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どうもタイミングが悪くて、いつもえらい目にあう。 男は、点滅する階数のボタンを見つめながらひとりごちた。バスや 電車もよく乗り越したり、遅れたりするし。 「御利用階数をお知らせ下さい。当エレベータは間もなく最上階に到 着致します。」 デパガのよく通る声が聞こえる。 「屋上でございます。お降りのかたはいらっしゃいませんか? では 上に参ります。」 眩いばかりの優しい笑顔で言った。ああ、降りなきゃ、と思う間もな く扉は閉まり、また開いた。 霞がかってはいるが、明るく静かなところに着いた。遠くに花畑や河 が見える。何故だろうと考えたが、川岸に懐かしい顔が見えた気がし たので、降りようとした。 「お降りのかたはいらっしゃいませんか? では下に参ります。」 降りるのに、と言うより前に扉は閉まり、下降しはじめた。客は自分 ひとりになった。エレベータは最下階を突き抜け、デパガは邪悪な笑 みを浮かべている。 タイミングが悪くて、いつもえらい目にあう。 男はひとりごちた・・・。 |