日式汽水
          広州のチンマン娘とのささやかないざこざ


 日式汽水ってなーんだ答えは文中に有ります,でもかなりばかばかしい文なので
 読んじゃった人はどうか怒らないで下さい。

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 8月連休、帰国する前日、雲南省の旅行を終えて帰りの飛行機が出る広州に立ち
 寄る。

 激烈な暑さだ。平均標高2000mの雲南省は朝夕は半袖だと寒く感じるくらい
 の所だったのだけれども、今頭の上にあるのは、気が触れたような勢いで照りつ
 ける灼熱のおてんと様だ。
 
 この旅行一度もかかなかった汗が空港から出たとたんに吹き出てきた。道を歩い
 ているだけでどんどん体力が消耗していく、楽しかったけどけっこうハードな旅
 行の疲れもここぞとばかりに追い打ちにでて、30分も歩かないうちにフラフラ
 になってしまった。
 
 ここに来る飛行機は2時頃に着いたのでこの際、広州もしっかり見ておこうと言
 う思惑も忘れてしまうほど、頭がもうろうとしている、このままでは危ない、か
 なり本気で思えてきた。
 
 残り少ない意識の大半をしめている考えと言えば「回転寿司」。これさえ食べれ
 ばなんとかなると言う確信だった。今から考えるとどうしてそんな事が確信でき
 たのか分からないがその時はそれに疑問を持つ分の意識はすでに残っていなかっ
 た。
 
 回転寿司は下九路と言う所に有る。上九路、下九路は人つながりの道の名前で、
 有名な飲食店が軒を並べている所だ、そこに巨大な高層住宅とショッピングセン
 ターが一つになった華やかなビルが最近出来た、その向かいに回転寿司屋が有る。
 
 以前広州に来たときおいしい広東料理でも食べようと思いここまで来て、結局そ
 こで寿司食って満足してしまった事がある、完璧とは言えないものの、けっこう
 本物の寿司の味がした。
 
 それ以来、広州と言えば回転寿司と頭にインプットされてしまったらしい。
 
 800以上の路線を持つ広州のバスは、バス停の手前で慢性的に渋滞してしまう
 ほどの密度で走っている。1つのバス停を10以上の路線が使っているのはこの
 街では当たり前の事だ。

 その、ひっきりなしにバスが来るバス停で途方に暮れてしまう。しばらく行き先
 の看板などを見て回ってみるがさっぱり分からない、仕方がないのでそのうちの
 1台に飛び乗ってしまった。だいたいの土地勘は有るので、違う方向に行ったら
 乗り換えよう。そう思っているとバスはまっすぐに下九路に向かいとうとうその
 前まで来てしまった。ほとんど奇跡、広州の神様も暑さにモーローとなったヨレ
 ヨレのおじさんを見ていられなかったようだ。

 店内はほとんど日本の回転寿司屋と変わらない。ステンレスのコンベアもお茶の
 蛇口もある。ときめく心をおさえつつ席に着く。

 店員の女の子がやって来て、「お寿司はセットで注文した方がいいですよ。」と
 さかんに勧めてくる。やはり中国の回転寿司だと勝手が分からない客も多いのだ
 ろう、店の中には店員も含め私以外に日本人はいないようだ。
 
 「いいです、いいです、それよりもビール下さい。」とうけながした。出てきた
 お品書きは中国語で、日式なんとかと言う名前を付けた 料理が並んでいる、味
 噌汁の様なもの、カツ丼の様なもの、気が付いたらなんとか解読しようと夢中で
 読みふけってしまっていた、しかし、何故か日本のビールがメニューに見あたら
 ない。
 
 そのあいだ、ずっと待っていてくれた店員の子に日本のビールはないかとたずね
 ると何か話した後「日式汽水」と言うのを教えてくれた。

 こんな銘柄のビール聞いたことがない、本当にビールなのだろうか、値段は15
 元、この店の飲み物の中では一番高い。思い切ってたのんでみる、すると出てき
 たのはラムネだった。あのビー玉の入った緑色の瓶に「ラムネ」と書かれたラベ
 ルが貼って有る、ビー玉の栓はしっかり落とされていた。
 
 取り返しの出来ないことをしてしまった、たぶん3秒以上は身動きもせず、ラム
 ネの瓶をにらんでいたと思う。しばらくどうしたら良いか分からなかった。
 
 大抵のことはノホホホホンと受け流してしまうたちなのだが、この時はすこしム
 キになってしまった。「俺は最初日本のビールが有るかとたずねたんだぞ!なん
 でこんなものを勧めるんだ、これはいらない!お金は払いません!。」と文句を
 言う、どうしてこんなに複雑な中国語を話せたのか分からないが、その店員の女
 の子には完全に通じたようだ。

 するとその子は「しかし、あなたがこれを頼んだのでお持ちしたんですよ、払わ
 ないなんて言わないで下さい!」と言ってくる。
 
 「えーーと、んーーと」そう言われると、言い返す中国語も日本語も思いつかな
 い。「・・はい。」で一件落着してしまった。頼みなおした中国ブランドのビー
 ルとラムネをチャンポンに飲みながら寿司を食べ始める。

 タコ、イカ、マグロ、時々見たこともないような物も回ってくるが、およそ日本
 と同じ顔ぶれで安心して食べられる。一皿、二皿たいらげているうちに、さっき
 のラムネ娘がやって来て、又セットで注文した方がいいよと薦めてくる、「だー
 いじょうぶ、俺日本人だから。」とまた断る、すると、しばらく俺の顔を見つめ
 てから,

 「日本人なの、日本人なの?日本人なのぉ!」三度同じ事を言い返してから。
 「見えないわ。」  こらこら 日本人も中国人も同じ意見だと言うことは知っ
 ているけど三度も繰り返して驚いたのはお前が初めてだ。
 
 さっきから、シャクにさわる子だわい。それからは、さすがにセットは薦めに来
 なくなった、寿司7〜8皿とラムネにビールしめて80元なりの高級料理だ。
 
 ラムネ娘からおつりを受け取って店を出るとき、「チン マン!」と元気な声で
 声をかけてきた。
 
 「清 慢 走(ちん まん つぉう)」 お気をつけて。人を送り出す時の決ま
 り文句を、略して「チン マン」と言っているらしい。最近の若い娘ときたら日
 本人も中国人も本当うにもう!
 
 と表通りを歩きながらブツブツ考えたいたものだから、体調がほとんど回復して
 いる事にしばらく気が付かなかった。
 


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