|
”カップルで行くと別れる”
この手の都市伝説は有名な遊園地・テーマパークに必ず存在する。
浦安半平太はそれをダシに振られたばかりであった。
「あんな噂のせいで・・・」
憤懣やるかたない。無論ふられるもともとの理由は自分にあっても、
そんな事はきにしない。関東某地にある鼠ぃランドは今日もカップ
ル、家族連れで賑わっていた。
「きしょう、なにが都市伝説だ、鼠まで恋人いやがって!」
鼠ぃランドの有名キャラクター、鼠っキーと鼠ニィは客に愛想を振
りまいていた。恋人同士の設定だから、抱き合ったり頬にキスの真
似もする。
「どうせナカにヒト、入ってるんだろ? 男同士だったりしてさ」
野次を飛ばし、あまつさえ首を引っこ抜こうとしたりチャックを探
したり。バイトのお兄さんが止めるのも聞かない。
「駄目ですよ、ナカのヒトなんていません。彼らの体の中には夢が
いっぱいつまってるんですから…。」
”夢を壊す言動をする者は不幸になる”。これも都市伝説。周囲の
冷たい視線に逆ギレした半平太、とうとう首の後ろにチャックらし
き物を見つけた。
「見ろ、やっぱりチャックあるじゃねーか!」
チイィィィ・・・
引き下げても、中は暗い。チィ、チィ、まだ音がする。
「?」
覗き込むと、そこから夥しいヒモのようなものが。
ざわ
「・・・ひいッ!」
げっ歯類の尻尾だった。ギラギラ光る小さな眼が彼を睨む。
「チィ、チュウ、チュチュウ」
半平太はへたりこんだ。鼠っキーは何事もなかったかのようにチ
ャックを上げ、愛嬌のある大き愛嬌のある大きな顔と手で「駄目
だよ」とジェスチュアをし、青ざめた半平太を残し去っていった。
彼女とともに。
|