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オンボロバスでGO 10月6日 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ 福州の火車駅(汽車駅)はこじんまりとした作りで、大都市の駅なのに駅舎には待 合室しかない、では切符は何処で買うのかというと、側の他の建物に切符売り場は ある。 2〜30人の乗客が待合室の隅でひっそりと自分の乗る列車を待っていた。 その、駅舎にほど近い 汽車駅(バスターミナル)はひっきりなしに長距離バスが出 入りして市場の賑わいだ。大都市のバスターミナルらしく、事前に切符を買う全席 指定システムになっていて。バスのダイヤを表示した電光掲示板の有る切符売り場 で切符を買わなくてはならない、混み合ってはいるが列車の切符売り場のように長 蛇の列にはなることはまずない。 バスの便はいくらでもあるので、一人一人が延々と窓口で、文句を言ったり、泣き 落としたり、それでもだめなら他の列車の確認をしたりの押し問答を始めないから だ、JRのみどりの窓口で特急列車でも買う感覚でバスの切符は手に入る。 武夷山からバスを乗り継いで、このターミナルに着いたときにはすでに午後4時を 過ぎていた。 福州はこの旅行の最初に見ているので、今日はここから海岸線に沿って60kmほ ど南下した所にある大きめの街、甫田までバスをもう一乗りして行くことにする。 福建省の地図を見ると海岸線の街の中で大きな丸で示された一番近い街なのでそこ に決めただけだから、ガイドブックにも載っていないその街がどんな所なのかさっ ぱり分からない。 しかし、不安はない、いつもの事だ、昨日泊まった建陽はもっと小さな街だった。 このターミナルから出発する便に乗ることももちろん出来るが100kmぐらいよ りも近くにある街への便は、他に多くのバスが出ていることが多い。 甫田行きのバスは、駅前の広場にたくさん泊まっていたのを、前に来たときに見て いたのでそっちに行ってみることにする。 広場には甫田の札をフロントガラスに付けたバスが2台泊まっていた。列車からの 乗り継ぎ客が多いのか、この手のバスには珍しくどちらも市内バスと同じサイズの 大型バスだ、座席は観光バスのようにたくさん着いている。 見ると、1台は中国では平均的な使い込まれた感じのバスだが、もう1台が、すさ まじいオンボロバスで、もとはベージュかなにか淡い色で塗られていたと言う事は かろうじて分かる車体が今は全体にどす黒くささくれ立っている。 中国がいくら物持ちのいい国だと言ったって、こんなんなっちゃったのは初めてみ る。 こっちの方には乗りたくないなと思いながら、近づいて行くと、さっそくバスの客 引きのおにいさんが近づいて来た。腕の太いがっしりした体格の一見山賊風で見た とたんこれはボロバスの方だと分かる。 行き先を聞かれ甫田と答えると、ならこっちだーとズンズンボロバスの方に押して いく。「あっあっ ちょっと。」わずかにもがいてみるが、なんの役にも立たない 数秒で入り口まで連れて行かれてしまった。 見ると乗客は一人もいない、この大型バスがいっぱいになるのはいったい何時にな るのか想像も付かない、「人がいないじゃない。」と言ってもう一台のバスに逃げ ようとすると、運転手がすかさずエンジンをかけ、すぐに出ると思わせてくる。 もう駄目だ、覚悟を決めステップに足を乗せてしまった。 何度張り替えたのかは分からないが、不自然なストライプが入った内装が薄黒く汚 れている、運転席の横にエンジンが乗せて有るタイプのバスで古さだけなら世界遺 産級だ、そのバスの前よりの座席に座る。 あとは少しでも早く乗客がいっぱいになるのを祈るだけだ。 山賊風のお兄さんは、後ろから押されているからまだいいものの、真っ正面から向 かい合ったら客の半分は、走って逃げ出しそうな形相で客集めにを続けている。 中国人の目から見てもこのバスに乗るのには抵抗が有るらしく、客は皆後ろにのけ ぞりながらつれて来られ抵抗はしているが、最後は逃げ切れず、このバスに押し込 められていく。 駅前の好条件のせいでもあるのだろうけれども、この鬼神のごとき客引きで座席は 見る見るうちに埋まっていく。 つれてこられた客達もまあボロイバスに乗せられたと言うだけで、別に殺されるわ けではないので、乗ってしまえば、ケロリンとして乗り合わせた隣の客と世間話を 始めたりしている。 入り口際の席に座った人が乗務員の少年にそこは、仕事する席だから奥に座ってと 言われる、が乗客の方もなかなか言う事をきかない、この様なやりとりの中でも中 国人はよく笑顔を見せる、はたから見ていてもけっこう楽しめる。 このバス乗務員が多く、全部で5人位はいる。客引きのお兄さんと運転手、集金係 位の役わりは分かるが、後の二人は何をやる人なのかはよく分からない。 大型バスなので上がりで確かに5人くらいは食べて行けそうな気がするが、たぶん 兄弟とか、親戚か、3人はまだ少年だ。 意外にも30分ほどで、満席になった、出発間際になると待ち時間がないメリット を取って席が無くても飛び乗ってくる客も来て通勤ラッシュ一歩手前の状態までこ のオンボロバスは客を詰め込んだ、もうこのまま駅前に停まっている理由は無い。 乗務員の少年達は嬉しそうな顔でそれぞれの持ち場で作業をしている。 福州からアモイまで海岸ルートの旅の始まりだ。 ■目次 ■地図 ■表紙 |