚の中足骨(指のすぐ上の骨)が複雑に骨折していました。
テーピング固定を施しましたが、完治には至りませんでした。
カイツブリの仲間は、脚ヒレで泳いで潜水し餌を採るので、どちらかでも脚が使えないことは致命的になります。