停車住宿


 この字づらから、見当が付いた人も多いと思いますが、これは「モーテル」の事
です、中国での自家用車の普及はまだまだの状態なので、もっぱら長距離トラック
などの為の設備です。
 もちろん日本のモーテルの様な使われ方はされていませんし、アメリカのモーテ
ルに比べてもずっと質素な作りです。


それでは、その「停車住宿」に泊まった時の話など。

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 昆明の駅前で乗り込んだ寝台バスは、午後4時頃に出発した、乗るときに目的地
の大理を告げていたら、真夜中に起こされた。

 折り際に運転手は有る方向を指さしながら、何かを話しかけていた。降りたのは
私一人だった。

 街には街頭が無く、所々に残っている店や家の明かりがわずかに道を照らしてい
る。一番近くにあった明かりに近寄って時計を確かめると11時を少し回っていた

 外を出歩いている人はいない、乗っていたバスが走っていた高速道路を走り抜け
る車の音が時折聞こえる。

 もちろん、この街であてなどは無い。降り際に指を指された方に向かう他ない。

 が、歩き出すとすぐに「停車住宿」と書いた小さな看板の明かりが目に付いた。
この様な名前の付いた宿は初めてだ。少し戸惑いはあったもののほぼ真っ暗闇のこ
の街で身を寄せられそうな所と行ったらここしかない,とりあえずゲートを抜け中
に入ってみた。

 中は広場だった、暗くてよく分からないが、そこに大型トラックが何台か停まっ
ている。そして広場の端には白いコンクリート作りの平屋の長屋が建っている。
 中国にもモーテルは有るんだ。この時点で「停車住宿」がどの様な所なのか理解
できた。

 入り口の脇には管理人の部屋があり、窓から明るい明かりが外を照らしている。
中をのぞくと、ベットが二つ有って中年の夫婦がそれぞれの寝床に横になってテレ
ビを見ていた。

 中に入って、話してみると部屋代は30元だった。高いも安いもいいも悪いも無
い。寝床が有れば泣きついてでも使わしてもらいたい心境なのだ。

 30元払うと奥さんの方が宿帳も取らずに部屋に案内してくれた。平屋の長屋の
19号室。中はこざっぱりしていて以外と清潔だ,ベットは二つ有った。

 奥さんは、「トイレはあっち、洗面所はここ、洗濯も出来るから。それからここ
がシャワーよ。」広場のあちこちにある全て共同の設備を一通り説明してから部屋
に戻っていった。
 
 羽田から関空経由で昆明へしばらく街をうろついてから、バスに乗ってここ大理
まで、ぐっすり眠るには十分なほど疲れていた。

 翌日目が覚めて外に出てみると、周りは緑の山に囲まれた広々とした景色の中だ
った。雲南省の朝は高原の朝の清々しさだ。

 昨日の奥さんは女子シャワー室の掃除中だったが、挨拶がてら長距離バスターミナ
ルのある場所を訪ねたら、何か話しながら有る方向を指さしてくれた。

 その方向に歩いて行き通勤の人達が曲がっていく大きな交差点を一緒に曲がって
みると以外に大きな町並みが広がっていた。

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