ちょっと怖い小咄。


 
小咄其の六拾   夢 の ナ カ へ

 ”カップルで行くと別れる”

この手の都市伝説は有名な遊園地・テーマパークに必ず存在する。

浦安半平太はそれをダシに振られたばかりであった。

「あんな噂のせいで・・・」

憤懣やるかたない。無論ふられるもともとの理由は自分にあっても、

そんな事はきにしない。関東某地にある鼠ぃランドは今日もカップ

ル、家族連れで賑わっていた。

「きしょう、なにが都市伝説だ、鼠まで恋人いやがって!」

鼠ぃランドの有名キャラクター、鼠っキーと鼠ニィは客に愛想を振

りまいていた。恋人同士の設定だから、抱き合ったり頬にキスの真

似もする。

「どうせナカにヒト、入ってるんだろ? 男同士だったりしてさ」

野次を飛ばし、あまつさえ首を引っこ抜こうとしたりチャックを探

したり。バイトのお兄さんが止めるのも聞かない。

「駄目ですよ、ナカのヒトなんていません。彼らの体の中には夢が

いっぱいつまってるんですから…。」

”夢を壊す言動をする者は不幸になる”。これも都市伝説。周囲の

冷たい視線に逆ギレした半平太、とうとう首の後ろにチャックらし

き物を見つけた。

「見ろ、やっぱりチャックあるじゃねーか!」

チイィィィ・・・

引き下げても、中は暗い。チィ、チィ、まだ音がする。

「?」

覗き込むと、そこから夥しいヒモのようなものが。

ざわ

「・・・ひいッ!」

げっ歯類の尻尾だった。ギラギラ光る小さな眼が彼を睨む。

チィ、チュウ、チュチュウ

半平太はへたりこんだ。鼠っキーは何事もなかったかのようにチ

ャックを上げ、愛嬌のある大き愛嬌のある大きな顔と手で「駄目

だよ」とジェスチュアをし、青ざめた半平太を残し去っていった。

彼女とともに。


 ========おしまい。=========

2006/12/7(土)  up

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