フェレットのページ

 

フェレットmustela putorius furoはヨーロッパケナガイタチmustela  putoriusを家畜化した動物です

 

犬ジステンパーのワクチンについて

 犬ジステンパーは、犬でよく知られたウイルス感染症です。フェレットはこれに罹りやすく、感染した場合の致死率は犬より高い病気です。

 現在、日本国内には「フェレット用」の犬ジステンパーワクチンはありません。従って「犬用」の犬ジステンパーワクチンが使用されています。100頭に1頭ほどの割合で、顔が腫れる・おなかを壊す、などの軽い副作用が出ることがありますが、これは犬用のワクチンだからというわけではなく、犬でも同じくらいの割合で同じような症状が出ることがあるという報告もあります。 当院でも以上のことをご理解いただいたうえでワクチン接種を行っています。

 

フィラリア感染症

 フィラリア(犬糸状虫)は蚊の吸血を通じて主に食肉目の動物に感染します。動物の体内に侵入したフィラリアの幼虫は、最終的には心臓から出る太い血管である肺動脈に到達し成虫となります。成虫は交配して卵を産み、また幼虫が血中に放出され、その血を蚊が吸って…というサイクルが繰り返されます。

 犬の心臓は体に比べて大きく、♂10〜20cm、♀約30cmにも達する成虫が何匹も寄生する事ができるため、血液検査で幼虫を検出することで成虫の寄生を知ることが出来ます。しかしフェレットは体も心臓も小さく、心臓に1〜2匹のフィラリア成虫が入っただけでその動きを著しく障害し、生命の危険を伴います。よって、犬以上にフィラリア感染の予防を行うことが重要です。

 当院では、6月〜12月に毎月1回使う予防薬を処方しています。

 

次にフェレットによくみられる病気の中で、とくに多いものについて取り上げたいと思います。

 

副腎疾患

 副腎とは、左右の腎臓の近くにある一対の小さな臓器です。皮質と髄質に分かれ、髄質からはエピネフリン・ノルエピネフリン、皮質からは糖質コルチコイド(コルチゾルなど) ・鉱質コルチコイド(アルドステロンなど)・性ホルモンなどの微量なホルモンを分泌し、生体の調節・維持を行っています。

 フェレットはこの副腎が腫大するケースがとても多くなっています。原因は未だ解明されていませんが、早すぎる(生後1ヶ月前後)不妊・去勢手術が原因ではないかとも言われています。 約3分の1は悪性の腫瘍です。

 副腎が腫大することで、副腎から微量に出ていたホルモンの量が過剰になることでさまざまな症状が出てきます。オス・メスともに、腰〜背中、尾の脱毛(図1)が見られるのが特徴です。病気の進行とともに脱毛は広がります。季節性の換毛の場合、脱毛は局所ではなく全身的にみられ、また地肌が目立つほどの激しい脱毛は起こりません。さらにメスの場合、発情したように膣が大きく腫れ (図2)、また骨髄抑制が起こることで血液凝固が起こりにくくなり、出血傾向が強まります。 オスの場合、前立腺という性腺の肥大が起き、尿道を圧迫して尿が突然出なくなることがあります。

図1 背中から腰にかけての脱毛

図2 大きく腫れた膣

 

 前述したとおり、原因が特定されていないため予防は困難な病気です。しかし早期発見・早期治療によって、その後の人生(フェレット生)を快適なものにすることも可能なケースが少なくありません。

 治療としては、主に@腫大した副腎を外科的に切除する方法と、A副腎皮質ホルモンを減少させ、副腎を小さくする注射を定期的に打つ、内科的な方法とがあります。外科的に切除する方法では大抵1度手術するだけで治療が終わります(悪性の腫瘍だった場合や、正常の大きさだったもう片方が肥大した場合など、「再発」があることもあります)が、入院が必要です。一方、内科的な治療はその場ですぐ終わりますが、定期的な治療が必要です。また、この治療を行うと副腎が収縮するため、その後で外科的な切除を行うことは非常に困難になります。

 

インスリノーマ

 膵臓は、消化酵素を外分泌したり、血糖値を上げるホルモン(グルカゴン)や下げるホルモン(インスリン)などを内分泌し、生体において栄養素の消化・吸収、代謝の一部を担う臓器です。このうち、インスリンを分泌する細胞が何らかの原因で増殖した結果、インスリンが過剰に出てしまう病気がインスリノーマです。

 過剰なインスリンにより、血糖値が下がりすぎてしまい、虚脱(力が抜けて動けなくなりぐったりする)したり、目がうつろになったり、よだれを流したりします。時には生命の危険もあります。

 フェレットにこのような症状が出た場合は、低血糖を疑います。ご家庭でも出来る応急処置として、濃い砂糖水やガムシロップなどを舐めさせるという方法があります。

 応急処置によって一時的に状態が良くなる場合がありますが、検査による確定診断や治療が必要な病気です。また、別の病気による症状である可能性もありますので、早めに病院に連れて行きましょう。

 

異物誤飲

 フェレットはさまざまな物にじゃれついて遊びます。遊びながら噛み付いていることもあります。物を集めるのも大好きです。

 そんなフェレットには、誤ってそのようなものを飲み込んでしまう事故が少なくありません。飲み込んでしまうものは布や紐、おもちゃ、ボタン、消しゴムや耳栓、ペットシーツ…さまざまです。

 飲み込んでしまったものの形や大きさ、性状によってはうまく吐き出せたり便と一緒に出てきたりしづらく、消化管内に詰まってしまった場合、早急に開腹手術をしないと詰まった部位の周辺が壊死してしまうことがあり大変危険です。またヒトの薬や殺虫剤などは中毒を起こすことがあります。

 フェレットは赤ちゃんと同じで、手(口)の届く範囲のものは何でも口に入れる可能性がある、というつもりで見ていなくてはいけません。

 

脾腫

 脾臓が大きく腫れてしまうことも少なくありません。原因は腫瘍、ウイルス感染などです。健康な個体でも、歳を取ることで多少の腫大はみられます。脾臓は血管に富んだ臓器なので、血液の多くが脾臓に集まることになり、結果として貧血を起こします。貧血を起こしていることは結膜(まぶたの裏)や口の中など本来ピンク色の粘膜が白っぽくなってくることで気づくことが出来ます。指先や鼻の色がピンク色のフェレットでは、そこからも確認できます。

 程度が軽く、元気があって特に症状を出していなければ通常は問題ありません。しかし急に大きくなってきた場合(腫瘍の可能性)や、元気がない、貧血があるなどの症状が出ている場合は、外科的に脾臓を切除する治療が必要になることもあります。

 

 フェレットは遊ぶのが大好きで、人にもよく馴れます。節度を守ってスキンシップを楽しみながら、普段の様子に注意をよく払って、すぐに異状に気づけるようにしましょう。