「JRに革マルはいらない!」を結集軸に

JR連合組織部長 慶島 譲治
JR連合は、1999年に「民主化闘争」を宣言し、JRからの過激派「革マル派」の一掃とJR東日本などの労政転換に取り組む方針を決定し、今日まで闘ってきた。 今年は、JR発足20年の節目の年であり、国鉄改革の負の遺産として残された「革マル浸透問題」に決着をつけるために、産別・単組の総力をあげた取り組みを展開しなければならない。
1 大きな局面展開を迎えるJR総連・東労組の動向
2002年に発生したJR総連・東労組の「東京問題」を契機とする「松崎派対嶋田派」による対立抗争劇が、昨年後半以降、大きな局面展開を迎えた。
それが、昨年6月の嶋田派フラクション「JR東労組を良くする会」の結成である。6月11~13日に開催された東労組大会において、長野地本峰田委員長以下5名の嶋田派メンバーに対する除名を含む統制処分が下されたことを契機とする「良くする会」の結成は、「松崎派対嶋田派」の内部対立が抜き差しならない状況にまで至ったことを示している。
以後、「良くする会」は、東労組本部に対する4項目の要請に賛同する組合員の署名行動を拡大してきた。また9月6日には、長野地本の土屋忠幸氏が集団で暴行を受けたとして、東労組の22名を傷害容疑で告訴することによって東労組の暴力的体質を告発した。
さらに、9月13日には、東労組本部に対して8項目の「情報公開請求」を提出した。請求項目には、「国際交流基金」関係口座の通帳の公開が盛り込まれており、松崎明氏の「業務上横領容疑」の核心に迫るものといえるだけに、東労組は回答を拒否し、10月10日、「良くする会」は東労組を相手に「情報公開請求訴訟」を東京地裁に提訴している。
こうした「良くする会」の動向に対して、東労組は、11月20日に臨時中央委員会を開催し、組織破壊攻撃を許さない闘いとして、「良くする会」の要請署名簿に署名した組合員に対して、1月10日までに撤回の意思表示をするよう求め、撤回しなかった者は、組織破壊集団=「良くする会」の同調者と判断すると恫喝している。
また、「良くする会」に対抗して、本部派ダミー組織「健全なJR東労組長野地本を創る会」なるものが、12月3日結成された。東労組は直ちに「創る会」の全面支持を表明したが、「創る会」の役員には助役など管理者が就いていることから、東労組と会社が一体となって「良くする会」への攻撃を企図しているものと思われる。
「良くする会」は以上の動向を踏まえて、長野・新潟を中心に緊急避難的に署名を撤回することを意思統一した模様だが、このことによって東労組本部と「良くする会」の対立状況が収束するはずもなく、2月14日に開催される東労組中央委員会を契機に、東労組内は急速に流動化していくことは必至の情勢である。
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| JR東労組浦和電車区組合脱退・退職強要事件の裁判傍聴券を確保するため、JR東日本ユニオン、JR東海ユニオン、貨物鉄産労の組合員は公判の度に100から120人が行動に参加した |
2 『週刊現代』の特集記事により危機感を募らせるJR総連
一方、「JR革マル問題」がタブー視されてきたマスコミにおいても、この問題を告発する動きが出てきた。それが、昨年7月から24回にわたって連載された『週刊現代』の「テロリストに乗っ取られたJR東日本の真実」と題する特集記事で、各界に大きな反響を呼ぶこととなった。
この特集記事に危機感を募らせたJR総連・東労組は、8月29日、発行元の講談社と執筆者を相手に、記事で名誉を傷つけられたとして「損害賠償訴訟」を東京地裁に提訴するとともに、10月19日には、松崎明氏が同様の訴訟を起こしている。
松崎氏は、記事は虚偽であると強弁しているが、『週刊現代』誌上で「良くする会」のメンバーである阿部克幸・元東労組企画局長は、「これまで『週刊現代』で書かれてきたことは、すべて事実。松崎さんが何をもって、また記事のどこの部分を『虚偽』と言っているのか、理解に苦しみます」と真っ向から反論している。阿部氏は、かつて松崎氏の「側近中の側近」といわれた人物であり、その発言には重みがあり、真実はどちらにあるのか、いずれ法廷で明らかにされるものと思われる。
さらに、JR総連の組織の異様性を象徴するように、松崎氏本人による提訴と前後し、東労組をはじめとするJR総連の組合員が、記事によって名誉が毀損されたとして、全国各地の裁判所に44件にも及ぶ集団訴訟を起こしている。JR総連・東労組や松崎氏本人の訴訟には弁護士がついているが、これらの集団訴訟は弁護士などの代理人を立てない「本人訴訟」というものだ。
1月18日には、原告・東労組仙台地本組織部長に対する判決が福島地裁で下された。判決は「本件記事に原告の氏名その他原告を特定する記述は全く見あたらず、本件記事が原告個人に向けられたものとは認められない」として、原告の請求を棄却しており、残る43件の判決も原告敗訴は間違いないものと思われる。
JR総連・東労組による訴訟の狙いは、提訴という恫喝による言論弾圧といえるが、昨年5月18日の「週刊新潮裁判」の東京高裁判決でJR総連と東労組の主張が退けられ、「革マル浸透問題」は真実であると司法によって認定されている。JR総連・東労組は最高裁への上告を諦め、「東京高裁判決」は確定しており、JR総連・東労組への包囲網は強まるばかりだ。
3 伴野・三日月両議員の追及と質問主意書の提出
昨年10月25日、衆議院国土交通委員会においてJR連合国会議員懇談会事務局長の伴野豊議員と同事務局次長の三日月大造議員が質問に立ち、「JR革マル問題」について、冬柴国土交通大臣や米村警察庁警備局長の見解を厳しく問い質した。
米村局長は、JR総連・東労組への革マル派浸透の実態をあらためて述べたほか、浦和電車区事件について、「革マル派活動家を含むJR東労組の組合員らが、JR東労組と対立する労働組合に属する者と行動を共にするなどした組合員に対して、組合脱退及び退職を強要した事件を検挙している」と答弁し、「革マル派は今後も労働運動を通じた組織の維持、拡大を図るため、これらの事件と同様の事件を引き起こすことが懸念される」と、その危険性を強調した。
また、冬柴大臣は「鉄道輸送の安全に関する問題が生じることがあれば、輸送の安全を十分に確保することが重要との観点から適切、迅速に対処していく」「(革マル派浸透問題と安全問題との)因果関係は不明であるが、東日本の相次ぐ輸送障害に対し、強い警告を発し、適切な指導を行なっている」との見解を示している。
以上の大臣答弁を踏まえて、12月8日、伴野豊議員は「運輸安全マネジメントに関する質問主意書」を衆議院議長に提出した。今回の質問主意書は、10月1日の「運輸安全一括法」の施行に伴い、国土交通省は運輸事業者の安全管理体制の運用状況を確認する「運輸安全マネジメント評価」を実施することになり、JR東日本の安全輸送確保の観点から、「革マル浸透問題」について、政府の公式見解を求めたものである。
12月19日に回答された政府答弁書では、「政府は、JR東日本において浸透している革マル派問題について、政府の持ち得る全ての力を結集し、鉄道の安全安定輸送問題、並びに国家の治安問題と位置づけ解決すべきと考えるが、政府の見解はどうか」との質問に対し、「政府として輸送の安全の確保及び公共の安全と秩序の維持の観点から重大な関心を持ち、関係機関がそれぞれの所管に基づいて、必要に応じて関係者と連携するとともに、輸送の安全に問題が生じた場合や刑罰法令に触れる行為があると認められる場合等においては、引き続き厳正に対処することとしている」と強い決意を明らかにした。
一方、乗客の生命を預かる運転士に対する集団での執拗な嫌がらせや運転妨害が繰り返された「三鷹事件」や「浦和事件」などの行為は往来危険罪に該当する危険行為であり、これらの事件に対する認識を求めたが、「これまでのJR東日本からの報告の中で、御指摘の4つの事件に係わる報告は受けておらず、輸送の安全に係わる問題が生じたとは承知していない。輸送の安全の確保に問題があるか否かに関しては、列車衝突事故等の発生するおそれがあると認められる事態等の個別の事案に基づき判断することとしている」という回答であった。
4 安全輸送を揺るがしかねない「積極攻撃型組織防衛論」と「統一と団結論批判」
問題は、「三鷹事件」や「浦和事件」など安全輸送を揺るがしかねない事件の発生の背景に、松崎明氏が唱える「積極攻撃型組織防衛論」と「統一と団結論批判」なるものがあることである。
「積極攻撃型組織防衛論」と「統一と団結論批判」を説明するには、日時・筆者は不明であるが、おそらく2003年頃のものと思われる松崎派作成による「JR東労組の真の一枚岩の団結を作りだそう!」なる資料が最適であり、長文になるが、そのエッセンスを伝えておこう。
松崎前顧問は主に「積極攻撃型組織防衛論」と「統一と団結論批判」の論理を今回の事態に適用し、我々にわかり易く核心と方針を提起してくれている。
まず「積極攻撃型組織防衛論」であるが、これはふたつの意味を持っている。1つは敵対矛盾として現れ存在する吉田に対する闘いは、「積極攻撃型組織防衛論」からして全くの正当な闘いであること。ふたつ目は9人組も敵対矛盾であることから、「積極攻撃型組織防衛論」を適用し嶋田一派とそれを指示する奴らを許さない闘いを徹底的に展開すべきということを提起している。
階級闘争の歴史において資本・権力の側からの直接的な攻撃によって労働者階級は敗北をしたことはない。常に敗北の歴史的根拠は労働者階級の内部の「労働者づら」をした「敵」からの攻撃とそれを許したことにある。我々は現段階、7名の不当逮捕・不当弾圧という国家権力からの直接的な攻撃を受けている。しかし、我々はこれらの攻撃に対する準備は行ってきたし、いくら国家権力が「東労組は内部から壊れないので、外から壊す」と言ってみたところで恐れることはない。そればかりではなく反弾圧の闘いによって若い仲間たちを中心にして、組織は着実に強化されてきている。労働者階級の敗北の歴史を教訓にするならば、嶋田一派とそれを支持する奴らの存在こそ、我々にとっては重大なことであり、主要なことである。……
そして松崎前顧問は9人組との闘いは「階級闘争として位置づける」と提起している。階級闘争においては「変革の対象か」「打倒の対象か」の二者択一である。松崎前顧問は9人組に対して「変革の対象ではありません。私は残念ながらあきらめています。それまでの人だとあきらめました」と提起している。松崎前顧問は積極的に「打倒の対象」という表現は使っていない。しかし、我々は「階級闘争として位置づける」という松崎前顧問の心中を察しなければならない。つまり「打倒の対象」でしかないのである。その認識と決意が我々に問われているのである。
ところで我がJR東労組が何ゆえに「世界最強の労働組合であるか」という理論的大きな根拠は、世界で唯一「統一と団結論」を乗り越えていることにある。動労が国労との対比において国鉄改革時において「分割・民営反対」から「推進」の方針転換がはかることが出来た組織的根拠は内容上において一枚岩だったからである。動労内部に札幌に見られる日本共産党系の全動労や中核派系の千葉動労が存在したならば転換は容易には貫徹できず、国労のようになっていたであろう。つまり労働者階級の「敵」を組織外に放逐し、内容上の一枚岩であったからである。
私たちJR連合の組合員にとっては、これが労働組合の文章なのかと驚きを禁じえないであろう。内容は思想集団そのものであり、およそ大衆組織たる労働組合とは相容れない論理である。ここには「排除の論理」はあっても「共生の論理」は存在しない。
問題なのは、この「積極攻撃型組織防衛論」と「統一と団結論批判」に基づく東労組特有の「階級闘争路線」が、JR東日本の安全輸送と職場秩序の確立にとっていかに脅威であるかということである。
東労組に敵対する者には組織から排除するために、たとえ相手が乗客の生命を直接預かる運転士であろうと、集団での威圧行動や運転妨害などお構いなしなのである。カルトさながらの東労組の組織体質は、輸送の安全の確保とは決して相容れないものである。
引用文の傍点部分「我々は『階級闘争として位置づける』という松崎前顧問の心中を察しなければならない」とは、滑稽としかいいようがないが、逆に教祖の意向を忖度して忠実に実行に移す部隊が東労組に存在するということが不気味なのである。
政府・国土交通省がいう「輸送の安全に係わる問題が生じたとは承知していない。輸送の安全の確保に問題があるか否かに関しては、列車衝突事故等の発生するおそれがあると認められる事態等の個別の事案に基づき判断することとしている」との認識は、東労組のカルト的体質を踏まえれば、危機意識が希薄にすぎると指摘せざるをえない。重大事故につながりかねない、どんな小さな「事故の芽」をも見逃さないことが、福知山線事故の教訓でもあったはずである。
5 なぜ、「JRに革マルはいらない!」のか?
JR連合は昨年11月16日、「JRに過激派はいらない! 民主化完遂11・16集会」を開催し、JR労働界から革マル派を排除し、JR20年を節目に民主化闘争を完遂する決意を固め合った。講演した『週刊現代』記者の西岡研介氏は「JR革マル問題」について次のように訴えた。
「革マル派のようなテロリスト集団であっても、思想信条の自由だけは守らなければならない。私が問題にしているのは、革マルの思想ではなく、その行動である。労働組合は、特定の思想信条に支配されてはならない。自分の自由だけを認めて、他の者の自由を絶対に認めない、これがいちばん問題だ。革マルという思想集団を殲滅することではなく、JRから叩き出すことである。要は、思想集団なら思想集団らしく、思想集団でいろということ。組合に手を出すなということ。あいつらのやっていることが間違っているから徹底的に世の中から殲滅するというのは、あいつらのやっていることと同じ。それをきっちり押さえていかないと彼らを批判する我々も彼らと同じになってしまう」
西岡氏も指摘するように、問題なのは革マルの「他の者の自由を絶対に認めない」という行動様式にあるのである。そのような行動様式が、安全を最大の使命とする鉄道業の労働組合に持ち込まれた場合、どのような悲劇的結果が待ち受けているか……。JRから革マルを放逐しなければならない理由は、まさにこの一点に尽きる。
その意味では、発足から20年目を迎えようとしている今日まで、革マルの跳梁跋扈を許してきたJR東日本の歴代経営陣の責任はきわめて重い。この問題を放置しておくことが、会社の将来にどれだけの禍根を残すことになるのか、胸に手を当てて考えるべきである。 自己保身からは何も生まれないのだ。JR連合は「JRに革マルはいらない!」で一致できるすべてのJR労働者を総結集して、今年こそ民主化闘争に決着をつける年にする決意である。
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| JR連合東京都協は、霞ヶ関地区でJRへの革マル派浸透問題の危険性を訴えるチラシ配布行動を展開した | 11月16日に開いた「JRに過激派はいらない! 民主化完遂11.16集会」 |