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1
「お、なんだよマリア、そのケバいカッコ。またコスプレか?」
ラッキーが問いかける。セイヴを発って最初の町で。マリアは異国の民族服
を身にまとい、顔の前にお札をたらし、死体のようなメイクをしている。
「これ、キョンシーっていう東方のゾンビなんだって。今日は他のみんなも
魔法使いや魔物のカッコをしていたずらしてもいい日なんだって! お菓子
をくれないと、イタズラしちゃうぞ〜〜!」
コスプレ好きのマリアはノリノリだ。後ろでもじもじしているのは・・・
「ちょっとぉ、恥ずかしいです〜」
ルーシーだ。ちょこんとコウモリの羽根と角をつけた赤い悪魔の仮装をして
いる。
「ルーシーちゃん、ばっちグー! いつものシスター姿と正反対ってのが、
そそる〜ぅ」
「も〜、マリアちゃん、からかわないで〜。」
「この時期、全ての聖職者を讃える祝い日の前に悪霊がやってくる…それを
退散させるために魔物や悪霊に扮するという祭りがあるのだそうで」
ギャリソンがメモを見、説明する。
「と、ゆー訳で。姫さま、ギャリソン、ラッキー。みんなも参加してね」
「え、え、わたくしも、ですの?」

2
「ぎひゃひゃ、なんだ俺様のかっこ?」
魔鎧が吠える。オレンジ色に塗り上げられたその姿は。
「カボチャのお化け、ジャック・オー・ランタンだよ。あはっ、セバスちゃ
ん、可愛いッ」
「私めのこのいで立ちは…」
黒いタキシードにマント。鋭い牙を生やしたギャリソン。
「吸血鬼。うーんしぶい! オジサマすってき〜い!」
「あ、あの…やっぱりわたくしも着なければなりませんの?」
おずおずと姿を見せるフロリーナ。
「おおー! さすが姫さま、色っぽいにゃー!」
「可愛いですぅ〜」
マリアとルーシーがはしゃぐ。姫は…魔女の衣装、それも胸の部分が開いた
きわどいものだ。カボチャのアクセントとミニスカートから伸びた網タイツ
の脚がアンバランスだが妖しい美しさ醸し出している。
「そ、そうかしら? ま、まあお祭りでしたら、仕方ありませんわね」
恥ずかしがりながらも、まんざらではなさそうだ。そして、
「キャハハ、お菓子の御用ならキャンディたちの出番だヨ」
甘い香りを漂わせ、お菓子の妖精…ピクシーのキャンディとチョコぼんが現
れた。

「皆さん、お、お久しぶりなんだな」
マリアたちが歓声をあげる。ギャリソンが血のように赤いワインとベリー
ジュースを用意して、パーティは盛り上がりを見せた。だが、その影で…
「ぐふふふ、も、もう辛抱たまらんっ」
とがった耳とヒゲ付のコップで犬っぱなをこしらえた、狼男のラッキー。す
っかりワインで出来上がっている。
「赤ずきんちゃん、ご用〜心〜!」
「きゃあ!」
なれないハイヒールのブーツと衣装に素早く動けない姫に飛びかかる。
「男はオオカミなのよーん。わおーんん、、ラッキー!」
「ああんっ、ダメっ!」
その時、姫のかぶる魔法使いの帽子から、骸骨の被り物と白骨のペイントを
体にされた黒猫…ナベシマが現れた。
「んぎゃぎゃぎゃ!」
バリバリバリィ! しょぼい狼男は、骸骨猫の餌食となり、そして…。
「ラッ、キ、イ、イー!」
体制を立て直したフロリーナが鞭を、ルーシーが槍を持ち、マリアがキョン
シーの衣装の袖から大きな鉤爪を延ばして迫ってくる。
「あわわわわわ、じいさん、お助け…あ、いないーっ!」
二人のピクシー、それに黒猫と鎧を加えた観客と老執事はとっくに退場して
いた。
「うっぎゃおおおおぉ〜〜〜〜んんん…」
パーティ会場となった教会に、奇妙な叫び声が響いた。
・・・ちゃんちゃん。
皆様、楽しいハロウィンを(^^
次回予告!
第11話、『氷雪の女王』(仮題)、舞台は未踏の極寒の北国。もしかすると
別のストーリーが入るかもしれません。只今仕事がちょっと忙しく、続きは
もう少し後になるかもしれません。ご了承くださいませ。
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