●税効果会計講座(Q6〜Q8)


Q6.「繰延税金資産」「繰延税金負債」とは何ですか?

税効果会計を適用した場合、貸借対照表に「繰延税金資産」「繰延税金負債」という科目が必要となります。

@繰延税金資産
■「繰延税金資産」は、一時差異(会計上の資産及び負債の金額と、課税所得計算上の資産及び負債の金額との差額)が解消する事業年度における税金の前払額です。つまり、一時差異が解消する年度においては、繰延税金資産に計上した金額分だけ税額が減少することになります。

■「繰延税金資産」に計上する金額は、
・(将来減算一時差異 × 法定実効税率) 
で計算されます。

A繰延税金負債
■一方、「繰延税金負債」は、一時差異が解消する事業年度における税金の未払額です。つまり、一時差異が解消する年度においては、繰延税金資産に計上した金額分だけ税額が増加することになります。

■「繰延税金負債」に計上する金額は、
・(将来加算一時差異 × 法定実効税率)
で計算されます。

B流動・固定の区分
■「繰延税金資産」「繰延税金負債」は流動・固定の区分を行う必要があります。
■この区分は、それぞれ将来減算一時差異、将来加算一時差異の発生原因となった資産または負債の流動・固定の区分に従って行います。
■ したがって、
1)「流動資産の部」に属する「繰延税金資産」
2)「投資等の部」に属する「繰延税金資産」
3)「流動負債の部」に属する「繰延税金負債」
4)「固定負債の部」に属する「繰延税金負債」
の4科目が必要になります。

■例えば、貸倒引当金の繰入限度超過額(将来減算一時差異)については、その発生原因となった「貸倒引当金」が「流動資産の部」に計上されている場合は、「繰延税金資産」を「流動資産の部」に計上します。

■一方「貸倒引当金」が「投資等の部」に計上されている場合は、「繰延税金資産」を「投資等の部」に計上します。

C「繰延税金資産」と「繰延税金負債」の相殺表示
■「繰延税金資産」と「繰延税金負債」の両方が計上されている場合、貸借対照表には、両方を表示するのではなく、両方を相殺して、その差異をどちらか一方に表示します。
■例えば、「繰延税金資産」が100計上されていて、「繰延税金負債」が80計上されている場合、貸借対照表には、相殺後の差額20が「繰延税金資産」に計上されます。
■ただし、この相殺表示は、流動・固定の区分ごとに行います。例えば、「流動資産の部」に属する「繰延税金資産」と、「固定負債の部」に属する「繰延税金負債」の2つが計上されている場合は、相殺表示は行いません。


DTKC財務会計システムにおける「繰延税金資産」「繰延税金負債」
■税効果会計対応に伴う改訂により貸借対照表に以下の4つの科目が追加されました。
1)繰延税金資産(1165)
「流動資産の部」に属する「繰延税金資産」を処理する勘定です。
2)長期繰延税金資産(1265)
「投資等の部」に属する「繰延税金資産」を処理する勘定です。
3)繰延税金負債(2165)
  「流動負債の部」に属する「繰延税金負債」を処理する勘定です。
4)長期繰延税金負債(2265)
「固定負債の部」に属する「繰延税金負債」を処理する勘定です。

■なお、「決算諸表システム」では、「繰延税金資産(1165)」と「繰延税金負債(1265)」の両方に残高がある場合、または「長期繰延税金資産(1265)」と「長期繰延税金負債(2265)」の両方に残高がある場合には、貸借対照表には、自動的にそれぞれの相殺後の差異をどちらか一方に表示します。

Q7.「法人税等調整額」とは何ですか?

■税効果会計は、税引前当期利益に対応した法人税等の税金費用、そして税引後の利益を計算するためのものですから、損益計算書上、繰延税金資産や繰延税金負債に計上した税金の前払額や未払額を、当期に納付すべき法人税等の金額から差し引く、または加算して、「当期利益」を調整する必要があります。
■そのための科目が、「法人税等調整額」です。TKC財務会計システムでは、「法人税、住民税及び事業税(8311)」の次に、「法人税等調整額(8312)」が設けられています。
■これにより、「当期利益(9111)」の計算は以下の通りとなります。
●当期利益(9111) = 税引前当期利益−(法人税、住民税及び事業税(8311)+法人税等調整額(8312)
●例示
◆賞与引当金の繰入限度超過額(将来減算一時差異)が100、法定実効税率が40%であった場合、
(借方)繰延税金資産  (貸方)法人税等調整額  40
100 × 40% = 40  という仕訳を計上します。

◆税引前当期利益が200、当期に納付すべき法人税等が120とすると、損益計算書の表示は

税引前当期利益200
法人税、住民税及び事業税(8311) 120
法人税等調整額 (8312)   −40 ※
当期利益(9111)   120
→200−(120−40)=120 となります。

◆「法人税等調整額(8312)」の−40は当期における将来減算一時差異の発生に伴い将来の税金の減算額を当期の「法人税、住民税及び事業税」から控除するために計上しています。

Q8.利益処分により諸準備金等を資本の部に計上している場合の税効果会計の処理を教えてください。 


■特別償却準備金等、租税特別措置法上の諸準備金等を利益処分方式により積み立てた場合、法人税法上損金算入されるため、企業会計上の利益に比べ、課税所得が減少します。

■また、この諸準備金等を取り崩した場合には、益金算入となるため、企業会計上の利益に比べ、課税所得が増加します。

■このため、これらの諸準備金は将来加算一時差異として、税効果会計の対象となり、この一時差異に係る税効果額(将来課税されることになる金額)を貸借対照表に「繰延税金負債」として計上することになります。

■この場合、貸借対照表の資本の部に積み立てる諸準備金については、繰延税金負債に計上した額を控除した残高を計上することになります。


■例題

X1年(税効果会計適用初年度ではないとします。)に特別償却準備金700を利益処分方式により積み立てました。法定実効税率は40%です。

(1)税効果会計を適用しない場合の仕訳
  (X1年度:決算時)
   仕訳なし
  (X2年度:X1年度の利益処分)
   @(借方) 当期未処分利益 (貸方) 特別償却準備金 700

(2)税効果会計を適用した場合の仕訳
  (X1年度:決算時)
   @(借方) 法人税等調整額 (貸方) 繰延税金負債 280 
 ※700×40%=280

  (X2年度:X1年度の利益処分)
   A(借方) 当期未処分利益 (貸方) 特別償却準備金 420

   ただし、損金に算入される額は、700となります。


前のページへ
戻る
トップページへ
トップ
次のページへ
次へ