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「あなた、今度のボーナスは絶対システムキッチン、買ってよね」
「うーん、額も少ないだろうしなぁ、車もガタついてきてるし。」
妻のツクネさんのお願いに、半平太さんは上の空である。
「そう言って自分の買いたいものばかり。もう、ヤケ酒飲んじゃおうかしら」
「おいおい止めてくれよ。最近酒の減りがはやいぞ」
ストレスが溜まり、引きこもりがちになる毎日。ツクネさんの飲酒量は日に日に
増えて言った。
ボーナスの支給日。遅くまで帰ってこない亭主にツクネさんは携帯に連絡した。
「あなた! いつまで遊んでるの? キッチンの件…」
「ああ、ゴメンゴメン。車の販売会社の友人と飲んじゃってさぁ、新車の契約
しちゃった〜」
「・・・・・・・・」
ぶちっと携帯が切られた。
さすがにまずいと思った半平太さんが深夜に帰宅すると、台所に人の気配はある
が真っ暗なままだ。
「おい、ツクネ・・いるんだろ? 悪いな」
暗がりに人影があるが、ぶつぶつと何か言っているが動かない。
「まさか酒で…倒れちまったか?」
あわてて電気をつけ、
半平太は言葉を失った。
古びた台所のキッチン、調理器具、もろもろが「ない」。
何もない。
「ふふふ、おかえりぃ。お酒といっしょにぃ、キッチン、"飲んじゃった"ぁ
・・・新しいの、買ってね〜・・・」
いびつな妻の腹部を、ずっと半平太は見続けた。
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