鳥獣保護活動症例 報告(2007)
保護鳥獣
2007年の保護鳥獣は、鳥類28種85件、獣類5種10件でした。
保護理由は、建物・電線などの建造物や車などへの衝突事故が約37%と、今年も上位を占め、次いで、雛が巣から落下したり、巣立ち後事故にあうケースが約32%、雛の 誤認保護と思われるものが約12%でした。
なかには、トラバサミに大型鳥が挟まったり、釣り糸などに絡まったりする悲惨なケースが5件ありました。
猫に捕まって保護されることもよくありますが、この場合はほとんどが助かりません。
転帰は、死亡が48%、放野が15%、ボランティアによる終生あるいは一時的飼育が37%となっています。
ハヤブサ 2007年12月5日保護、搬入(千葉県山武市)
搬入時の様子 左翼下面の裂傷
畑の防鳥ネットに引っかかっているところを保護されました。
どのくらいの時間ぶら下がった状態だったのかは不明ですが、左の翼が下垂していました。
レントゲン写真で骨折は確認されませんでした。腱あるいは神経を痛めてしまったと考えられます。
テープ固定を施し、消炎剤を投与しましたが、現在のところ機能回復が認められません。
ボランティアさんのもとで長期リハビリとなる予定です。
アオサギ 11月30日搬入(千葉県市原市)
脚にトラバサミが挟まった状態で、自宅庭に飛んできたそうです。
逃れようともがいたためか、右の股関節が激しく脱臼していました。
ワイヤーを使って関節の整復を試みましたが、
残念ながら助けることができませんでした。
トラツグミ 10月25日保護、搬入(千葉県八街市)
中学校のグラウンドで保護されました。
建物に激突したのか、左顔面が大きく腫れ上がり、眼球突出および内出血がみられました。
虎模様をしたツグミの仲間です。ツグミ類としては大型で、ハトくらいの大きさです。
薄暗い環境を好み、林内で落ち葉をひっくり返してミミズなどの小動物を捕るといわれています(野鳥ガイド/新星出版社)。
あまり人目に付くことのない鳥ですが、たまに昼間の衝突事故があるそうです。
夜に、口笛のような、か細い声でヒー、ヒーと鳴きますが、
治療の時はアヒルのようなグエー、グエーといった声を出していました。
抗生剤、消炎剤治療に平行して強制給餌を行っていましたが、まったく餌付いてくれず、
残念ながら約3週間後に死亡しました。
古名を『ヌエ』ともいいます。
トビ 8月6日保護、搬入(千葉県市原市)
飛べないということで、ダム敷地内で発見されました。
身体検査や血液検査を行いましたが、特段異常な所見はありませんでした。
初めは軽く飛ばしてみても動きがいまひとつだったので、しばらく病院で預って給餌を行いましたが、
最終的に無事放鳥することができました。
トビは、『死んだふり』をするとよくいわれますが、この個体も人の姿をみる度に、慌てて腹這いになっていました。
しかし、なかには本当に具合の悪い個体もいるので、観察が必要です。
トビの羽は、フクロウよりだいぶゴワゴワした感じがあります。
ヒヨドリ 7月20日保護、搬入(千葉市)
搬入時は巣立つかどうかくらいの雛でした。
街道で発見。木の上に戻してもすぐ落下し、交通量も多い場所で危ない、ということで保護されました。
自分で充分飛べるようになるまでの約3ヶ月間を病院で過ごし、実りの秋の時期に無事放鳥できました。
放鳥直前のヒヨドリ。 放鳥時。
カルガモ 9月1日搬入(千葉市)
公園の池で動けずにいるところを保護されました。
脚には魚釣りで使用するルアーの針が喰い込み、下嘴の皮膚は破け、舌が飛び出していました。
ルアーを除去し、裂けた顎の皮膚を縫合するとともに、強制給餌を続けたところ、自力採食できるようになり、
約1ヵ月後、病院近くの池に無事放鳥することができました。
コアジサシ 6月22日搬入(千葉市)
巣があるとは到底思えない幹線道路沿いで発見されました。カラスにでも誘拐されたのでしょうか。
メダカのほかアジやイワシの刺身を食べ、順調に成長していましたが、幽門-十二指腸閉塞によって突然亡くなってしまいました。
コアジサシは日本には夏鳥として渡来し、海岸や河原などで繁殖します。
この時期の成鳥は、黄色い嘴にオレンジの脚、ヘルメットをかぶったような黒い頭をしています。
ちなみに、千葉市の鳥です。
オオハム 6月19日搬入(千葉県市原市)
衰弱して湾内を漂流しているところを保護されました。
削痩はもとより右眼は完全に白濁・萎縮し、左指骨端が欠損・出血していました。
強制給餌などを行いましたが、残念ながら死亡しました。
スズメ 6月18日搬入(千葉県市原市)
巣より落下したものと思われます。両脚の骨折が認められました。
患脚にテーピングを施し、すり餌の給餌を行っていましたが、残念ながら1週間後に急死してしまいました。
ムクドリ 5月22日保護・搬入(千葉県市原市)
住宅街の路上で保護されました。まだ産毛の多く残る雛で、巣から落下したものと思われます。
約2ヶ月間の病院生活の間に羽も生え揃い、充分飛べるようになったのを確認したのち無事放鳥することができました。
フクロウ 5月29日搬入(千葉県大網白里町)
搬入時のフクロウ。
風切羽や尾羽は、ほとんど擦り切れたり、折れたりして、ボロボロの状態。まぶたにはダニが多数寄生。
約3ヵ月後。風切は少しずつ生えてきました。この時背中はまだむき出し状態です。
田園地帯の路上で発見、保護されました。
搬入時、去年秋に保護されたフクロウ同様、強力な粘着物で体中ベトベトでした。
風切、尾羽は写真のようなひどい状態で、背中の羽毛もごっそり抜けて地肌がむき出しな上、削痩してボロボロです。
さらには、マダニ、ハジラミ、口腔内線虫の寄生が認められました。
羽の洗浄と寄生虫の駆除を行い、羽が生え揃うまでボランティアさん宅で預かってもうらうことになりました。
オオタカ 4月16日搬入(千葉県茂原市)
民家の庭先で発見されました。
ガラスに衝突したらしいとのことです。
保護時は飛ぶことができませんでしたが、
打撲の治療と強制給餌により、
4日後に無事放鳥できました。
その後の無事を祈っています。
フクロウ 3月23日保護・搬入(千葉県市原市)
新潟→千葉の長距離トラックに、いつの間にか乗っていたそうです。
到着地で発見、保護されました。
ピンニング(骨髄内に芯を入れて骨を整復する方法)の手術を行いましたが、
完治には至らず、やむなく断翼することとなりました。
現在ボランティアさん宅で過ごしています。
シメ 3月12日搬入(千葉市若葉区)
自宅の窓ガラスに激突し、飛べないでいるところを保護されました。
緑に囲まれた建物の窓ガラスは、周りの風景が映りこむため、
特に衝突事故が多いようです。
搬入時、口腔内出血、眼振のほか、肩関節の脱臼が認められました。
関節の整復をし、ボランティアさん宅で野に帰る日を待っています。
太い嘴は、堅い実も簡単に割ることが出来ます。咬まれると痛いです。