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「ねえママ、空き地でさ、子犬、拾っちゃった。飼っても、
いい?」
夏休み。ケンタくんは台所に立つ母親におずおずと聞いた。
「だーめ。いつも飽きちゃうでしょ。ママが世話するの、目に見え
てるもの。もとの場所に戻してきなさい」
にべもない。
「今度こそちゃんと育てるよ。そりゃ、文鳥とカメのときは失敗し
ちゃったけど。」
「いけません。金魚もそうでしょ? それに玉ゴッチだってフンだ
らけでしょー。」
ママは炊事の手も休めず反論する。
「ああ〜、ゲ、ゲームは見ないでよお。ぐす、じゃあ前にママが話
していた猫は? 夏休みの宿題に、観察日誌をつけないと先生に怒
られるんだよ〜。」
「ああん、猫ねえ。可愛いけど…パパのボーナスが出てからね。決
めるのは」
諦めきれないケンタくんは最後の交渉にうって出た。
「じゃあ、ニンゲンは?」
「だめですあんな劣悪種。私達が管理しなきゃ、星ごと滅ぼすとこ
だったのよ。…でも保護のために手当が出る、って回覧にあったわ
ね…。すぐに悪さをしたりメスを見ると襲ったりするから気をつけ
て飼うなら、いいわよ」
「はーい。ちぇ〜、ニンゲンでガマンするかぁ。」
ケンタくんは褐色の大きな手を降り、子犬をぽいっと放り投げる
と器用に大顎で挟み、そのまま六本足で外へ駆けていった。
おしまい。
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