衆議院国土交通委員会(関連部分)

2005年4月13日(水)10:45〜11:25

三日月大造議員(滋賀3区、JR連合国会議員懇事務局次長)

【 三日月大造議員 】

自動車交通労働者の労働実態について審議したい。まず、警察庁よりトラック・バス・タクシーの運転手が第一当事者となる交通事故の状況について報告いただきたい。

【 警察庁矢代交通局長 】

平成16年中の事業用車両が第一当事者となった交通事故件数であるが、事業用バスは3,724件、事業用トラックは37,206件、タクシー・ハイヤーは24,792件となっている。この10年間の状況をみると、事故全体ではだいたい30%強増えているが、事業用車両についてみると、事業用バスが36.1%、事業用トラックが31.1%、タクシー・ハイヤーが38.3%、それぞれ増加している状況である。

【 三日月議員 】

ここ10年間で30%から40%、トラック、バス、タクシーも事故が増加している。最近は増加の傾向に鈍化がみられるが、依然として多い交通事故件数に対し、非常に憂慮している。昨晩2時半頃に議員会館前に出ると、非常に多くのタクシーがライトを消して停まっている。仮眠を取って休憩しながら運転しており、運転手は目も真っ赤だ。先ほど、非常に厳しい労働条件、賃金について議論があったが、昼夜逆転して一生懸命運転して走って、もらえる賃金は平均して月額20万円ちょっと、夏冬にボーナスも10万円くらいだということだった。先ほど報告があったが、タクシーの年間315万円という賃金に匹敵するくらいの額だった。涙が出るような気がした。そこで、賃金に加えて、労働時間の観点から質問したい。トラック・バス・タクシーの業界の労働基準法の違反実態について、また、労基法とは別に、業界の特殊な勤務を踏まえて改善基準告示というものが定められているが、この違反実態も併せて、厚生労働省にお伺いしたい。

【 厚生労働省松井大臣官房審議官 】

バス・トラック・タクシーの自動車運転手の労働条件確保の観点から事業所の監督をしている。平成15年でいうと、4,000件少しチェックしたが、労働基準法に対しては、軽微なものも含めてではあるが、77.2%が違反、また労働時間については、運転手に関する労働時間は、普通の労働時間と違って、拘束時間の管理が必要ということで、別に、俗に改善基準というものをつくっており、これに照らしての違反数ということだが、事業場を監督した際に発見したもので、基準に抵触するものは2千数百件あり、55〜56%違反という状況である。

【 三日月議員 】

私はこの報告をいただいた時、目と耳を疑った。今報告されたのは、遵守している企業ではなく、違反している企業である。軽微なものも含めてとおっしゃったが、労働基準は法律で決められたものだ。その労働基準法に対して、77.2%もの違反、しかも安全を担保するために、拘束時間、休息時間、その他非常に大切なものを決めている基準に対して、55.5%違反である。しかも、この数年、数字は増えているのである。かつ、大臣もぜひご認識いただきたいと思うが、総実労働時間は、平成16年に全産業の実績で1,840時間であるのに対して、道路貨物運送業、つまりトラック産業は2,269時間、429時間もの格差がある。加えて、タクシー運転手など道路旅客運送業に至っては2,290時間、450時間も多い。まったく改善が進まず、違反がずっと横行しているこの状況、しかも、この状況は、安全を担保するためにも非常に重要であり、大きな支障を来たすとも懸念する。国土交通省として、賃金もさることながら、この労働時間の実態把握についても努めるべきだとの観点からも指摘しながら、見解と今後の対策について伺いたい。

【 国土交通省金澤自動車交通局長 】

自動車運行事業者における法令遵守の状況だが、私どもは平成14年に規制緩和を実施した。その際、新しく運輸業を経験していない事業者が入ってくるケースもあり、不慣れな経営者、労働者もいるということで、法令遵守がなかなかしにくい状況にあるという認識もしている。しかし繰り返し大臣も答弁している通り、交通産業の要諦は安全にあり、こうした状況の中でも事故防止を図らなければならないことで、私どもは規制緩和に伴い、監査体制を充実させている。これにより監査件数を、規制緩和前は年間5,300余件であったものを、平成15年には7,634件と、約42%増加させて指導監督の強化を図っているところである。指摘のような労働時間、改善基準告示等の違反のないよう、厳重な監査を今後ともやっていきたいと思っている。

【 三日月議員 】

それで十分だとお思いか。労働基準監督署の調査でも、この間、ずっと違反があり、これとは別に、国土交通省として監査をしていることも知っているが、平成13年5,369件、平成14年6,069件、平成15年7,634件ということである。この間、改善基準告示違反が11%、18%、15%とずっと増えている。全然歯止めになっていないではないか。遵守をさせるということに繋がっていない。厚生労働省が調査しても、国土交通省が調査しても、違反する企業がどんどん増えているという実態を重く受け止めるべきである。調査した企業だけでもこれだけの違反実績があるわけだから、新規参入して増えている企業の実態たるやどうだろうか。もちろん一生懸命法令・基準を守っている企業もたくさんあるが、不適切な対応をして参入し、価格を下げ、過当競争に繋げてしまっているこの現状をしっかりと点検、監視していくべきだと思う。

もう一点、労働時間が遵守されていない実態もさることながら、労働保険、社会保険の加入状況はどうか。これも法令で決められている。交通産業、トラック、バス、タクシーの事業者の、もしくは事業場の労働保険、社会保険の加入実態について報告いただきたい。

【 厚生労働省松井大臣官房審議官 】

トラック・バス・タクシーの事業の平成15年度末の労働保険の適用状況であるが、適用事業所は約72,000ある。こうした事業場に関して、労働保険は、そこで働いている方には、年齢や労働時間に関わらず、とくに労災保険は適用されるわけだから、須らく加入していただくことが必要で、しっかりと対応していきたい。具体的には、その保険に加入していないということが大きな問題になると認識しており、未手続事業場の解消が重要だと考えている。15年度より、国土交通省との間で通報制度というものを開始している。国土交通省で把握した保険に入っていない事業場が判明すれば、厚生労働省にも連絡いただき、事業主をしっかり指導し加入を促すというものである。加入しないという事業主に対しては、職権による成立手続を積極かつ協力にやっていこうという考え方で取り組んでいる。

【 三日月議員 】

トラック業界の社会保険加入対策については、国土交通省と連携してやっているということだが、バス・タクシーについては、年金・健康保険加入促進のための取り組みは、そもそもどれだけの皆さんが未加入でいるのかという実態把握もできていないし、国土交通省と連携した取り組みも十分でない。また、労働保険に至っては、交通運輸産業で様々な危険を冒しながら、どれだけの方々が法令に違反して未適用の状態でいるのかという実態把握もなされていないということだ。これは非常に問題だと思う。全国貨物自動車運送適正化事業実施機関の調査では、労働保険の未加入事業所が11.7%で、これは平成13年度の6.3%からほぼ倍増だ。社会保険に関しては、平成13年の13.4%が未加入であった状態が、22.4%まで増えている。折からの過当競争状況もあるし、景気悪化による物流コストの低廉化もあるだろう。しかし、先に行われた将来展望なき保険料の負担から課される事業者負担を苦に、あの手この手で労働保険、社会保険の未適用、未手続、未加入の事業者が増えている。労働時間は守らない企業は増えているし、労働保険も社会保険も入らない企業が増えている。大臣は、この状態をどのように受け止めて、どのような対策を取るのか。先ほど賃金については、最低賃金を含めて実態把握を指示していると答弁があったが、私は、いいことだと思うし、早急にやってほしい。いろいろと新規参入がある中で、過当競争の実態、労働者の労働条件がどんどん犠牲になっている実態を、賃金面だけでなく、労働時間の面からも、そして、労働保険、社会保険も含めた保険への加入という面からも、ぜひ早急に調査をしてほしい。これまでも監査はなされている。その結果、車両停止という処分は、この間、1,982件から2,454件にずっと増えているが、事業停止や許可取消法律といった、貨物自動車運送法、道路運送法に定められている厳罰については、まだまだ踏み切れていないという状況がある。一定、価格やサービスによる競争はいいと思う。どんどん競争して、結果、利用者にとってよりよいサービスを実行できるよう望むが、最低限のルールは守らせるという態勢を国としても執るべきだし、各事業者にもそれを課すべきだと思うが、最後に、そのことに対する大臣の見解、決意を伺いたい。

【 北側国土交通大臣 】

まず、いかなる企業であれ、どんな業界であれ、労働保険や社会保険に入っていない、入れていない企業というのは、企業の社会的責任を果たしていないわけで、とんでもないことだと思う。運輸業界に限らず、あってはならないことだと思う。

それとは別に、運輸業界に特有の課題、とくにタクシー業界については、運転手の方々が大変な、過酷な条件の中で労働している実態は知っているつもりだ。それがタクシーの走行の安全性を損なうようなことがあってはならないわけで、その面からも、3年前の規制緩和がその後どういう影響を与えたのかということをしっかりと見る必要があると思う。

そういう意味で、たんに賃金の問題だけでなく、労働時間も含め、さらに問題になっている地域での渋滞、環境悪化の問題なども含め、また、タクシー運転手の雇用形態のあり方の問題まで遡って、厚生労働省の皆さんとよく連携しなければならない。そういうことも含め、現状の課題をよく知って、しっかりと対策を打ってまいりたいと思っている。

【 三日月議員 】

タクシーだけではない。トラック、バスもぜひ実態把握と対策をお願いしておきたい。

以  上


国会情報へ