ちょっと怖い小咄。


 
小咄其の八拾弐   未 来 か ら の 挑 戦

 事件記者の万城目半平太とその助手、芳山つくね。二人は最近

多発 する失踪事件を追ううち、進学塾「よゐこ塾」の塾長が犯人

であること を突き止めた。

  

「お前が犯人だな!」

「なぜこんなことを?」

夜の遊園地に逃げ込んだ塾長を二人が問い詰める。

「むっはっはっは。よくぞ見破った。私は未来人、ケム=ソゴール。

おまえ達過去の人間達がいいかげんでズボラなため、日本は財政破

綻し、環境破壊や謎の伝染病によって突然変異し、壊滅したのだ。

愚かな愚民たちよ、私がおまえ達を間引き、再教育してやるぞー!」

「愚かな愚民って…」

「見て、先輩」

仮面を取り、ふやけたサヤエンドウのような醜悪な姿を見せるケム。

得体の知れないパイプや電線、コードの生えた機械を取り出す。

「未来から持って来たのはタイムマシンだけではないぞ。食らえ、

毒ガス攻撃!」

ブシュウ。ノズルからもくもくと紫煙が吹きこぼれる。

「クレージーウォーター、散布! そして殺人光線、照射〜!!」

怪しげな機械からガスが、液体が、光がまき散らかされる。

「うわああああ!」

「キャアあああ…って、あれ?」

半平太とつくねは顔を見合わせる。二人とも上機嫌だ。

「なんだこれ、お酒じゃーん」

「これ、タバコの煙だ。はあ、きくなあ。最近まわりが禁煙ブーム

で吸えなかったし。」

「このライトはぁ、ヒック、紫外線〜ん? 日サロみたい〜もっと

ちょーだーい。」

どの攻撃も現代人には通じない。というか喜んでいる。

「なんだと! これほどの有害物質に即効性がないなんて…くっ、

これだから過去の人類はっ」

ゼェゼェと息を切らす未来人。そこへ。

「ねえ、なんで核兵器とか細菌兵器とかソーラーレイとか、使

わないのー?」

芳山が聞いた。

「ヒィ! そ、そんなおおお恐ろしいことを考えるなんて! 

…きゅう」

極度の神経質とストレスによる狭心症で未来人は倒れた。

「―――未来人って、ひ弱ね。ヒック」

「ああ…。こうはなりたかぁないな。タバコ、やめよかな…」

 

 二人はちょっとだけ、ほんのチョットだけ未来を憂いた。


 ・・・おしまい。

2008/2/17(日)  up

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