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港町ウォルマーを発ち、最南端の海辺の街道を歩くフロリーナ一行。波の
音は爽やかだが今日はことのほか暑い。道も蜃気楼が立つほどだ。
「ふえ〜、暑いだわー」
「ほんと、初夏というよりぃ、夏みたい〜」
いつもは愚痴るラッキーを咎める側のマリア、ルーシーさえギブアップ寸前
だ。ちなみに当のラッキーは。
「・・・・・(ぶつぶつぶつぶつ)」
すでに脱水症状を起こし、鞄の重みに負けふらふらとしている。
「困りましたわねえ…。」
フロリーナ、ギャリソンはさすがに乱れることはないが、まだまだ幼い二人
には厳しい暑さだ。ついにマリアが上着を脱いでしまった。
「えーい、もう海で泳いじゃおう! 大丈夫、だれもいないし、ラッキーは
もうちょっとで失神しそうだし…」
「でも〜、わたしたちはいいけど、姫さまも涼しい思いをさせたいです〜」
「あ、あら、わたくしは大丈夫よ。お二人とも海でお遊びなさいな」
そうは言っても汗が流れるのは姫も同じである。
「うーん、さすがに姫さまに裸や下着になれってのはねー。」
ギン!
さっきまでのへタレぶりは何処吹く風、ラッキーの目が怪しく光った。
「よーし! このラッキー様に任せなさーい!」
ラッキーはマリアの帽子をむんずと掴み上げ、
「あー、あー、テステス…大賢者サマ! 聞こえますか? もしもーし!」
大声で帽子の中に声をかけ出した。
「カワイイお弟子さんが欲しがってますよ、水に濡れても平気な、ぴっちぴ
ちの泳ぎやすい服!」
当のマリアもビックリである。
「わわ、ナニすんだラッキー!」
しかしラッキー意に介さず
「あ〜っマリアとルーシー、姫が海の魔物に狙われているー! 今すぐ海で
泳げる、なおかつ姫に合いそうなごーじゃすでびゅーちほーな服がないと!」
迫真の演技だ。すると…帽子が震えたかと思うと、
ぽん。
小さな3色の布きれがひらひらと飛び出し、舞い落ちた。
「おー、ラッキー!! これこれ、姫たちにぴったりですよ」
現世で言うところの水着の出現に、得意満面のラッキーだ。
「はわわわ、お師匠にウソついちゃったよ。ラッキーのばかちん、本当のピ
ンチに無視されたって知らないから! ・・・でも、かわいいし、ちょっと
嬉しいかな♪」
マリアやルーシーもまんざらでない。
「姫さま〜、泳ぎましょぉ〜」
「え? わたくしも?」

着替えが済んだ3人。マリアは赤のセパレート、ルーシーは白のワンピー
ス、そしてフロリーナは。
「や、やっぱり、ちょっと…は、恥ずかしいですわ〜」
真っ赤になって現れた姿は、胸も大きく開いた黒のハイレグである。
「わお! せくし〜い」
「大人っぽいです〜」
もじもじする姫。
「その、お肌が出るところ、多すぎるような
…」
「大丈夫ですよぉ、泳ぎやすいって思えば〜」
「うん、それに私たちは見慣れてるもん…
あてっ!」
さすがに悪乗りしたマリアをルーシーが軽く
小突く。
「うふふ、ま・いっか!」
気分もほぐれた姫。遠くの木陰で休むラッキ
ーを見届けると、皆で海に飛び込んでいった。
2
別の木陰でギャリソンも休憩である。
「ほっほっほ、皆お元気で結構。…ところで、隠形がとけておりますぞ、ジ
ャム。」
見ると隣にはあからさまに怪しい人影が。褐色のマントに身を包む、山猫の
ような身のこなし。密偵のジャムだ。いつもは冷静かつ仏頂面な彼だが、姫
の水着姿は刺激が強すぎたようだ。
「ふ、不覚。お守りすべき姫のお姿に心を奪われるとは!」
真っ赤になり俯く。
「まあ、たまの気晴らしですからな。気にせず、引き続き謎の老人を追って
くだされ。むっつりジャム殿」
「あ、あんたに言われるまでもない! 今度むっつり等とぬかしたら殺すぞ!
くっ」
そのまま木陰の一部となり、密偵は消えた。
海辺で水をかけあい、泳ぎはしゃぐ3人。しか〜し砂浜に光る目が。
(ぐふふふ、も、もう辛抱たまらんっ!)
なんとラッキーは砂に潜り姫の背後にまで近付いていた。木陰の彼の服には
丸太が入っている。
「じいちゃん、おっとお、おっかあ、ゴメン。ストライカー家の血筋はここ
で途絶えるだろう、だがオイラ後悔はしてない! ミミズもカエルもごめん!
あばよ少年向けノベル、よろしく18オーバー!」
ざば! 後ろから姫に襲いかかる理性がなくなったラッキー。
「は! ラッキー? きゃあ!」
ざく。
そのとき、姫の水着の表面からウニの針が飛び出し、ラッキーの全身に刺さっ
た。
「うぎゃああああ!」
ぴゅーっ。マリアの赤い水着がからは墨が飛び出す。
「あ〜目が〜っっ」
ヨロヨロとルーシーにぶつかると、電気クラゲの放電が。
びびびび!
「あばげぼびぼれば!」
ボロボロボロのラッキー。
「ビックリー! 海の生き物の能力が付いてたみたい。さすが師匠の仕立てた
服は違うねー♪」
笑い合う3人であった。
・・・おしまい。
「どもー、マリアでーす! おはおは」
「ルーシーですぅ。ラッキー、平気かしら?」
「だいじょぶグッジョブ、すぐ再生するしアイツ。それより次回はこの水着、
着れるのかなあ?」
舞台は初夏の海、マスター=ヘルを追って行く先は南洋沿海連合のテリトリー。
出会うのは…海と、海の魔物と、南海パイレーツ?

「姉ちゃんたち、待っててや! ワイらの出番やで!」
「け、アホらし。海はもともと女なんぞいらんのじゃい」
次回は南海の大決戦! 海賊ガッツ&ライトを名のる二人が狙う獲物は?
「らっきー、次回はタコ焼き食えそう?」
まー、夏までには公開予定! …何とかします(^^;)
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