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日本神話の読み聞かせシリーズ10 「神武天皇」

神武天皇


TOSS大和/近藤光弘


幾多の困難を乗り越えた遠征の旅。日向より大和の地を目指し、橿原の宮で第一代天皇即位。




 船出                                              

 神武天皇の名前は、かむやまといわれひこの命といいます。天皇は、日向の国の高千穂に生まれました。そして、兄の五瀬命とともに成長されました。

 ある日、天皇は、五瀬命に言いました。

「この日向の地は大八島の西に偏ったところです。日本を治める中心は、周りを青い山で囲まれた大和の地です。都を大和におこうと思います。」 

 五瀬命もうなずかれました。

 「大八島をまとめるには、ここに居るべきではない。都を東の方に移すことに賛成です。」 

 こうして天皇は、五瀬命や大勢のお供と共に大和を目指して、船で出発されました。


 うずひこ

 一行は、東へ東へと進みました。早吸の門と呼ばれる海の水の流れが速い海峡まで来たとき、大きな亀に乗って釣りをしている男に出会いました。

「あなたは何者だ。」

「私はこの土地の神でうずひこと申します。」

「では、海の道に詳しいか?」

「はい、よく知っています。」 

「それなら、道案内をしてくれないか。」

「分かりました。喜んでお供いたします。」

 一行はうずひこの案内で、流れの速い海を無事渡り終え、船は尚も東へ東へと進んで行きました。途中、安芸の国、吉備の国などに立ち寄りました。しばらくこ地で人々の仕事を手伝わせ、農作物魚の取り方、塩の作り方などを教えました。 


日下坂の戦い                                                

 明石海峡をすぎると、潮の流れが速くなってきました。道案内の者が五瀬命に言いました。

 「波の流れの速いところだ。波速の国だ。」

 波速の国の真ん中を広い川が流れていました。向こうに見える山をお越えると大和です。川をさかのぼったところに船を止め、一行は、陸に上がりました。その時です。茂みの中から矢を射かけてくる者がいます。大和の登美に住む長髄彦達でした。

「天の神の御子達が大和に来るという。 きっと、俺達の土地を奪おうとしているんだ。そんなことをさせてたまるか。」 

 天皇の一行と長髄彦の軍は、戦いを始めました。長髄彦の射た毒の矢が五瀬命の肘を貫きました。

「我々は、日の神の子孫であるのに、太陽に向かって進もうとした。それが間違っていた。太陽を背に受けて戦おう。」

 一行は引き返し、船に乗って南へ向かいました。途中、五瀬命は、毒が体にまわり、とうとうお亡くなりになりました。船は熊野に着きました。


高倉下                                           

 そこから陸に上がったときは、みんなもうへとへとでした。山の麓で休んでいたときです。不意に大きな熊が現れたかと思おうと、とたんに消えてしまいました。

「あっ、くらくらする。」

「目が回る。」

天皇もお供の者も次々に倒れ、気を失ってしまいました。大熊が毒を吹きかけたのでした。しばらくすると、そこへ熊野に住む高倉下という者が、一ふりの太刀を持って駆けつけました。天皇は太刀を受け取ると、太刀の不思議な力によって、熊に化けていた悪い神達はバタバタと倒れました。そして、気を失っていたお供の軍は、毒が消えて立ち上がることができました。この太刀は、天照大御神が、天皇を助けるために下したものでした。

やたがらす

 天皇とお供の軍は元気を回復しました。その時、高天原の高御産巣日神の声が天皇の耳に聞こえました。

「天の神の御子よ。ここから先に進んではいけない。荒ぶる神が沢山いる。私が天上からやたがらすを遣わす。このやたがらすの飛んでいく後を追って進みなさい。」 

 しばらくすると、天上から、カラスが降りてきました。そして、

「かあー、かあー。」

と道案内をするかのように木に止まりました。一行が近くまで行くと、飛び立って次の木に止まります。また近くまで行くと飛び立ちます。このようにして、後を追いながら、大和の国へと進んでいきました。

金色(こんじき)の鳶

 大和の国では、長髄彦が天皇に抵抗を続けています。いよいよ長髄彦を倒すときがきました。12月の寒い日でした。命の軍勢は攻めていきますが、なかなか勝負が付きません。どうしていいか分からなくなったとき、急に空が暗くなり、雹が降ってきました。そしてどこからともなく、金色の光を放つ鳶が飛んできて命の弓の先に止まりました。輝く光のまぶしさに、長髄彦の軍勢は戦うことができません。ちりじりに逃げて降参してしまいました。

天皇即位 

 日向からずっとお供をし天皇と苦しみを共にしてきた人々も、地元に住んでいた人々も天皇をしたい、豊かな国ずくりに励んできました。天皇は畝傍山の麓の橿原の地に御殿を建てられました。都を作り始めて2年たった1月1日、命は橿原の地で天皇の御位につかれ、天皇になられました。ここに、日本が国として形を整え出発したときとし紀元元年とします。今年(平成12年)は、それから数えて、2660年になります。


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