●公益法人会計とは!


(1)予算の設定

■公益法人における予算とは、事業年度における収入額及び支出額を、事業年度の開始前に事前に見積もって算出したものである。この予算について、収入金額と支出金額を発生項目別に具体的に記載したものを収支予算書という。

■予算は公益法人に限らず、株式会社及び有限会社などの営利法人においても作成されている。公益法人及び営利法人ともに、予算は事業活動を管理する手法の一つとして、重要な機能を果たしている。

■営利法人が作成する予算は、最終的に生み出される利益目標をあらかじめ決定し、そのためにどの程度の収益を獲得すべきかという観点から作成されるのに対して、公益法人が作成する予算は、収入は比較的確実に予測することができるものの、限られた収入に範囲内で、事業遂行のために支出をいかに制限するかという観点で作成される。このような観点で、営利法人と公益法人における予算の性格は異なっている。

■また、公益法人における収支予算書は、財団法人の場合は理事会、社団法人の場合は社員総会の決議により成立する事項とされており、かつ、作成された収支予算書は、官轄する国の省庁、つまり主務官庁への届出を行うことが義務付けられている。このため、公益法人における収支予算書の作成手続は、その作成が任意とされている営利法人と比べて、非常に強制力のあるものとなっている。

■また、公益法人においても、事業年度開始前に編成された予算を後で変更することがある。これは補正予算と呼ばれているが、補正予算についても、理事会及び社員総会の決議が必要となり、主務官庁へ変更の届出を行うこととなるため、補正予算の作成は容易でない。したがって、公益法人が収支予算書を作成する場合、事業年度内に発生することが予想される事象を十分に考慮し、慎重に作成する必要がある。


(2)取引の記帳

公益法人における取引の記帳の特徴は、@資金の範囲の設定、A一取引二仕分けの2つが挙げられる。

@資金の範囲の設定
■資金とは、支払いに充当できるもののことをいい、企業会計では現金及び現金同等物がこれに該当する。しかし公益法人では、現金及び現金同等物のほか、未収金や未払金などについても資金の範囲も含めることができる点に特徴がある。未払金などについてもマイナスの資金とみなしている。
■「公益法人会計基準 別表1 収支予算書及び収支計算書に係る科目及び取扱要領」次期繰越収支差額の取扱要領によると、資金の範囲について「収支予算書及び収支決算書における資金の範囲は、原則として、現金預金及び短期金銭債権債務とする。」と定め、具体的な資金の範囲を一任している。また、法人は、定めた資金の範囲を注記すべきとしている。

A一取引二仕訳
■一取引二仕分とは、資金の増減と非資金の増減を伴う取引が発生する場合、その1つの取引に対して2つの仕訳が発生するものであり、公益法人における取引の記帳の特徴である。つまり、1つ目の仕訳で、資金の増減取引という処理を行うと同時に、2つ目の仕訳で、資産の増減取引という処理を行うことになる。
●例えば、固定資産を現金2,000千円で購入した場合、企業会計では以下のような仕訳となる。

(例1)固定資産を現金2,000千円で購入   (単位:千円)
(借方) 固定資産 2,000 (貸方) 現金 2,000

●一方公益法人会計では、資金項目である現金の減少を収支計算書に反映させるため、以下の仕訳を行う。

(例2)収支計算書へ資金項目の減少を計上     (単位:千円)
(借方) 固定資産購入支出
(収支計算書、以下「収支」) 2,000 (貸方) 現金
(貸借対照表、以下「B/S」) 2,000


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