ちょっと怖い小咄(頂き物編)

 

toku様(其の参 連作)   

第一の小咄・・・「池の底」
 

 「ドロボー」と池の底から声がした。

 仕方ないよねと僕は答えた。

 三日経って池を覗くと、今度は丸いものがぷかぷか浮いてきた。

 「メダマが腐って、抜けちゃったよー。」と声がした。

 身体が腐っているんだから、仕方ないよね、と僕は答えた。

 一週間経って覗いてみると、今度は骨らしい白いものがぷかぷかと浮かんでいた。

 「魚につつかれちゃったよ。」と声がした。

 池に沈めたんだから仕方ないよね、と僕は答えた。

 そうして、僕は僕だった身体のかけらを手に取った。友人だった身体の手のひらで。


第二の小咄・・・「湖の底」
 

 目に見えない何かが湖の底深くへと沈んでいく。

 沈めたのはこの私。産み出したのもこの私。

 異形のものの顔。死体をつなぎ合わせ、腐臭さえ漂う青黒い体。

 他の誰にも見えずとも、私にだけは見えている。その顔は、悲しみと怨嗟に満ちて

 私を見上げていた。

 ああ、坊や。あなたの生みの親、私の生み出したあの異端の男にそうしたように私

 にも、その悲しみの牙を突き立てるのね。いつか生まれる私の本当の坊やにも。

 その怨嗟と悲しみは、このジュネーブ湖から世界に広がる。私にはとめようもない。

 あなたも私も、あのパイロンの罠に落ちて深い闇の彼方に囚われてしまった。

 かわいそうな坊や。かわいそうな私、かわいそうなクレア・クレアモン。

 湖から立ち去ろうとしたその時、「メアリー。」と確かに私を呼ぶ声がした。

(ネタ元:映画「ゴシック」)


========終わり=========

 

2005/7/17 (日) up

 …tokuさん、ありがとうございました〜(^^)/。
こちら連作、もとは掲示板で話をしていたホラーからインスパイアされたとか。
創作のお手伝いが出来たのは嬉しいですね(^^)。
無論内容はまったく別です。実は三部作になってますんで、そちらはtokuさんの
HPで読むことが出来ます。(こちら:tokuのホームページ
実は私が書いたちょっと怖い小咄の50話「おせっかい」はtokuさんのこの作品
に感化されて出来たもの。別名ため池の底(笑)
 



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