ちょっと怖い小咄。


 
小咄其の伍拾六   リ サ イ ク ル

 「これが新しい燃料電池ですか〜」

鱶田半平太博士は助手の問いに満足気にうなずく。眼前にあるのは

バケツにシガーソケットが付いているだけのようにも見える装置だ。

「うむ、生ゴミを放り込めば必要なエネルギーに変えることが出来る。

ゴミ問題も解決できる夢の製品ぢゃよ」

「しかしその都度ゴミを用意するのは大変ですね」

博士はにんまり笑う。

「大丈夫、現地調達も可能じゃ。なければその辺の木や森をバッサバ

ッサ切りまくって…」

「それ環境にやさしくないです。」

「ならばこちらはどうぢゃ」

今度は腹巻にコードが付いている。

「体脂肪を分解しエネルギー化できるようになっておる。これなら肥

満も解消ぢゃ」

「痩せたら、終わりですね」

「その時はまた太るようにいつも食料を…」

「それも人にやさしくないです。」

博士はみるみる真っ赤になった。

「ぬうう、助手のくせに口ごたえばかりしおって! お前なんかなん

のアイデアも出せんではないか!」

「あ。そのストレス、いいですね。電極は脳内ストレス、燃料は癌細

胞あたりなら…なかなか減らないし、よろしいかと」

「ふーん、そ、それぐらい思い付いておったわ!」


 数カ月後。

鱶田半平太博士とその助手が作ったリサイクル機関は大暴走し、地球

上に有害物質をまき散らした。人々はますます体調を壊し、ストレス

をため、雲隠れした二人の残した作品は永久に動き続けた…。
                     


 ========おしまい。=========



2006/02/26(日)  up

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