はじめに
6月(2002年)中旬、月曜評論社から「もう一つの『未完の国鉄改革』」という本が出版された。タイトルに惹かれて読むこととなった。実は、『未完の国鉄改革』という本は、つい最近読んだ本であったからだ。筆者は国鉄改革の功労者として知られる「国鉄改革3人組の一人、JR東海社長葛西敬之氏である。葛西社長が何をもって「国鉄改革はまだ終わっていない」とするのか、興味深く読ませていただいた。しかし、国鉄改革の影の部分、特に労使関係の裏側に言及していないことに少し物足りなさを感じた。そこに、この本書が出版された。
この本の筆者は、国鉄時代、労働課長の要職にあった人物で、本書は現役時代の経験と退職後の綿密な取材にもとづいて書かれている。本書の内容は、サブタイトルで明らかにされているようにJR発足の日以来今日に至るまで、絶えず囁かれ続けている「JR東日本革マル疑惑問題」の検証を行ったものである。「JR東日本革マル疑惑問題」に関する著書は過去にもいくつか出版されているが、会社の労務管理をする立場の人が書いたのはこれがはじめてである。つまり、「元国鉄労働課長が明かす国鉄改革の裏面史」ということができる。もう一つの「未完の『国鉄改革』」というタイトルになったのも、これが所以かもしれない。
2002年6月、JR東日本の株も完全放出された。しかし、この時期において、「国鉄改革」の陰の部分、特に革マル疑惑問題がなお未解決のままに残されていることに、非常な危惧の念を抱いている。JR東日本の現役経営幹部の中には「革マル派かどうかはともかく、個人の思想信条は自由」と言った類の無責任な意見を口にする者もあると聞いている。JR東日本がわが国鉄道輸送の基幹的企業として高い公共性を有する重要な会社であるだけに、その経営陣の姿としては何となげかわしいことか。
元国鉄労働課長が書いた、警鐘乱打の本。著者の視点と分析は見事なまでに鋭く深い。JRの経営陣、管理者にこそ読んでもらいたい。そこで、筆者の了解を得て、項目毎にそのエキスをダイジェストにまとめ編集してみた。本書の理解をさらに深める意味で活用していただきたい。
JR連合組織部
| 書籍【もう一つの「未完の『国鉄改革』」】発行 ※宗形 明 著 JR東日本革マル疑惑問題を検証する 日本の大動脈から“革マル”は一掃されたか! 元国鉄労働課長が明かす国鉄改革の裏側!! “鬼の松崎”は“仏”になったか! 【内容】 国鉄黒磯駅事件/国鉄改革と各組合の対応/鉄労系組合員の脱退騒動/JR内労働組合の主要勢力比/国鉄改革の未完論と完了論/葛西論と住田論/JR東日本革マル疑惑問題/内ゲバ事件の多発と異常反応/革マル派対JR総連の対立構図/平成十二年奇怪事件の背景/革マル派の秘密組織はあるか?/松崎氏は革マル派か?/警察出身幹部の役割への疑問/JR三社の完全民営化が実現/毎日新聞への幾つかの疑問/特異な護憲・反戦平和運動/『鬼の咆哮』に見る思想・哲学/組合員は両手を挙げて賛成しているのだろうか? |