●税効果会計講座(Q1〜Q5)


Q1.税効果会計とは何ですか。

■企業会計の利益は、一会計期間の収益からこれらに対応する費用を差し引いて計算することが基本的な考え方です。

■法人税、住民税、事業税(以下、法人税等)についても、税引前当期利益に対応して発生する費用として考えるのが一般的かつ国際的な認識となっています。

■企業会計上、損益計算書に記載される法人税等の税金費用は、税引前当期利益に基づいて計算した金額になるはずですが、法人税法上の課税所得と、決算書の税引前当期利益とは、通常一致しないことが多いため、実際の法人税等の額は決算書に表示される税引前当期利益に対応した金額とはなりません、このため税引後の利益に差異が生ずることとなります。

■これらの差異を調整して、税引前当期利益に対応した法人税等の税金費用、そして税引後の利益を計算する手続を、税効果会計といいます。

Q2. 税効果会計の適用は、すべての会社に強制されるのですか?

平成10年12月21日に、「株式会社の貸借対照表、損益計算書、営業報告書及び附属明細書に関する規則(商法計算書類規則)」及び「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則(財務諸表等規則)」が改正されました。
 これらの改正により、公開会社には、個別財務諸表・連結財務諸表ともに税効果会計の適用が強制されることとなりました。

 また、非公開会社については、平成10年6月に企業会計審議会から公表された「商法と企業会計の調整に関する研究会の報告書」では、商法上も、すべての会社において税効果会計を適用することが適当であるとしています。


Q3.税効果会計の適用の適用対象となる項目について教えてください。

1.一時差異と永久差異
 企業家計上の税引前利益と、法人税上の課税所得が一致しない原因となる項目は、以下のように分類できます。

■区分と内容及び例示
●一時差異
内容→会計上の資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との差異
例示→・減価賞却費の償却限度超過額・退職給与引当金の繰入限度超過額等

●永久差異
内容→会計上の収益及び費用の金額と課税所得計算上の益金及び損金の金額との差異
例示→
・交際費の損金不算入額
・寄付金の損金不算入額等

■永久差異は、将来の課税所得の計算上で加算または減算させる効果を持たないため 一時差異のみが税効果会計の対象となります。

2.将来減算一時差異と将来加算一時差異

■一時差異には、その効果によって2つの種類があります。

■区分と内容及び例示


●将来減算一時差異
内容→当該一時差異が解消するときに、税務申告上その期の課税所得を減額させる効果をもつもの
例示→
@税務上では損金として認められない棚卸資産の評価損
A退職給与引当金、貸倒引当金の損金算入限度超過額
B減価賞却費の償却限度超過額
C少額の減価賞却資産を会計上は費用処理し、申告調整によって税務上資産にした額 

●将来減算一時差異
内容→当該一時差異が解消するときに、税務申告上その期の課税所得を加算させる効果を持つもの
例示→
@会計上利益処分により圧縮記帳した場合の会計上と課税所得計算上の薄価の差額
A会計上利益処分により計上する準備金額等

3.一時差異に準ずるもの
@税務上の繰越欠損金
税務上の繰越欠損金は一時差異ではありませんが、一時差異と同様の税効果を有しています。つまり、税務上の繰越欠損金は、その発生年度の翌期以降で繰越期限切れとなるまでの期間(以下、繰越期間)に課税所得が生じた場合に、課税所得を減額することができます。その結果、課税所得が生じた年度の法人税等として納付すべき額は、税務上の繰越欠損金が存在しない場合に比べて軽減されるため、一時差異に準ずるものとして、税効果会計の対象となります。

A繰越外国税額控除
税務上の繰越外国税額控除が発生した場合(控除対象となる外国法人税等の額が外国税額控除限度額を超える場合)には、翌期以降の繰越可能な期間に発生する外国税額控除余裕額(控除対象となる外国法人税等の額があるときはその金額を外国税額控除限度額から控除後)を限度として税額を控除することが認められることから、繰越外国税額控除についても一時差異に準ずるものとして、税効果会計の対象となります。

Q4. 税効果会計の対象となる税金に適用ついて教えてください。

■税効果会計の対象となる税金は、利益に関連した金額を課税標準とする税金です。具体的には、法人税、住民税、及び事業税(収入金額を課税標準とするものを除く)です。

■したがって、たとえば、収入金額を課税標準とする事業税、及び住民税の均等割税は、税効果会計の適用対象とはなりません。

■また、同族会社に適用される留保金課税についても、利益の留保という事業に対して追加して課される税金であるため、税効果会計の適用対象とはなりません。


Q5.「法定実効税率」とは何ですか?

(1)法定実効税率

■ 税効果会計は、一時差異等について、それらが将来において税額をいくら減少させる効果があるか、または税額を増加させる効果があるかを計算することを目的としています。

■ その金額は、一時差異等に一定の税率を乗じることにより計算されます。その率を 「法廷実効税率」といいます。

■法廷実効税率は、以下の計算式により計算します。

法定実効税率 ={法人税率×(1+住民税率)+事業税率}÷(1+事業税率)

■この計算式は、以下の事実に基づいて得られたものです。
@住民税率は、法人税を課税標準としているため、所得に対する税率を調整する必要があること
A事業税がその支払事業年度(または更正事業年度)の課税所得の計算上、損金算入されること

(2)適用される税率

■税効果会計を適用する場合の税率は、決算日現在における税法規定に基づく税率によります。したがって、改正税法が当該決算日までに公布されており、将来の適用税率が確定している場合は、改正後の税率を適用します。

■例示

●X1年3月31日に改正税法が公布され、X2年度における法人税等の税率が変更された場合
●X1年3月31日決算の法人が当事業年度において税効果会計を適用するときは、当事業年度であるX1年度における税率ではなく、X2年度における税率に基づいて計算した法廷実効税率を適用します。


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