ショート・ヒロイニック・ファンタジー

 ばーさーかーぷりんせす!

閑話休題/ホワイトデーの温泉騒動&次回予告。 

絵・文 : J I N


 

1

 現代。とある高校の医務室で。

どて。

背後の物音に、白衣の女性は振り返った。化粧っ気のない整った顔、ショー

トヘア。神秘的な鳶色の瞳が涼やかに。

「どこに行ってた? ん?」

「てっへっへ。ただいまっス。」

足代が黒猫と一緒に突然現われたのだ。ナベシマは女性の脚に絡みつく。医

務担当の安芸山素子女史だ。異常な事態にも平然としている。

「なんだか良い思いをしてきたみたいね。」

「相変わらず鋭いっすねー。素子せんせ」

「顔がにやけてるわよ。誰だってわかる。そっちは相変わらずナマ傷ばかり

だな。手当てするからこっちこい」

「へーい。やっぱここじゃ、敵わねえなぁ…どうしてるかな? あのこ」

足代は何も無い空を見上げ、呟いた。



「全国の女子高生&女子大生&OL&奥様

こんばんは、みなさんのアイドル、ラッキー

です。今日は美しいあなたにホワイトデーの

プレゼント。大丈夫、ちょっとしか舐めてな

いし。番外編ではちょっと恥ずかしいところ

を見せちゃったかな? オイラの魅力はこん

なもんじゃないよ。次回を楽しみにしてて

ね〜。」


どこを向いて何の話をしてるのか、また何故

正装かは知る由もない。

「…なんだかラッキーがまた意味不明語しゃべってるけど無視! 姫さま、

目が覚めてからも超ションボリなの。あ〜あ、アジロ兄様、また来てくれな

いかな〜」

「姫さまもアジロさんが好きになったのに〜、セバスちゃんが見えなくて…

見られちゃって…もしまた来てくれても恥ずかしくて会えない〜ってぇ…可

愛そうですう」

「ねねね、姫さま、温泉に連れて行こう! 気持ちよくってハッピーになる

よ!」

「そ〜ですね〜元気が出るといいですねえ〜」

「でもその前に、あのスカプラチンキにおしおきだべー!」

きらん。マリアとルーシーの目が光った。


ちゃぷん。

「はあ…」

月明かりの中、先のヴェニマールで傷ついた体と心を癒す為、天然の温泉

にフロリーナは浴していた。

「わたくし、殿方にもご縁がない呪いがかかっているのかしら…くすん」

少しべそをかいていた時、湯気にまぎれて何者かが近寄ってきた。

「え? いや!」

ざば。大きな水飛沫があがる。

「姫さまー、私たちだよん♪」

ぴょこんと現れたのはマリアとルーシーだ。

「姫さま〜、元気でそう?」

「ありがとう。心配をかけましたね。大丈夫です。わたくしには使命があり

ますもの」

「さっすが姫さま! 大好きー」

暖かな湯気の中、三人は微笑みあった。

「ところで、あの、害虫は?」

「あ・ラッキーのこと? 近くにいるど、大丈夫。ちゃちゃーんと罰を受け

てまーす」

 そのころラッキーは。

「もごもがもげー!」

「ぎへ、なんでオレ様がこいつと一緒にいなきゃならねえんだ?」

セバスちゃんのカバンの中、猿ぐつわと全身縄でくくられたまま、監禁され

ていた。カバンの上ではギャリソンが紅茶を飲んでいる。

「もがー!(なんでオイラがこんなケダモノ臭い中にいなきゃならないんだー!

 姫、オイラが、お背中流しますー!)」

遠くから三人の楽しげな声が聞こえてくる。

「姫さまの背中って〜、スベスベで気持ちいいですぅ〜」

「あは、ふ、二人ともお止めなさい、くすぐったい」

「むー、姫さまのナイスバディは私のものだ。おっぱい、もみもみー!」

「あは、あはははは、やめてマリア〜・・・」



「もがぐげごげごぎゃ〜〜!!(あああ、こんな事ならボコ殴りされたほうが

マシだ! 生き地獄じゃー! いっそこの耳と目をつぶしてくれーっ! 転送

装置、だれか直して〜〜〜〜〜!!!)」

…懲りないラッキーであった。

4

「こりゃ! 温泉は静かに入らんか!」

いきなりしわがれた声が響き渡った。

「きゃ! ど、どなたかいらしたんですか?」

「ごめんなさ〜い」「ショボーン」

岩ひとつ離れた別の温泉から声が。

「わかりゃあいいんぢゃ。こっちも先刻来たところだし、用事に間に合わんかっ

たでの、湯治にしたわけぢゃ。あゝ極楽々々」

都々逸にブードゥーの呪文を混ぜたような鼻歌が聞こえる。

「なんの御用かわからないけど、お爺ちゃん間に合わなくて良かったよ。昨日は

このあたりタイヘンだったんだから!」

マリアの声に。

「なんぢゃ、そっちも子供二人の連れがいるんかい? うちの助手も双子なんじゃ

が、水が苦手での、先に帰ったわい。心配してくれるのか、嬢ちゃん、あんがと

よ。ひょほほほ」

「あ、どうぞごゆっくり。わたくしたちは上がります。」

「マスタ…ドクター=へヴン、ぢゃ。この先の町、パノレコで薬を調合しておる。」

「フレアと申しますわ。ごきげんよう」

フロリーナはそそくさと温泉を後にした。何かしら予感めいたものが、またこの老

人に会うかも、と告げていた。

後に残った醜悪な顔の老人。その二の腕には黒い牙のタトゥーがあった。

5


 その頃ラッキーは。相変わらず魔鎧に押しつぶされ、もがもが言っていた。

「モガー!(マジ酸素が足りねえんすけどー! あ・背骨みしみし言ってるし! 

あれ? なんか気分よくなってきた…らっき〜〜…)」


                              ・・・今度こそおしまい(^^)。


「こんばんはぁ、ルーシーですう〜。暖かくなってきましたねえ。なんだか眠た

くなっちゃいますねぇ〜。ぽかぽか、次回予告ですよおぉ〜〜。」



「…あーっ、まだるっこしいな! こっからはミミ様の出番でぃ。行くぜ、ぬー、

イーノ!」

「うふん、イイ男いるかしら?」「あははー。おなかすいたー」

「お前ら黙ってろい!」

 闘技場と賭博の町、パノレコ。王国正規軍が壊滅して以来、賭け試合で身を立

てる軍人くずれたち。空から襲い来る妖魔、ガーゴイル。そこへ現われたバーサ

ーカープリンセスの名を語る謎の一味。

憤慨した姫が闘技場に参戦する? そして暗躍するネクロマンサー(笑)。

次回『ばーさーかー・ぷりんせす!』第5話、「偽狂戦姫現る」。

・・・ベタですいません!(^^;)


「姫のピンチを救えるのはラッキーしかおりません。頼みましたぞ」

「えええっ! 次回はマジ超ウルトラらっきーーーー!!」


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