ちょっと怖い小咄。


 
小咄其の参拾壱  正義の味方 3

「怪獣だー!」

月形半平太は叫び声に振り向くと、そこには小山のような怪獣が立ちはだかってい

た。静かな街に唐突に現れた怪獣に逃げ惑う人々。絶体絶命!

…と、そこにまた唐突に銀色の巨人が立ち塞がった。ライオンのような髪型に細い

目が輝く。

「あ、あれは…」

どこかで見たような、と、半平太が思ったとき。

ずばしゅ。

あっという間に巨人は怪光線で怪獣を粉砕してしまった。タメも威嚇も戦闘もない。一

発で終わり。

子供が見たら不満だろうし大人が見てもカネカエセ状態だ。だが巨人は満足げに頷

き、何か演説を始めた。

「なんかジュワジュワ言ってるけど」

そう言えば、よく政権放送でお見掛けする人そっくりの話しっぷりだ。

「あれは『この怪獣は大量破壊兵器を隠していた、だから先制攻撃をした』と言ってお

るのだ」

これまた唐突に半平太の隣に銀色に輝く男が現れた。

「私が銀河うるとら組々長ソフィーなの、なんでだろう」

そう聞かれても答えようもない。そもそもそのギャグを今使う人は少ない。

「あの巨人…あれ、超スーパーうるとらマン? どう見ても総理…」

「わははは、あまり気にするな」

ソフィーはニコニコである。

「でも正義の味方は嘘つきにはなれないって…」

「彼等は嘘つきではない。と言うより嘘をついている自覚がない。嘘をつく時の罪悪

感が正義と悪のバロメーターになるのだが、彼等政治家にはそれが微塵もないの

だ。行ってもいない大学だって平気で首席卒業だ。逆に大きな嘘ほど『政治的手腕が

高い』と賞賛されるらしいぞ」

よほど、適任者が見つかったのが嬉しいらしい。まだジョワジョワ言ってる巨人の言葉

をソフィーはさらに通訳した。

「君も超スーパーうるとらマンの部下にならないか? なに派遣する先は非戦闘区域

で怪獣も出ない…」

「…。」
 


 ========おしまい。=========

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