| 空港にて。 「ナニ、最近のパソコンって指紋を感知するの?」 ちょっとツッパリ入った哀川笑さんが隣席の男に尋ねた。 「そっスよ。あ、指紋は微妙に違うから触っちゃ駄目スよ」 ノートPCを広げつつ、木村蛸哉くんは自慢げにボソボソ言った。 「今じゃー、ユビキタスっつんですか、データの持ち出しもすげぇ楽で、ホントに指一本なんすよ」 木村くんが指差すpcの先には…CDやフロッピーを抜き差しする入り口も、他の機械をつなぐUSB コードの端子もない。 あるのは… 「? ナニこれ、指を入れる穴…なワケ?」 指一本ぶんの穴がPCには空いている。いぶかしむ哀川さんに、木村くんはにんまり笑って答えた。 「そ。爪の表面に直接データを書き込むんっス。これなら無くさないし、個人情報も守れるし、 "指、きたーっ(゜▽゜)/!っス"つうコト」 自慢たらたらの説明中、いきなり哀川さん、その穴に指をつっこんだ。 「ぅわナニするんスか!?」 「いいじゃん俺にもやらせてよ。あ、でも俺、指先ケガして爪ないんだけど…」 どか。 言うが早いか、哀川さんは突然硬直し、痙攣を起こしブッ倒れた。慌てた木村くんが抱き起こすと、 哀川さんはいきなり木村さんの喉に噛み付いた。 「うぎゃ! あああナニを」 「ナニ、あんたこのPC、ウィルスに感染してるよ。どうもウィルスのでででデータが細胞に直接 上書きされて、他に感染させるようめめめ命令してるようだナナナナナ」 小刻みに震えながら哀川さんは噛み続ける。 指先からワーム(虫)がのたくるように「何か」が蠢いている。木村くんが痙攣を起こしだした頃、彼は 内側からDNAを書き換えられ、"何か別のもの"に変わり始めた。 |