ちょっと怖い小咄。


 
小咄其の六拾六   ス ト ー カ ー

 美人OLの星野つくねさんは最近夜も眠れないほど悩んでいた。俗に言うストー

カー被害である。残業を終えての帰り道、今日もその陰気そうな男は付かず離れず、

一定の距離をおいて彼女をじっと見ていた。

「うう、気持ち悪い〜」

鳥肌を立て睨みつけても、ストーカー男は逆に暗く笑い返す。服装も髪型も気にし

ない、顔もヒゲだらけである。

「もうッあんた、いつも付け回してどういうつもり!?」

他の通行人を押しのけ、つくねさんは男を怒鳴りつけた。

「ふふふ…何を言うんだ。僕は君のナイトじゃないか。いつも君を助けているのに

さ…」

彼女は悲鳴をあげ、交番に駆け込んだ。事情を聴いた警官がストーカー男を引き連

れていった。

「はあ〜、やっと安心して帰れるわ」

連行される男はまだ叫んでいる。僕が彼女を守るんだ、さもないと…

 その時、つくねさんは気付いた。

去っていくストーカー男の後姿は、ボロボロだった。切り傷や細かな血飛沫も見え

る。

「ひいッ!」

恐ろしくなった彼女は一目散 にその場を逃げ出した。

「やっと…守る男が…消えたな……」

もう少し、遠くから見ていた別の男が歩き出す。ポケットに刃物を忍ばせて。
                                  


 ========= おしまい =========




2007/04/07(日)  up

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