2004/01/27

池袋に勤労青年を見たぞ 

 昨年の T-con 2003 で一緒に広報関係の活動をして来た仲間の真庭くんが、池袋駅の近くで本屋のバイトを始めた。バイトといっても、世の中にはバイトなのにカリスマ書店員とかが居たりするから、書店業界のバイトは舐められない。彼の場合は、大手書店の中でもコミック専門部門の勤務と云うことで、書店員としての経験は無いものの、自分の得意分野の専門知識をフルに生かせる職場らしい。いわば、カリスマ店員候補生というわけだ。11月半ばからのポツポツとヘルプに通っていた見習い期間に続き、12月からこちら、本格的に毎日勤務になったらしい。
 一方神北は、最近、 GUNDAM HISTORICA 電子書店esBooksの予約コーナー)の仕事で、護国寺の講談社によく通っている。チームを組んでのムック作りのため、スケジュール会議・各打ち合わせ・納品など、いろいろと人に会うことが多い。最近では、新書なんかの図版仕事の多くは経費節減のため、電話で依頼を受けて、資料が送られて来て、メールで納品……という家から一歩もでないパターンが多かったから、拠点編集部があって、そこに集まって仕事というのは変化があって面白い。
 で、さいたま在住の神北が護国寺に通うとなると、JR埼京線で出て行って池袋から営団地下鉄有楽町線ということになる。通過はしてもあまり使うことの無かった池袋が乗換駅として、突如、神北的にクローズアップされて来たのだ。
 昨日も打ち合わせのため護国寺に行っていて、帰りに、(護国寺の駅で乗ろうとした地下鉄からちょうど降りて来た、同じ仕事に絡んでいる新進作家高島規之くんと20分近く駅のホームで立ち話をした後に……)せっかく池袋を通っているのだからと、真庭くんのいる店に寄ってみた。
 お、いるいる。階段を下って、地下店舗の入り口ドアのすぐ側のレジの所に真庭くんが立っていた。なんだか、授業参観日に、来ない筈の親が突然やって来た子供のようにウロタエている。入って行きながら、片手を軽く上げると、ク・カ・カクっとなんだかカチコチの会釈。
 真庭くんのいる店は、わりと広めのフロアに、評論を含むマンガと、ある程度のライトノベルを中心に、アニメ・ゲーム関係の書籍も集めた店である(あ、ルビー文庫とか、やおい本のコーナーも、よく判らないけど充実している風デス)。昨今のマンガの刊行点数を考えると、コンパクトにして品揃えを広く取っているようで、ちゃんとしたリサーチと商品知識を持ったコーディネートが行われている感じだ。今、東京では、とらのあなアニメイトをはじめとした、オタク専門巨大書点が何店舗もある。地方の総合書店ほどの広さを、すべて、アニメ・マンガ・ゲーム……etc.の関連書籍・グッズで埋めたこういう巨大店舗は、何でも揃う反面、常に定期リサーチしていないと、どこに何があるか判らなくて却って使いづらい。神北は、そんなに足しげく通う方ではないので、この真庭くんの勤めている店ぐらいの大きさのトコロがちょうど良い。万遍なく全ジャンルを見回して、面白そうな本を見つけ易い。
 一冊手に取ってレジへ。残念ながら真庭くんは、神北の直前に並んでいたカード払いの人の決済に手間取っていて、隣の人になってしまった。とにかく、真面目に勤務しているようで、やや安心。
 その後、池袋で軽くメシを喰ってから帰って来たら、真庭くんから「今日は、お買い上げ有り難うございました」と電話が。なんでも、近所に住んでいる古市くん以外で、友人が店を訪れたのは、今日はじめてだったみたいだった。しばらくは護国寺通いが続くから途中で寄り易いんだと話すと、ちょっと安心した様子。
「いやー、それなら良かった。なんか、よっぽどの用事があって神北さんが店まで来たのかと思って、今、携帯壊れているから、仕事上がって慌てて家に帰って電話したんですよ」
 すまん!今までも何度か店まで行っているけど、君がいなかったんだよ。オレは単に、ちょくちょくいく店にマンガを買いに行っただけなんだぁ……。

2004/01/25

高嶋くんの新刊が出たぞ 

『蒼き星のメリクリウス』著:高嶋規之/イラスト:赤井孝美(集英社スーパーダッシュ文庫)571円+税 発売。
あわせて、作家の 〜物書き屋・高嶋規之のホームページ〜 もオープンしている。
 前作の『オービタルレディ』から一年半以上待たされた人。本屋さんへ走れ!

 さて、『……メリクリウス』だ。
 本人はただの高校生のつもりでいるが、実は星間帝国の王子のひとりだった主人公の元に、従姉の王女が押し掛け女房。帝国転覆を狙って暗躍するテロリストにも命を狙われ、戦闘集団が学校に襲来。日本の小さな街は突如、世界、いや銀河系中から、注目されることに! 全くのマイペースの従姉と、騒動を面白がっている級友たち、自分はさっさと皇位継承権を放棄して外野から息子にエール「だけ」を送る無責任親父。様々な思惑に翻弄される主人公、伊吹悠(高校一年生、15歳)の明日はどっちだ!
 ……と書くと、夜中過ぎに民放でよく放映されている類いの、大きなお友達御用達の願望充足設定アニメのようだ。あっというまに、銀河中の各皇家王家から、8歳から25歳までの年格好も容姿も様々なフィアンセが12人現れて、普通の一戸建てにむりやり雑居生活をはじめそうな気がする。皇帝陛下から高校卒業までに誰かひとりに絞れと命じられたり、酔った年上のフィアンセが裸同然の格好で家の中をうろつくのに困りながらテレたり、一番若いフィアンセと二人で捨て犬をめぐる大騒動に巻き込まれたり、クリスマスイブの夕刻に偶然本命のフィアンセとイルミネーションの街を散策することになって、後で残り全員と関係ない級友たちからさんざん責め立てられり……。そんな話が延々といつまでも展開しそうである。
 しかし、そこはそれ、高島規之という作家である。そちらの方向に転がっては行かないから、ご安心を。
 ハチャメチャな大騒動の奥に、少年文学(ジュヴナイル)として、必要不可欠なものがちゃあんと詰まっている。大騒ぎの衣を一枚剥いでみると、最近多いそうしたアニメよりは、『都市と星』や『銀河市民』『スターキング』といった、古典SFの方に遥かに近い。自分が何者なのかを知らされた時に、少年は何を望み、何を決断するのか。その一点に修練して行くクライマックスは、前半のお気楽極楽ぶりを否定するものではないが、それだけでは終わらない力強さがある。
 赤井孝美の描く清楚なキャラクターたちも、よいイメージを与えている。
 ちょっと飛ばし過ぎていて、もっと話を膨らませてやって欲しいキャラクターが散見するのが勿体ないが、もし、ラブコメというシチュエーションが嫌いでなくて、面白い小説をお探しなら、損はさせない。是非お読み戴きたい。

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