参議院国土交通委員会(関連部分)

2005年3月10日(木)10:30〜11:00

山下八洲夫議員(岐阜県、JR連合国会議員懇)

【 山下八洲夫議員 】

大変残念なことだが3月2日20時40分頃土佐くろしお鉄道の宿毛駅に特急列車が衝突、運転士が死亡し10人程度の方が負傷するという痛ましい事故があった。今日現在では事故原因が十分には把握されていないし、また同時に経営基盤の非常に弱い第3セクターの鉄道事業者である。二度とこのような事故を起こしてはいけないし、従業員に対する安全教育はもちろんのこと、まずは安全を第一に運営をしなければならない。ましてこういう鉄道はどちらかといえば高校生を中心とした交通弱者の通学通勤に利用されている鉄道が多いわけである。そういうことを考えると一日も早い復旧をすることが大事だと思う。一つ間違って重い処分でもするとそれをきっかけに(営業を)「止めてしまおう」ということにもなりかねないし、それは危険であるので、そういうことを考えると、処分問題はある程度理解して早く弱者の足を確保するという観点からこの問題に積極的に取組んでもらいたいと思うが、鉄道局長如何か。

【 国土交通省梅田鉄道局長 】

土佐くろしお鉄道の件であるが、3月2日宿毛駅構内において岡山駅発宿毛行の3両編成の特急が構内の車止めを超え脱線する事故が起きた。運転士が死亡し車掌を含め10人が負傷した事故である。事故発生後、航空鉄道事故調査委員会が直ちに委員を派遣して現在事故原因の調査を行っているところである。鉄道局としても全ての鉄道事業者に対してターミナル駅においてATCの設置状況とか運転マニュアルの遵守状況、職員の管理について総点検をするように指示しているところである。この事故により現在運転を中止している中村〜宿毛間においては各駅付近の国道にバス停を設置し朝夕の通勤通学、特急列車の接続に合わせ上下合計29便の代行輸送を行っている。早期復旧をさせたいと思っているが、8日から復旧作業に着手しており、車両の撤去に約1ヶ月かかる。駅舎の修繕に5ヶ月程度かかると聞いている。私共としては一日も早く復旧させたいと思っているところである。

【 山下議員 】

只今復旧に努力するという言葉を頂いたので、是非その方向でご尽力お願いしたい。

【 山下議員 】

昨年は台風や地震など非常に災害の多い年であった。そういう中で鉄道を始めとする公共施設に甚大な被害が生じたし、一部の地域においては度重なる台風の襲来で復旧作業が終わらないうちにまた次の台風が来て被災し、復旧の目処が立たないといったところもあるわけだ。特に新潟中越地震では上越新幹線が未曾有の被害を受けたことはご承知のとおりである。復旧費は12月末時点で200億円程度と言われているし、その間運休ということで相当の減収になったのではないかと思う。また振り返れば10年前になるが、阪神淡路大震災では山陽新幹線の復旧費が1,020億円と言われている。同時に減収額も500億円以上ではないかと想定された。こういうものは全て各事業者の負担となっている。今回、JR四国エリアに台風が何個も上陸し被害を受けた。JR西日本は越美北線、JR東海は高山線が被災している。それでは昨年JR民鉄含め多くの鉄道施設が被害を受けたが、凡そ被害の件数、被害額及び復旧状況、今後の見通しについて簡潔に報告いただききたい。

【 梅田局長 】

昨年はご指摘のように風水害、地震等様々な災害が発生した。台風など風水害の被害であるが18事業者44件である。橋梁の流失、土砂崩壊等の被害が発生して被害総額は約120億円である。被害の復旧状況であるが福井豪雨でJR西日本の越美北線と、台風23号によって被害を受けたJR東海の高山線とが運行を休止しており、復旧まではなお相当の時間を要する見込みである。一方、新潟県中越地震ではJR東日本、北越急行において高架橋、トンネルに損傷が発生した。被害総額は約450億円である。この復旧状況についてはJR東日本の上越線において一部単線運転を行っているところがあるがほぼ全線運転を再開しているところである。

【 山下議員 】

そうすると越美北線、高山線はまだ見通しがついていないということでよいか。

【 梅田局長 】

そうだ。

【 山下議員 】

私は岐阜県出身なので、高山線を例に引きながらお尋ねさせていただく。高山線は台風23号によって橋脚が流出するなど大変な災害に見舞われ、現在でも猪谷〜飛騨古川間においては不通が続いているわけである。そういう中で今、代行バス等に一生懸命取り組んでいるわけであるが、とにかく住民にとっては大変に不便な状況なわけである。特にあの地域は大変な豪雪地帯であって、冬場は車も通行止めになるという状況のところである。地元住民にとっては一日も早い復旧をしてもらいたいという気持ちが強いわけである。そういう中で高山線について申し上げると、地元においても昨年の4月に誕生した飛騨市がJR東海及び県に早期運行の要請をした。また同時に、高山線は中京圏と北陸圏を結ぶ重要な交通網でもあることから、富山県側においても岐阜県以上に復旧を切望しているのではないかと思う。そう考えると、早く復旧を果たさなければならないと思うのだが、国土交通省においてはこの問題についてどのような取組みを検討しているのか。

【 梅田局長 】

JR東海の高山線の問題であるが、ご指摘のように高山線は岐阜県内の山間部にかかる橋梁9箇所が被害を受け、うち4箇所が流出してしまった。また線路の基礎部分が13箇所にわたって流出している。極めて甚大な被害を受けているので、ご指摘のように飛騨古川〜猪谷間において運転を中止しているというのが現状である。この間においては、代行バスをJR東海において運行している。復旧に向けては、河川と道路の関係があるので、河川・道路の災害復旧と一体的に実施するということから、管理者である岐阜県側と復旧の方針・計画等についてJR東海が中心となって検討しているところである。被害の規模が甚大であるので、なかなか全面復旧に時間がかかり見通しが立たない状況である。ご指摘のとおり工事をする時期も限られているわけである。我々としては、高山線全線の早期復旧を行うということで今後ともJR東海を指導してできるだけ早く復旧できるようにしたいと考えている。

【 山下議員 】

越美北線については、福井県とJRが基本合意して一定の前進を見た。少し明るい材料があるわけであるが、そのことは別にして、例えば高山線にしても100億円以上の復旧費が必要だろうと言われている。場合によっては200億円とも言われているわけである。同時に、越美北線にしても500人程度の乗客しかいない。あるいは高山線も飛騨古川から富山方面に向かっては1日600人程度しか利用客がいないという状況である。どちらかというとローカル線と言った方がいいわけであるが、そういった所というのは大変険しい所に線路が敷いてあって、ちょっとした集中豪雨でまた災害に見舞われるという危険な箇所にレールが敷かれて運行されているわけである。そういう中で、もともと運行しても赤字である。赤字のところにおいては、民間の鉄道事業者が100億円も200億円も投資してもその投資が回収できない。民間の場合は利益を確保しなければならない一方で、無駄な投資ということで株主から訴訟も起こされる可能性もある世の中になってきたわけであるが、現行法でいうと鉄道軌道整備法に基づく災害復旧事業費補助については、JR西日本とか東海には適用されないわけである。そういうことを考えると、このような災害に対しては適用されるようにすべきではないかと考えるが、どう考えるか。

【 梅田局長 】

ご指摘の災害の際の、JR東日本・東海等に対する公的支援の問題であるが、災害が発生した場合、施設を原状復旧するというのは事業者の当然やらなければならない責務であり、建て前は自力救済である。しかし、鉄道軌道整備法8条によって大規模な災害を受けた鉄道であって、その鉄道事業者の資力のみでは災害復旧を行うことが著しく困難という場合には、その復旧費用の一部を補助することができると規定されているところである。この規定を受けて、被災前3ヵ年度で営業損失又は経常損失を生じている、あるいは被災後5年度を超えて営業損失又は経常損失が見込まれるなどの要件を充たす事業者に対して助成を行ってきているのが現状である。こういう観点から、昨年もJR四国においては全体で約5億円の補助を行ってきたところである。ご指摘のJR東日本・東海等であるが、この3社においては平成15年度の経常利益を見てみると、JR東日本は1,832億円、JR東海は1,175億円等となっている。そういう経営状況から見て、現時点ではこの要件に当たらず、助成の対象とはならない。基本的には各事業者とも土木構造物の保険を掛けている。このような保険を活用しながら自力で復旧していくというのが現在のやり方である。

【 山下議員 】

本州3社については利益率がよいから対象にならないというのは全くその通りである。JR四国は余りにも貧弱なので補正予算で5億円対象になったわけであるが、あれがなかったら四国の線路は無くなってしまうという感じもするので感謝をしている。しかしそうではなくて、やはり国道とか国の治山とかそういうものが崩壊したりすると全て国の税金で復旧を行うわけである。鉄道の場合も、ある意味では線路から下についてはそれに順ずる対応を考えてもいいのではないかという気がしてならない。例えば、整備新幹線については上下分離方式でJRは上の部分だけ経営するということになれば、線路から下は結局国が対応するということになってくる。それから、第151回の通常国会でJRの完全民営化法案の時に議論させていただいたわけであるが、付帯決議でJR東日本・東海・西日本は本法施行後にあっても需要を積極的に開発するなど出来る限り経営努力によりローカル線の維持に努めることとうたってある。同時に、その後ろに、これはJRだけではないが、全国の各地域における住民の足である地方鉄道について支援方策の見直し等により難い場合にはいわゆる上下分離方式の導入を検討することというような付帯決議がなされている。であるから、特に赤字でどうしようもない所においてはある程度上下分離方式的なことを考えて、国なり公からの予防的措置を行っていくというようなことを検討すべきではないかと考えるがどうか。

【 梅田局長 】

ご指摘のように、整備新幹線については上下分離方式で建設をして、上をJRが走り、下を鉄道・運輸機構が保有するというような形をとっている。また、盛岡〜八戸間の開業に際して、青森県においては第3セクターで東北本線の在来線を運用することになったが、その際には青い森鉄道という第3セクターを作っていただいて、それが運用した下の方の財産は県が持つというようなやり方もある。ご指摘のように、地域によってこれから鉄道をどうしていくかという議論は経営面からもいろいろ出てくるかと思う。その際に、どういう方策でこれを維持し、そのサービスを確保していくかという問題については、地域の方々やJR等を含めた鉄道利用者の間でよく相談をしていただくことだろうと考えている。従って、この災害等が起きた際に、今回もそうであるが、地域に果たしている鉄道の役割をいろいろ勘案していただいて地域の方々と一緒になって復旧をしているという現状であるので、今後、こういう問題を含めて地域と鉄道とが共生していく方策にはどういうものがあるのか検討していくべきテーマであろうと考えている。

【 山下議員 】

検討いただきたい事項がある。例えば銀行でいえば貸倒引当金というようなものがある。いろいろな引当金や準備金というものが制度としてある。鉄道事業も新幹線鉄道大規模改修準備金がある。東海道新幹線の施設が古くなり大々的に改修する、5,000億円までならば良いという制度もある。災害はいつ起こるか解らず、経費が多くかさむ。今回であれば越美北線でも高山線でも予想外の経費だと思う。そういうことを考えると、額はいろいろと検討すれば良いと思うが、例えば一定の災害復旧引当金のような制度を創設することは良いことではないかと思う。引当金、準備金にはいろいろなものがたくさんあり、特別修繕引当金、特別修繕準備金とか似たようなものもある。是非検討いただき災害に対する引当金、鉄道事業者の準備金を確立していただきたいと思う。

【 北側国土交通大臣 】

ご指摘の点は大事な意見だと思うので、よく勉強させていただく。例に出された新幹線大規模改修引当金制度ははっきりしている。というのは、東海道新幹線は昨年が(開業)40年目で、概ね50年に一度の抜本的な大規模改修工事が必要と言われている。今から10年前後で50年が経過するわけで、その時に東海道新幹線については抜本的な大規模改修をしなければならない。想定されている費用が1兆1,000億円。ある程度、時期も規模も今から予想されているということである。災害の場合はいつあるか、どこであるかわからないという中で、こうした制度を作ることがどうなのか、よく勉強させていただきたい。阪神淡路大震災ではたいへん甚大な被害が生じたわけであるが、この時は補助事業そのものも対象事業者を拡大し、いろいろな要件を取り払ってJR西日本を支援できる体制をとるとか、融資についても政府系金融機関を使って極めて超低利の融資をするとか、さらに税制上の軽減措置もとるとかを行った。今後も甚大な災害があった時は当然このような取り扱いをしていくことになる。こういったことも照らし合わせながら委員の指摘については良く勉強したいと考えている。

【 山下議員 】

日本列島はどこで地震が起きてもおかしくなく、台風もどんどん上陸する。甚大な災害というが、鉄道事業者によっては1億円でも甚大な災害であり、1億円や10億円は大したことがないという鉄道事業者もある。いろいろな事業者がいるので、是非この引当金制度のようなものについては勉強するだけでなく、前に進んでいくよう要望しておきたい。

以  上


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