ちょっと怖い小咄。


 
小咄其の伍拾七   おつうの恩返し

「けして覗かないで下さいね」

前に怪我を治してもらったといい、お爺さんお婆さんのところへ押

しかけてきたお痛(つう)という娘。

毎晩奥の部屋で機を織り、おかげで二人の暮らしは豊かなものにな

っていった。

「いったいあの子はだれなんじゃろう…ま、いいか」

歳をとっても欲だけは減らない二人はお痛の正体はともかく、この

状況は大歓迎だった。だんだん売ればけっこうな収入になり、客か

らのリクエストも増えていった。

「今は毛皮のコートが流行だそうじゃ」

お爺さん、試しにぽつりと言った。

「・・・・」

お痛は何も言わず、また部屋に篭もった。

 

 何日か過ぎて、色とりどりの毛皮のコートが二人に差し出された。

茶色いの、黒いの、ぶち…。大喜びのお爺さん、今度は

「今度はお婆さんがレザー製品が欲しいと…」

言うが早いか、彼女はまた部屋に戻っていった。

その時、お婆さんが血相を変えて戻ってきた。近くの飼い犬が皆消

えてしまったという。茶色いの、黒いの、ぶち…。

 

 再び現われたお痛はなめし皮を作る道具とよく切れそうな包丁を

もって、お爺さんのところへやって来た。
   
                     おしまい。


 ========おしまい。=========




(おまけ another1お痛さん) 

お痛:「これから私が鶴に戻って機を織っているあいだ、けして

    覗かないで下さいね」

お爺さんお婆さん:「・・・・・・・・・・・・」


   
                        今度こそおしまい。

2006/06/10(土)  up

小咄indexへ   次へ


●top ●index ●novels ●gallery1 ●gallery2 ●notes ●otehrs ●link ●BBS